出版社にとってのプリントオンデマンド

掲載日:2015年6月4日

長年、言われ続けたPOD が日本でも花開こうとしている。

インプレスR&D の福浦一広氏は、出版社の立場からライトニングソース(※アメリカのオンデマンド印刷会社→関連記事)について、次のようにまとめている。

POD 印刷・製本という切り口も物流のワンステップとみれば、それほど大きい問題ではなくなる。実際、出版社が印刷会社に望むことは単純で、在庫と流通についてはどのような形でもよい。在庫レスで、かつ注文すれば24 時間以内に書店に届くなら、出版社としては大満足である。倉庫は要らないし、POD の場合は経費節減になる。印刷コスト以外ならPOD で悪いことはないハズである。

ライトニングソースの場合、Amazon のPOD(大体1 冊がメイン)、系列書店からの発注書(これも1 冊がメイン)、契約出版社からの注文(2、3 冊)、個人からの小ロット注文(10 冊以内くらい)、出版社から小ロット注文(100 冊単位)というように注文は入ってくる。ライトニングソースの場合はこれをすべて同じラインに流している。

例えば出版社の書籍データを預かって、実際の本の在庫の代わりにデータで在庫し、必要があれば印刷・製本して出荷するというビジネスである。データベース(DB)にない書籍でもPDF をもらえば1 部から対応しており、DB 契約がなければ、本の出荷後速やかにデータ消去している。

POD をやっている印刷会社は、概ねフルフィルメントサービスを主体にしている。同じテネシー州メンフィスのミメオ社はFedEx 社(メンフィスが本社)と組んでいるし、ライトニングソース社はUPS(ナッシュビルにハブがある)と組んでいる。

Amazon でさえもDB 活用のノウハウが不十分なようで、自社印刷会社をチャールストンで運営しているにもかかわらず、DBはライトニングソースに依存している。

ライトニングソースのようなPOD 業者と付き合うことで、出版社が得られるメリットとは、

● PDF データを預けておけば、最少1 部から印刷・製本可能
● 上記方法で製造した書籍を読者に個別発送可能
● モノクロだけでなくカラーやハードカバーなど、選択肢が豊富

インプレスグループが取り組んでいる新しい出版サービスをNextPublishing と呼んでいるが、そのサービスを、いち早く実現しているのがライトニングソースともいえる。

NextPublishing の狙いと特徴は、

● 現状の出版事業では経済的に困難な専門書(小部数)の出版を実現
● 優秀な個人や組織が保有する多数の専門知識の流通を促進
● デジタルによる編集・制作・流通手法なので、圧倒的な低コスト・短期間で発行できる。
● 電子書籍と印刷書籍が同じ編集プロセスで発行できる。
● 電子書籍の基本フォーマットはEPUB を採用しているので、汎用性・発展性がある
● POD を利用しているので、品切れがなく、末長く販売できる。
● プリントオンデマンドは、Amazon の仕組みをそのまま利用、注文に応じて印刷・製本して出荷
● 電子書店はKindle、kobo、iBooks Store、紀伊国屋書店Kinoppy などで販売

(以上、page2015 基調講演3「PODビジネス、日本で出来るのか?」より)

このように限定的ではあるが、ライトニングソース社が提供しているようなサービスを国内でも実現している例も現れ始めている。

(JAGAT 専務理事 郡司秀明/『JAGAT info』2015年3月号より)

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