可能性を広げるDMビジネス

掲載日:2022年6月3日

インターネットの普及により、企業と消費者が直接つながる機会が増え、ダイレクトマーケティングが広く取り入られるようになった。その中でも特にDM(ダイレクトメール)は、高い費用対効果が期待される手段の一つとして注目されている。

印刷会社がDMを事業化するにあたっては、基本的なDMビジネスの理解、顧客の求めるDM作成のノウハウや営業が身につけるべきスキルの取得、そして継続的に受注につながる全体戦略の構築が必要である。

 

可能性を最大限に活かすDM


消費者の手元に直接届くDMは、依然としてメールといったデジタル系メディアより開封率とリアクション率が高い。最近では、個人に向けてあらゆる情報からカスタマイズした特別感のあるパーソナライズDMや、MA(マーケティングオートメーション)と連携し、見込み客への確実なアプローチを行うための施策としてデジタルメディアと連動したDMも多く、顧客関係性の強化やブランド構築の手段としても優位性がある。
また、紙の種類や色、デザイン、香り、音など消費者の五感に働きかけるセンサリーマーケティングを取り入れたDMやARとの連携による体験型DMなど、効果を最大限に引き出せるようなものが増えている。

 

顧客に寄り添ったマーケティング志向


DMは、ダイレクトマーケティングの一環として重要な役割を担っている。従って、顧客の期待に沿うDMを提案するためには、顧客企業を理解し、コミュニケーションをとりながら、現状把握や分析、課題の整理を行い、プロモーション施策を考える必要がある。顧客企業とともに全体戦略を構築し、そこからDMや他の媒体での施策設計をしていく。DMを受け取る消費者の行動・心理を考え、アクションを促すDMを作成、実施した後には、効果検証を行い改善し、次の提案へと向かうといったPDCAサイクルを適切に回すことで継続的に顧客企業の支援を行うことができる。
顧客支援をしていく上で重要なのは、顧客と社内の架け橋となる営業担当者の役割である。営業力はもちろん、コミュニケーション力、分析力、企画力など様々なスキルが必要となる。しかし、営業担当者一人が支援していくのではなく、制作やDM事業部隊全体で顧客企業のニーズをしっかりと把握し、取り組まなければならない。

 

実践型講座で企画提案力の強化


JAGATでは、印刷ビジネスに新たな価値をもたらす可能性があるとして、ここ数年、DM知識習得を目的とした座学セミナーを多数開催してきた。実際に多く印刷及び制作会社の参加があり、受講者からも高い満足度を得てきたが、次のステップとして「得た知識やスキルを実際に使って効果の高いDM企画ができるセミナーに受講したい」「戦略やマーケティング手法、ターゲティングや効果測定の仕方など具体的な手法を学びたい」といったご要望が多数寄せられた。

そこで、第1期「DM企画制作実践講座」の開催を決定し、本年7月からスタートさせる。本講座は、全6回の講義を通して、参加各社の実際のクライアントのDM案件に結び付けながら、DMビジネスの全体を実践的に習得できるコンサルティング形式の講座である。DMのトレンドや事例などを取り上げながら、マーケティングの考え方を取り入れたヒアリング方法や企画の立て方などを学び、最終的には施策の全体設計をした上でDMのラフ案をクライアントへ提案し、効果検証までを行う。1社2名の参加型なので、共通認識を持ちクライアント提案まで進めることができる。また、講師や受講者同士のやり取りの中で、問題点や発見、気づきが得られ、その都度、改善を行いながら構築していける。


DM事業を印刷ビジネスの新たな柱として展開するために、この機会を活用していただきたい。

JAGAT CS部 加治 寛子


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