投稿者「中狭亜矢」のアーカイブ

【クロスメディアキーワード】ターゲットマーケティング

クロスメディアキーワード【第17回】

ターゲットマーケティングは、急速に変化する市場に対応するためのマーケティング手法である。

  • Segmentation:市場細分化
  • Targeting:標的市場の選択
  • Positioning:製品およびサービスのポジショニング

といった要素により構成され、頭文字からSTPマーケティングとも呼ばれる。
生活者のニーズや購買行動は多様化しており、企業は「あらゆる地域の、あらゆる生活者を対象とする」マスマーケティングの実施が困難な状況になっている。そのため、ターゲットマーケティングには、マスマーケティングの代替として登場した背景がある。

Segmentation:市場細分化

「Segmentation」では、市場全体からターゲットとなる市場を抽出する。消費財であれば、年齢、性別、職種、地域、趣味、所得、家族構成などで市場を括ることが多い。しかしながら、実際には他に様々な細分化の基準が存在する。

  • デモグラフィック(人口統計的な基準で抽出する方法)
    年齢、性別、世帯規模、家族構成、所得、職業、学歴、世代など
  • ジオグラフィック(地理的な基準で抽出する方法)
    国、地方、都市、人口密度(都市部、郊外、地方)など
  • サイコグラフィックによる細分化(心理的な基準で抽出する方法)
    個人の価値観、社会的な階層、ライフスタイル、パーソナリティーなど
  • 行動による細分化(製品やサービスに対する知識、態度、使用歴、反応などを基準に抽出する方法)
    製品やサービスの購買状況、求めるベネフィット、使用経験、ロイヤルティー、購買準備段階(知らない>認知している>関心がある>欲しい)など

市場細分化の目的は、市場全体の中から製品やサービスを求めている市場を特定することにある。従って、これまでになかった新しいコンセプトにより投入される製品やサービス、市場の種類によって、さらに細分化の基準が必要になる場合もある。

Targeting:市場ターゲティング

市場セグメンテーションにより抽出した市場の中から、「標的市場」を選定する段階である。対象となる市場には、企業にとって最も魅力的なセグメントを選定 するべきであり、一般的には、「強みを活かせる市場」や「他の競合の少ない市場」を選択する。市場の成長性、市場の構造的な魅力、企業の目標と経営資源の 選択における判断要素として考慮し、その上で市場をどの程度網羅するか決定する「カバレッジ戦略」を採用する。

Positioning:市場ポジショニング

標的市場において、どのような位置で製品やサービスを提供するかを検討する。製品やサービスを競合と比較した際、例として5つの価格から1つを選択し、製品やサービスの位置づけを行う。

<5つの価格>
「ベネフィットが多く価格が高い」
「ベネフィットが多く価格が同じ」
「ベネフィットが同じで価格が安い」
「ベネフィットが少なく価格がより安い」
「ベネフィットが多く価格が安い」

ターゲットマーケティングによる効果

ターゲットマーケティングを実施することで、生活者からのニーズに対し細かい対応が可能となる。また、市場を分析することにより対象が絞られることで、そ の特性を短時間で正確に理解と把握することができる。さらに、標的市場を明確にすることで、ターゲットとなる生活者のセグメントを絞り込むことになり、そ のセグメントがどのようなニーズを持っているのかが明らかになる。ニーズを満たすために、どの様な商品やサービスを提供すべきか明確になる。特に競合と差 別化すべき機能や効用を明確にすることで、今後の市場における有利な戦略を立案することが可能となる。
支出においては、標的市場にのみ投資を集中させることができる。対象としない市場に対する投資を行う必要がなくなり、標的市場に対する有効な投資が可能となる。

ターゲットマーケティングの対象

ターゲットマーケティングは、大規模な事業だけではなく、中小規模の事業においても採用できる手法である。選定した市場において、「強み」を発揮することにより市場における生活者の中で、既存顧客の満足度を向上し、見込顧客の囲い込みをすることが期待できる。
経営資源の乏しい中小規模の事業にとって、大きな市場を細分化し、ターゲット市場を明確にすることにより、経営資源を有効活用することができる。「強み」を発揮できる市場で、安定した事業を展開することが可能となる。

差別型マーケティング

差別型マーケティングとは、ターゲットとする市場セグメントを定め、その市場に適した方法で行うマーケティングである。市場に適した製品や施策を展開し、 売上の拡大と市場でのポジショニングを確立する。しかしながら、製品や施策の多様化は、支出を増加させる。したがって、製品による売上と支出の比較を行 い、適格な意思決定が必要となる。

非差別型マーケティング

「非差別型マーケティング」とは、市場セグメントの違いを考 慮せずに実施するマーケティングである。大量に生産される製品を全国展開する際に用いられることが多い。生活者を考慮する際、「ニーズの差異」ではなく 「ニーズの共通点」に着目し、施策を立案する特徴がある。製品は様々な生活者に訴求できるデザインや機能が採用され、市場への投入を大量に行い、マスメ ディアによる広告を実施する。

集中型マーケティング

「集中型マーケティング」とは、限られた経営資源を特定の市場セグ メントに集中させ実施するマーケティングである。大規模な市場に対するシェア獲得の代替として、少数のセグメントで大きなシェア獲得を目指す戦略である。 得意とする市場に対し、集中的に製品の投入や、施策を実施する。経営資源が限られる中小規模の事業体で採用しやすい手法である。

例題

ターゲットマーケティングに関する記述として最も不適切なものはどれか[解答群]から選べ。

ア ターゲットマーケティングとは、市場の細分化を行い、製品やサービスの対象となる標的市場を定め、その市場に向けてマーケティング活動を実施することである。

イ 非差別型マーケティングとは、市場全体を対象に同一製品の投入や施策を実施することで対応するものであり、大量に生産される製品を全国的に展開する場合に用いられることが多い。

ウ 差別型マーケティングとは、複数の異なるセグメントごとに適合した製品を投入し、施策を実施するマーケティング活動である。市場にきめ細かく対応しようとするものであり、中小規模の事業体が採用しやすい。

エ 集中型マーケティングとは、経営資源と合致する得意とするセグメントに対し、集中的に施策を実施するマーケティング活動である。

[解答群]
①ア ②イ ③ウ ④エ

[解答]
②イ

※本ページの内容は掲載当時(2014年5月)のものです。

【クロスメディアキーワード】コミュニケーションとメディア

クロスメディアキーワード【第6回】

メディア(Media)

メディア(Media)とはメディウム (Medium)の複数系の英単語であり、媒体、媒質、伝達手段などの意味を持つ。記録や保管のための機能と、コミュニケーションのための機能に大別され る。したがって、「紙」や「CD」などは、記録や保管の技術であり、「チラシ」や「書籍」、「音楽CD」などは、メディア利用者とのコミュニケーション手 段である。撮影や印刷、コンピューターなどのメディア関連技術を活用し、円滑なコミュニケーションを図るためには、様々な知識や能力が必要となる。

コミュニケーション

コミュニケーションを用語として捉えると、様々な定義が用いられている。
本稿では、送り手(生活者)から受け手(生活者)への情報の移動、または、その移動の結果生じた心のふれ合いや共通理解、共同関係などと定義する。
送り手は、収集した情報を受け手が理解できるように構造化し編集を加えることで、価値あるコミュニケーションの実現が期待できる。生活者を支える情報を効率的かつ効果的に活用できるようにすることで、コミュニケーションの目的を達成することが可能である。
生活者の周辺には、常に膨大な量の情報が存在している。目的や意図のある情報とするには編集が必要となる。人々の経験や知識をもとに、生活者が理解できる状態に加工を施すことで、目的や意図を伝える情報として知識や知恵の源泉となる。

コミュニケーションモデル

生活者同士がコミュニケーションを行う場合、情報の送り手が伝えたいメッセージを受け手が正しく受け取ることが重要となる。送り手はメッセージを「表情」 や「振る舞い」などの「ノンバーバルコミュニケーション」と、「言葉」や「文字」などの「バーバルコミュニケーション」や「図」として表現する。受け手は この表現を解釈し、送り手のメッセージを理解しようとする。
メッセージによる情報共有プロセスは、送り手と受け手の間で、表現や文脈(コンテキスト)に関する共通の知識や理解の所有が前提となる。
受け手のメッセージ理解は、メッセージの内容や受け手の経験により異なる。生活者の様々な情報に対する処理方法は、情報提示の仕方により異なる。

メラビアンの法則

メラビアンの法則は、アルバート・メラビアンにより提唱された概念である。情報の受け手は、話をしていることと態度が異なっている場合、態度からの情報を 優先して判断する傾向がある。メラビアンの法則では、人物の第一印象は初めて会った時の3~5秒で決まり、その情報の殆どを「視覚情報」から得ているとさ れる。その割合は、「視覚情報」からの影響が55%であり、「聴覚情報」からの影響が38%、「言語情報」からの影響が7%である。また、メラビアンの法 則を拡大解釈することで、「見た目が一番重要である」、あるいは「話の内容よりも話し方が重要である」といった考え方に触れることもある。しかしながら、 メラビアンはコミュニケーション全般にこの法則が適用されるといった明言は避けている。

ザイアンス効果

ロバート・ザイ アンスは、何度も見聞きすることで、次第に良い感情が起こるようになる効果があると提唱している。会う機会の多い人や、何度も聞く音楽は、好きになってい く傾向があることを意味する。経験による潜在記憶は、印象評価において誤って帰属されるといった、知覚的流暢性誤帰属説で説明されている。また、潜在学習 や概念形成といった働きも関わるとされている。この傾向をザイアンス効果や単純接触効果と呼ぶ。セブンヒッツ理論では、ザイアンス効果を理論的に発展さ せ、マスメディアやミドルメディアにより、消費者が商品に関連した情報に7回触れることで、店舗やECサイトでその商品を購入する確率が高くなると提唱し ている。

コミュニケーションの種類

コミュニケーションは、その対象により3つに分類することができる。「対人コミュニ ケーション」は、日常会話の様に、特定の相手を限定した、電話や手紙を活用する、個対個のコミュニケーションである。「集団コミュニケーション」は、講演 会や会議、社内報など、限定された小集団のコミュニケーションである。「マスコミュニケーション」は、新聞や雑誌、テレビ、ラジオなど、マスメディアを通 じた大量伝達による、不特定多数に対し行われるコミュニケーションである。一般的に情報の流れは1対nで一方向となる。送り手と受け手の接触が間接的であ り、伝達の効果や反応の測定が難しい。

コミュニケーション手段

文明の発達に伴い、コミュニケーション手段は進化している。進化は4つの変革によると考えられ、「言語の使用」や「文字の登場」、「印刷技術の発明」、さらに、「高度情報化社会」とされている。
高度情報化社会では、コンピューターの発達や情報のデジタル化、インターネットの普及などが生活者に大きな影響を与えている。高度情報化社会を支えるメディアは、技術の進展により変化を続け、様々な電子メディアが登場している。

高度情報化社会とコミュニケーション

20世紀後半には、情報技術の発展により様々なメディアが登場した。情報通信網であるネットワークが整備され、コミュニケーションを取り巻く環境は高度化 した。コンピューターに関する技術により、数値から文字、画像、音響、映像など、様々な情報がデジタル化され、活用されるようになった。さらにネットワー ク技術により、メディアによる双方向コミュニケーションが実現した。
コミュニケーションはメディア活用により、1対1から1対n、n対nへの進化している。

例題

次の文中の空欄[A]~[C]に入る最も適切な語句の組み合わせを下記の[解答群]から選べ。

メラビアンの法則とは、アメリカUCLA大学の心理学者であるルバート・メラビアンが1971年に提唱した、人物の第一印象は、初めて会った時の3~5秒 で決まり、またその情報のほとんどを「[A]」から得ているといった概念である。この概念は、初対面の人物を認識する割合は、見た目などの「[A]」から の影響が55%であり、口調や話の早さなどの「聴覚情報」からの影響が38%、話の内容などの「[B]」からの影響が7%であると提唱した。

情報の受け手は、話をしていることと態度が異なっている場合、態度からの情報を[C]して判断する傾向がある。その傾向については、メラビアンの法則とし て有名になり、拡大解釈から「見た目が一番重要」、あるいは「話の内容よりも話し方のテクニックが重要」という趣旨で受け止められることも多くなった。し かしながら、メラビアンはコミュニケーション全般にこの法則が適用されるといった明言は避けている。

[解答群]
 ①A:視覚情報 B:言語情報 C:後回しに
 ②A:言語情報 B:視覚情報 C:優先
 ③A:言語情報 B:視覚情報 C:後回しに
 ④A:視覚情報 B:言語情報 C:優先

[解答]
 ④A:視覚情報 B:言語情報 C:優先

※本ページの内容は掲載当時のものです。

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