需要を生み出す「デマンドジェネレーション」

掲載日:2016年6月6日

「デマンドジェネレーション」とは、マーケティング部門が担う大切な役目であり、その需要(デマンド)を生み出す(ジェネレイト)ことの意味で使われている。マーケティングオート メーション(MA)の基本となる、データを創出する基礎の基礎にある活動といえる。つまり、営業部門に渡す「見込案件(見込客リスト)」創出活動のことをいう。

デマンドジェネレーションについて、「印刷業がマーケティング活動をやって何になる?」と思ってはいけない。例えば新聞社ではインクジェットヘッドが新聞輪転機に搭載され、One to One プリントが可能になった。その結果、今まで読者情報は販売店に牛耳られていたものが、新聞社自ら読者にリーチできるようになった。そのため新聞社では非常に重要なツールと位置付けられている。同様に印刷業でも新しい宣伝ツールの基本がこの辺りにあるので、この辺のBPO や広告支援業という新ビジネスの世界も広がっているのである。

それでは具体的にどんなことを行うのか。ステップとしては4 段階に大別することができる。

1.リードジェネレーション
「イベント(展示会やセミナー)で収集」、営業やエンジニア経由からの「名刺収集」、古臭いが王道、「Web からの登録」が第三の方法だが、マイページまで持っていけると威力を発揮する。この3 種類が代表なのだが、POD でこれを補完するソリューションだって可能だろうし、航空会社のマイレージやT ポイントカードで個人情報を引っ張るというのは、非常に力強いマーケティングツールとなる。

2.データマネジメント
次に手に入れたリードデータの整理で、意味のないデータは捨て、重複データを整理して、データを分析し重要度順に編集しなくてはいけない。これをデータマネジメントと呼ぶ。
名寄せを行い、商売敵などは除外し、企業などの属性情報を精査・付与し、その対象者を冷静に分析しランク付け、グループ分けして対処方法をセグメント化する。

3.リードナーチャリング
ナーチャリングは「子育て」のことである。つまり見込み客を立派な顧客に育てるという意味がある。リードデータだが、新しい会社以外ならどんな会社にも何らかの顧客データはあるはずで、それらの顧客データを整理整頓してデータナーチャリング(啓蒙・育成)するだけでも効果は大きいはずである。

4.リードクオリフィケーション
クオリファイは「絞り込む」ということだ。例えば印刷代は高いので、まったく買う気のないターゲットに高いコストの高級カタログを配布することはバカバカしい。逆に、買う気をスコアリングして高得点の人間に高級感あふれるカタログを配布することは、その効果は計り知れない。
そう考えると、スコアリングの作業は大事で、属性(日本では企業やポジションが大事)と行動の二本柱で信頼できるスコアリングすることが必要になる。したがって単なるWeb 情報だけではなく、マンションならどこまで見学したのか、質問がどのくらい具体的であったのかなど、さまざまなスコアリング方法がある。

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このように、マーケティング活動では非常に重要なデマンドジェネレーションだが、印刷業でもこの段階で手助けできるはずだし、ここまで絡むと単なる下請けからの脱却も夢ではなくなるはずだ。

(JAGAT 専務理事 郡司秀明/会員誌『JAGAT info』より一部抜粋)