投稿者「太齋一江」のアーカイブ

共同印刷、「読みやすい紙面」提案する組版サポートツール開発(12/20)

共同印刷(株)(藤森康彰社長)は、印刷紙面の文章レイアウトを分析し、より読みやすい紙面を提案する「組版サポートツール」を、東京女子大学の小田浩一教授との共同研究で開発した。同ツールの使用により、年代に合わせた「読みやすい印刷物」の作成が可能となる。
  同社は、この「組版サポートツール」を、小さくても読みやすいUDフォント「小春良読体(こはるりょうどくたい)」、高齢者の色の見え方を考慮して読みやすい配色に色変換する「配色サポートツール」とともに活用し、「より読みやすい印刷物」の提案に取り組んでいく。

 

 印刷物は、製品の説明書や販促物など多様な場面で用いられているが、限られたスペースに必要な情報を記載するため文字が小さくなり、高齢者にとっては読みづらいという課題があった。
  また、文章レイアウトについても、紙媒体になじんだ高齢者とスマートフォンの画面に慣れた若年者では読みやすいと感じるデザイン特徴が異なる可能性もある。

 こうした点を解決し、”利用者の年代を考慮した読みやすい文章レイアウト”を学術的根拠に基づいて実現するため、東京女子大学の小田研究室と共同研究を行った※。その結果、若年者と高齢者では読みやすい行長・行間に違いがあることが明らかとなった。

 

 この研究を元に開発したのが、利用者の年代を考慮して、横書き文章のレイアウトの読みやすさを評価する「組版サポートツール」だ。本ツールでは、対象のPDFから文章を抽出し、行長・行間・文字サイズによる読みやすさを年代別に分析し、読みにくいと判断された文章に対する改善案が提示できるため、ターゲット年代に合わせた”より読みやすい印刷物”の作成が可能となる。現在は、同社が小田研究室と共同開発したUDフォント「小春良読体®」を使用した文書のみ分析が可能だが、順次、他のフォントにも対応していく予定だ。
※年代によって読みやすい文章レイアウトの特徴に違いがあるかを調査するため、被験者の年代に応じて文字サイズを最適化したうえで行長と行間を変更した文章を各種用意し、読書評価実験を実施

 

医薬品パッケージでの利用イメージ ※60代をターゲット年齢に設定し、評価

 「組版サポートツール」評価前のレイアウトspacer

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「組版サポートツール」の評価を反映したレイアウト

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富士ゼロックス、「戸田浦における露国軍艦建造図巻」複製(12/16)

富士ゼロックス(株)(栗原博社長)は、伝統文化継承に貢献する活動の一環として、公益財団法人東洋文庫(東京都文京区、槇原稔理事長)にて東洋文庫が所蔵する「戸田浦における露国軍艦建造図巻」の複製を製作し、12月16日、贈呈式を行った。同複製品と同様のものが、12月15日にロシア連邦のプーチン大統領に安倍首相から贈呈された記念品の1つとして選ばれた。

 

  今回手掛けた「戸田浦における露国軍艦建造図巻」は、伝統文書固有の色彩や光沢、経年変化による独特の風合いがあり、このような色彩を複合機で和紙に忠実に再現するには、高度な複写技術が要求される。製作にあたっては、電子化した画像情報を印刷に適した形式に色変換し、原本に忠実に再現する独自のカラーマネジメント技術を活用した。また、自社のグラフィックアーツ市場向け高画質フルカラー複合機DocuColor 1450 GAを活用し、表面に凹凸があり、含水量の異なる和紙にトナーを定着させるための特殊な設定を加え、複製品を製作した。

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日印産連、第16回印刷産業環境優良工場表彰-12月より募集開始(11/30)

(一社)日本印刷産業連合会(日印産連、山田雅義会長)は、第16回印刷産業環境優良工場表彰制度の応募工場の募集を12月1日より開始する。

  同制度は、印刷産業界における各企業の環境問題に対する取り組みを促進するとともに、印刷工場の環境改善および印刷企業に対する社会の一層の支持・理解を獲得することを目的に平成14年からスタート。経済産業省の支援を受け、過去15回、延べ241工場が受賞している。
  今回の第1次審査の応募受付は、平成28年12月1日から平成29年2月3日まで。また、第2次審査応募受付期間は、平成29年2月20日から4月21日となっている。第1次審査を通過した工場が第2次審査の応募資格があり、過去受賞工場は第2次審査から応募することができる。また、昨年につづき印刷産業全体の90%以上を占める従業員規模29人以下の事業所(企業全体で49人以下)を対象に、小規模事業所振興部門も設置し、表彰する。

  応募に関する詳細は、日印産連ホームページまで。

技能五輪、印刷種目・日本代表に早瀬選手が正式決定(12/16)

第44回技能五輪国際大会(アブダビ大会)の印刷職種・日本代表候補として、(一社)日本印刷産業連合会(日印産連、山田雅義会長)が、中央職業能力開発協会に推薦していた亜細亜印刷(株)の早瀬真夏さんが、このほど代表選手として正式に決定。

12月14日には、クロスウェーブ船橋(千葉県船橋市)において、日本代表決定通知書授与式が行われ、早瀬選手も出席した。

  正式決定を受け、日印産連では、強化検討委員会を設置し、早瀬選手の金メダル獲得強化に向け、全面的にバックアップしていく予定。
  なお、アブダビ大会の印刷職種では、オーストリア、ベルギー、ブラジル、スイス、中国、コロンビア、ドイツ、フィンランド、フランス、グルジア、香港、イラン、日本、ロシア、ザンビアの15ヵ国がエントリーしている。

 

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正式に日本代表となった早瀬選手

凸版印刷、出版生産拠点を再構築 – 川口工場に100億円投資(11/28)

凸版印刷(株)(金子眞吾社長)は、出版印刷分野の総合生産拠点である川口工場(埼玉県川口市)に約100億円を投資し、新棟を建設するとともに、同工場内の印刷・製本設備を集約した最新の統合生産ラインを導入。12月から稼働を開始する。

  今回同社では、大きく変化する出版市場環境に迅速に対応するため、点在していた印刷、製本設備を集約・更新し、川口工場を出版印刷分野の総合製造拠点として再構築した。最新設備の導入により、雑誌、書籍、コミックス、すべての出版物の一貫生産体制を強化するとともに、さらなる生産の効率化、短納期対応、小ロット多品種対応を実現した。
  さらにエネルギー利用状況、生産状況の見える化や、人・モノ・作業の管理強化によるセキュリティ性を向上させる。

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 同社は、2011年に第1期としてオフセット枚葉印刷機を効率化、今回の第2期では最新のオフセット輪転印刷機の導入を中心に改善を実施。今後もさらなる再構築を進め、デジタル生産拠点である板橋工場と密接に連携することで、電子書籍などデジタル化が加速する市場環境の変化により多様化するニーズに柔軟に対応していく方針。

【クロスメディアキーワード】Webアクセシビリティー

コンテンツのデジタル化は、異なるメディアの融合や新たなメディアの開発へと可能性が広がっている。

Web コンテンツのデザイン

Web コンテンツのデザインに対し、多くの利用者は「視認性」や「可読性」、「判読性」などを求めている。Web コンテンツを制作する際には、奇抜なデザインだけを追求するのではなく、利用者が閲覧する目的の理解が必要になる。複数のコンテンツで構成されるWebサイトは、何度も利用してくれる「リピーター」の確保が重要視され、コンテンツの品質がそれを左右する。

ユーザビリティー

Web サイトやそのコンテンツが分かりにくい構成の場合、利用者は別のサイトを閲覧することを選ぶ可能性が高まる。感覚的に理解できなければ、「戻る」や「ホーム」をクリックしてしまう。利用者の視点を重視しないことは、「リピーター」を逃してしまうことにつながる。
「ユーザビリティー(Usability)」とは、「使える」「便利な」などの意味がある。また、製品やサービスの使い勝手は「ユーティリティー」と「ユーザビリティー」により構成されていると考えることができる。「ユーティリティー」は機能や性能を示し、利用者から見た製品の長所に関する程度を表す。一方「分かりにくさ」などの短所が、どの程度であるかを表すことができる。旧来の製品開発では、高い「ユーティリティー」の付与に力を注ぐ傾向があった。その結果、「ユーティリティー」の高さに反し、機能や性能を使い切れない事象も起きた。現在は、「ユーティリティー」の高さと共に、高い「ユーザビリティー」も求められるようになっている。
Web サイトやそのコンテンツに「ユーザビリティー」が不可欠となる理由の一つに、表示された直後に利用方法が理解できないことで、時間の浪費を招くため、価値のないサービスと判断し、別のWeb サイトを選択することが少なくないことが挙げられる。デザイナーが自身の欲求や利害関係者からの要求を優先することは、利用者の立場を考えず、「ユーザビリティー」を無視してしまう結果を生じる可能性がある。制作者側の欲求重視や組織構造を反映したWeb サイトを設計するのでなく、利用者の立場や視点を考慮したサイト構造の実現が望まれる。

アクセシビリティー

「アクセシビリティー」とは、「利用しやすさ」といった意味を持ち、すべての人が利用できる環境の構築を示す。障がいの有無に関係なくWeb ブラウザーを使用することで、Web サイトを構成するさまざまなコンテンツやサービスから、必要な情報の抽出やベネフィットを享受できるようにすることが重要である。目的としている情報への経路には、多くの問題が横たわっている可能性がある。その問題をできる限り解決する姿勢が、Web サイトの構築に必要であり、「アクセシビリティー」の向上につながる。「アクセシビリティー」は、障がい者や高齢者だけを対象としているだけでなく、健常者にも効用を与えることができる。

Web アクセシビリティー規格

メディアをコーディネートする際にWeb サイトを対象とするのであれば、「Web アクセシビリティー」の基本的な要件と内容を理解した上での、Web サイトの構築や運用に関する適切な提案が求められる。
「Web アクセシビリティー」とは、Web を利用するすべての人が、年齢や身体的制約や利用環境などに関係なく、Web サイトにより提供されている情報に問題なくアクセスし、コンテンツや機能を利用できることを指す。Web サイトの構築やリニューアルにおいても、「Web アクセシビリティー」を意識した企画や設計が必要となる。

JIS X8341-3

2004 年にJIS 規格化された「Web アクセシビリティー」『JIS X8341-3 高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器、ソフトウェア及びサービス-第3 部:ウェブコンテンツ』は、2010 年に改定が行われた。改定内容は、2008 年に勧告となったW3C(World Wide Web Consortium)のアクセシビリティー指針である「Web Content Accessibility Guidelines(WCAG)2.0」に基づいている。改訂前のJIS規格は、日本の標準であるという位置付けであったが、2010 年度版は、世界標準に則した内容ということにもなる。

音声

音声の再生については、すべての人々に向けた「Webアクセシビリティー」の向上を実現するために、利用者による主導を優先させることが望まれる。2004 年版では、必須項目として「自動的に音を再生しないことが望ましい。自動的に再生する場合には、再生していることを明示しなければならない」とされている。
2010 年版ではさらに詳細を明示し、「自動的に音を再生しない。再生する場合は、3 秒以内に停止させる。またはWeb ページの先頭に停止できるコントロールを提供する」ことを求めている。
また、音声に対して付随する文字による情報の追加も求められる。さまざまな配慮により、初めてすべての人々の「Web アクセシビリティー」の向上が実現できると考えられます。

JAGAT CS部
Jagat info 2016年5月号より転載

【クロスメディアキーワード】クラウドコンピューティング

パソコンにアプリケーションをインストールし、さらにデータについてもそのパソコンに保存している場合、アプリケーションの機能やデータの利用には、「そのパソコンが利用できる環境」に制約される。

クラウドコンピューティングの採用

クラウドコンピューティングとは、ネットワーク(インターネットを指すことが多い)の向こうを「雲(クラウド)」に見立て、これまでパソコンにインストールすることでアプリケーションにより提供されていた機能を「雲の向こう」からサービスとして享受するといった意味が語源となっている。
クラウドコンピューティングを採用し場合は、Webブラウザーによりアプリケーションの機能やデータをサービスとして提供しているサーバーに接続することで、利用できる環境が特定のパソコンになるといった制約がなくなる。さらにケータイやスマホ、タブレットなどパソコン以外の端末からの利用も可能になることがある。クラウドコンピューティングの採用により、データの共有も可能となり、アプリケーションやデータを利用する時間や場所に関する制約もなくなる。しかし、「ネットワークに接続しているサーバー上でデータを処理する」といった考え方は、クラウドコンピューティングに限られるものではない。
ASP(Application Service Provider)によるサービスや、あらゆるモノにコンピューターやIC チップなどが埋め込まれ、有線または無線による通信により常に相互に接続され、いつでもどこからでも、さまざまな情報やサービスを利用できる情報ネットワーク環境である「ユビキタスネットワーク」といった考え方もある。

クラウドコンピューティングの普及

クラウドコンピューティングが一般化した背景には、インターネットの普及や関連する技術の発展がある。ネットワークの利用に高額な費用を要し、機能面においても不便であった時期と比べ、今日ではその障壁が非常に小さなものとなった。
また、仮想化技術やグリッドコンピューティングを利用することで、実際に処理を行うさまざまなハードウェアやさまざまなソフトウェアを意識することなく、サービスを享受できるようになっている。
前述のとおり、クラウドコンピューティングを利用する場合、ハードウェアの購入やシステムの構築に伴う初期投資は、大きな削減を見込むことができ、「短期間だけの試用」も可能であるといった柔軟性も併せ持つ。一方、長期的な利用になることで、契約形態によっては、多くの費用を要するといった例も存在する。
クラウドコンピューティングによるサービスに大きく依存することで、サービスの終了や提供事業者の倒産などが、大きなリスクとなるという懸念もある。さらに、自身でコントロールできないネットワークやシステムの障害による影響を被る恐れもある。

クラウドコンピューティングの欠点

クラウドコンピューティングの欠点として、カスタマイズに対する柔軟性が低いといった意見がある。しかし、サービスの組み合わせにより改善できる可能性がある。また機密情報をインターネットに接続しているシステムに保存して利用することは、ハッキングの対象となるリスクもあり、さらに接続時には盗聴される可能性も否定できない。この点については、クラウドコンピューティングによるサービスを提供する事業者が最も留意するセキュリティー対策に左右されるが、実績のある事業者であれば相応の投資をしている可能性も高く、自身で不完全なセキュリティー対策をしている場合と比べ、高度なセキュリティーを得られるといった考え方もある。

関連用語

・マッシュアップ
「マッシュアップ」とは、「混ぜ合わせる」といった語源から、もとは「違う曲のボーカルと伴奏を融合させて新たな表現を試みる」といった音楽の手法を指す。さらに、複数の機能やコンテンツを融合し、新規にサービス化することについても「マッシュアップ」と呼ぶようになった。特に「Web 技術」においては、無償で提供された複数のAPI(Application Programming Interface)を組み合わせ、あたかも一つのサービスであるかのように機能させることを指す場合が多く見られ、「Web2.0」の特徴の一つとして挙げられていた。

・SaaS
SaaS(Software as a Service)は、アプリケーションソフトウェアをパッケージといった形態ではなく、ネットワークからアプリケーションソフトウェアの機能をサービスとして提供することを主に指している。導入に際しての敷居が低いことや、すぐに利用が開始できる点が代表的なメリットとして挙げられるが、使用中のトラブル対応もサポートしていることが多く、導入だけでなく運用に対しても優位性がある。

・SLA
SLA(Service Level Agreement:サービス品質保証制度)では、サービスを提供する事業者と委託する事業者間で、内容と範囲、品質に対する水準を明確にし契約を行う。

JAGAT CS部
Jagat info 2016年4月号より転載

【クロスメディアキーワード】メディアとしてのブログ

個人の情報発信スタイルを支えるブログは、独自のジャーナリズムを実現し、メディアとして価値が認められている。

ブログの登場

ブログが普及する以前、個人がWeb コンテンツを公開する場合には、パソコンにインストールされているテキストエディターや専用アプリケーションを使用していた。インターネット上のアプリケーションサービスとして提供されるブログの登場で、個人が容易に占有的なコンテンツ展開を行えるようになった。
情報発信が容易となることで、文章表現能力やコンテンツ制作能力に優れたブロガーが商業的なメディアと同等の情報発信を行うことが可能となり、新聞や雑誌の購読率にも影響を与えるようになっている。ポータルサイトやコミュニティーサイトを運営する法人が、メディアとして価値のあるブログを集めブログ総合サイトとして運営することにより、ブログジャーナリズムの発展を後押しした。場所を問わず情報発信が可能なリアルタイム性の高い「Twitter」に代表されるマイクロブログも登場し、生活者の情報接触時間に大きな影響を与えている。

ブログサービスの種類

ブログサービスには、ブログ専用の有料サービスのほか、独自ドメインがないポータルサイトの無料サービス、レンタルサーバーにアプリケーションをインストールして使用するものなどがある。アプリケーションサービスとして提供されるブログの利用は、システムに関する特別な知識や技術が必要ない。コンテンツ制作では、利用できるデザインや機能は限定されるが、ワープロによる文書データ作成と同様で、テンプレートに従い文章や画像を配置することで完成させることが可能であり、多くの人々に利用されている。
一方、レンタルサーバーにインストールし利用するブログは、カスタマイズによりレイアウトやデザインの変更のほか、さまざまな機能を追加できる。デザインやプログラミング、システムに関する知識が必要になる。しかしCMS(Contents Management System)で構築されたWeb サイトと遜色ないサイト構築が可能であり、企業が事業活動における情報の受発信手段として利用することが多くなっている。

ブログの機能

「トラックバック」は、ブログの代表的な機能の一つで、別のブログにリンクを設置した際に、リンク先のブログ運営者に通知を行う仕組みである。発信している情報と関係のある他のブログと、連携や交流が可能になる。また、ブログで公開されている記事に対し、閲覧者が意見や感想を入力できる「コメント機能」も代表的なものである。「コメント機能」により、ブログは双方向性のあるコミュニケーションメディアとなる。コメント入力者の名前欄に、自身のブログURL やメールアドレスの掲載が可能であり、「誘導」や「情報収集」などできるなど、コメント入力者の利点もある。
有名なブログアプリケーションには、プラグインとしてさまざまな機能がサードパーティーとなる法人や個人から提供されており、短時間かつローコストで多機能なシステムを立ち上げることができる。

マイクロブログ

「Twitter」のような文字数に制限があるマイクロブログの登場で、個人の「気付き」や「感想」「事象」などを即時的に情報発信が可能となった。また、ケータイやスマホなどのモバイル端末の普及や通信環境の充実により、場所や時間を問わずに情報の受発信を行えるようになり、マイクロブログの普及に貢献した。
高度情報化社会の生活者は、さまざまな情報への接触時間が長くなる傾向があり、情報の受発信源であるマイクロブログは、メディアとしての価値が認められている。マイクロブログからコーポレートサイトやSNS への連携や誘導が可能なことから、話題性の高い情報がマイクロブログに投稿される傾向がある。放送局や新聞社、出版社などといったマ スメディアを運営する組織が、マイクロブログのアカウントを取得し、速報性のある情報配信を行っている。

ブログの問題点

ブログの活用は、「情報発信が容易である」「更新が容易である」「SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)対策も行える」などさまざまな利点がある一方で、いくつかの欠点もある。ブログにより記事を日々公開すると、トップページの最新記事は数件が掲載されるが、古い記事は掲載されない。したがって、閲覧者が過去の記事を読む可能性が徐々に低くなる傾向がある。過去の記事が「価値のある情報」であっても、専門的なカスタマイズを行わない限り、PV(Page View)数は伸びない。

ブログによる情報氾濫

ブログの登場により情報発信が容易になったが、「価値のある情報」が常に発信できるとは限らない。安易な情報発信は、信憑性や公平性を欠く可能性を秘めており、ブランドを傷つける恐れもある。誹謗中傷ともとれる情報発信を行ってしまったために、閲覧者の反感を高め、企業が謝罪する事例があった。また、株の取引市場に大きな影響を与え、株価が暴落する事例もある。さらに、著名人であると偽り、情報発信を行う事例も後を絶たない。
検索サイトの検索結果表示では、探している情報が見つけにくくなるといった問題も起きている。

適切な情報発信に向けて

企業が事業活動の一環でブログを活用するのであれば、自己満足的ともいえる安易な情報発信を避ける考えも必要である。コンテンツとして表現されていることが、すべてであると解釈する閲覧者を生むことも考えられ、個人や法人を問わず、意図しない「印象」をブログにより与えてしまう可能性もある。
「ブログ」で表現するコンテンツは、インターネット上にあるごく一部であり、表現する内容については、十分な検討をした上での公開が望まれる。

JAGAT CS部
Jagat info 2016年3月号より転載

【クロスメディアキーワード】ダイレクトメールの特性

「DM(Direct Mail)」は、販売促進の代表的な一つの手法である。個々の顧客に対し、直接的に情報を訴求できる媒体であり、固定客の維持には適しており、その特徴から活用方法はさまざまである。

ダイレクトメール

「DM」は目的に応じターゲット(対象者)を選定にすることにより、高い効果を期待できる。また、効果測定が可能であるといった利点があり、「DM」による告知を行ったプレゼントキャンペーンでは、申込者数がレスポンス率となり、「DM」の効果が測定できる。
送付先となるターゲットに合わせ情報をカスタマイズすることで、深い情報の発信が可能だが、ターゲット数と比例し費用も増加することから、到達度が犠牲になってしまう傾向がある。効果の指標となる「レスポンス率」を上げる方法を理解し、効果的な情報発信を行うために、マーケティングに関する知識やデータの分析方法の理解が必要になる。

認知と興味

一般的に「DM」では、消費行動のきっかけとなる生活者の「認知」「興味」を向上させるための情報を提供する。サンプルや割引クーポンなどを同梱することで、「DM」の受信者へ「認知」「興味」を刺激し、消費行動へと導く。したがって、「AIDA」や「AIDMA」などの生活者の消費行動モデルについても理解した上で、マーケティングの一環として「DM」の適切な企画を立案し、配信することが望まれる。

One to One DM

「One to One DM」は、ターゲットとなる顧客ごとの「嗜好」や「最新購買日」「累計購買回数」「累計購買金額」などの属性に合わせ、掲載する情報に変化を与え展開する「DM」である。「One to One DM」の実現には、顧客の分析が必要となる。
顧客に関する情報は、主に基本情報と購買データに分かれる。基本情報は、「年齢」や「性別」「住所」などといった属性により構成される。購買データは、「最新購買日」「累計購買回数」「累計購買金額」などの購買履歴により構成される。これらの情報を蓄積しているデータベースから、セグメント化(属性によって分類)されたデータを抽出し分析する。分析結果を基に、セグメントごとに対応した計画を策定し「DM」を展開することで、効果的な結果が期待できるようになる。
分析に用いるデータには、さまざまな行動履歴が含まれていることが望ましい。その理由は、さまざまな行動履歴により、セグメントに幅を持たせることができるようになるからである。

データマイニング

顧客に関するデータを解析し、項目ごとの相関関係や法則などを発見するためには、「データマイニング」に関する技術を利用することで、効率的かつ効果的な結果が期待できる。「データマイニング」は、データベースを「潜在的な顧客ニーズが眠る鉱山として捉え、この鉱山から採掘する(mining:マイニング)」という意味を持つ。
スーパーマーケットのPOS(Point Of Sales)データをデータマイニングすることにより、「ビールを買う顧客は、一緒に紙オムツを買うことが多い」「雨の日は肉の売り上げが良い」などのような、項目間の相関関係を発見することができる。通常では思いつかない仮説ができることも、データマイニングの特徴である。

ダイレクトマーケティング

ダイレクトマーケティングでは、見込顧客や既存顧客に対する個別のマーケティング施策により、「顧客の囲い込み」や「商品の販売」を拡大する。ダイレクトマーケティングでは、プロモーションの結果がターゲットのレスポンスといった観点から測定することが前提となる。したがって、顧客データに大きく依存する傾向がある。通信販売事業と深い関係性があり、さまざまなSP(Sales Promotion)メディアに支えられている。対象となる生活者に対し、単に情報を発信するだけではなく、必要な情報を選別し送付することで、期待する行動を促すことが目的となる。

カスタマーシェア

カスタマーシェアとは、顧客の一定期間における購買総額のうち、個別の商品にそれぞれどれだけ費用を投じたかを示す割合を指す。販売側にとっては、顧客の総購買金額の何パーセントを獲得したかを表す。
カスタマーシェアの最大化を考える場合に、顧客のライフサイクルにおける節目の需要を理解することで、さまざまな商品に対し応用が可能になる。「進学」「就職」「結婚」などの節目には、一般的に消費行動が連動している。「結婚」を機会に家具を購入するなどの行動は、その典型的な例といえる。また、「出産」により家族構成が変化するときにも、大きな消費機会が訪れる。このようなタイミングに合わせ、特定の顧客に対し継続的に「DM」による販売促進活動を展開することが、固定客の囲い込みにつながる。

JAGAT CS部
Jagat info 2016年2月号より転載

【クロスメディアキーワード】ロジカルシンキングとMECE

ロジカルシンキングとは、一貫しており筋が通っている考えや説明の仕方などを指す。

ゼロベース思考

環境変化の激しい現代では、1 年前の当たり前のことが今日に通用しないことがあり、前例の修正だけでは解決できない場合がある。そのため、過去の情報は白紙に戻して考えることが重要になる。ゼロベース思考は、ロジカルシンキングにおける思考のうち、「既成概念を取り払い、一から最善の答えを見つけ出す」といった考え方である。

フェルミ推定

フェルミ推定は、前提や推論の方法の違いにより結論に誤差が生じる可能性も指摘されているが、調査が困難な分野の想定顧客や市場規模について仮説を立てる上では有益であるとされている。統計資料が手元にない問題について、幾つかの手がかりを元として論理的に推論し、短時間で概算する手法である。

MECE

一貫性があり筋が通っている考え方や説明の仕方などは、「MECE(Mutually Exclusive and CollectiveExhaustive)により実現する。
「MECE」とは、マッキンゼー(McKinsey &Company)の提唱した物事を分解し構造化する概念であり、「モレなくダブりがない」を意味している。ロジカルシンキングの技術の中で、「MECE」は非常に重要な考え方となる。「MECE」の活用により、物事の全体像を正しく把握することができる。構造化した考え方に「モレ」がなければ、ロジカルシンキングにより導き出されたすべての要素に対して思考することが可能になる。さらに、分解されたそれぞれの要素に重複がないため、それぞれの分析が容易になる利点もある。解決が難しい大きな問題に対する際、小さな問題に分解することで、解決が容易になる。

構造化と切り口

「MECE」は、構造化する際の分解で非常に重要な役割を果たす概念である。「物事」を「MECE」により分解する際には、「切り口」が重要になる。通常は、対象となる一つの物事に対し、「切り口」は複数存在する。そのため、「目的」や「主題」に適した「切り口」を選定する必要がある。しかしながら、複数の「切り口」を混在させることで、「モレ」や「ダブり」が生じやすくなる。
また「モレ」や「ダブり」のほか、「MECE」により分解した要素に対する優先順位付けも重要になる。「切り口」の発見は容易ではないが、「グルーピング」を利用することで「切り口」が発見しやすくなる。「MECE」による代表的な「切り口」は、「相対する概念(「賛成」や「反対」、「A である」「A ではない」など)」「短期、中期、長期などといった尺度に対するいくつか区切り、物事の起点から終点といった順序による適度な区切り」「男性と女性、動物と植物など並列している物事による区切り」といったものを挙げることができる。しかしながら、これらの「切り口」に縛られることで先入観に陥ってしまうことや、本末転倒となる階層までの細分化にとらわれてしまうことに注意が必要になる。

ロジックツリーとピラミッドストラクチャー

「MECE」は、「ロジックツリー」や「ピラミッドストラクチャー」として表現されることがある。「ロジックツリー」と「ピラミッドストラクチャー」は、ツリー構造になっており並列するボックスが「MECE」になっていることなどから、よく似ている。
「ロジックツリー」は「トップボックス」として最終的に解決すべき命題を定義し下位の階層へ原因や手段などを展開する「トップダウンアプローチ」で考察される傾向が強く、「ピラミッドストラクチャー」は最終的な主張を頂点に置き下位の階層にその論拠を展開させる「ボトムアップアプローチ」により考察される。

フレームワーク

フレームワークとは、枠組みのことを指しロジカルシンキングでは、一般的に「MECE」によって分類され、さまざまな問題について考察する際の「切り口」となる。フレームワークの一つである「MECE」を活用することで、問題に対する表現や物事の分類などを行う際に、モレやダブリをなくし大きな視点で問題を捉えることができる。さらに、問題パターンに応じた定型的なフレームワークとすることで、思考の際に効率化が図れる。
フレームワーク活用の留意点は、情報を整理するだけでなく論理的に整合させるということが挙げられる。フレームワークは、情報を整理するためのツールであり、利用すること自体を目的化しないようにする。
留意点を踏まえることが、経営分析やマーケティング戦略策定などで、仮説の設定においてフレームワークが役立つ可能性を高める。

JAGAT CS部
Jagat info 2016年1月号より転載