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JUMP東北2016

毎年恒例のJAGAT東北地区の集い「JUMP東北2016」は、8月26日(金)に宮城県印刷会館にて開催し、前日の25日(木)にはジョイントセミナーを実施いたします。 続きを読む

未来を創る方向性は各社各様だが、新たな人材育成が必須!

JAGATではJUMP(JAGAT地域大会)において“印刷の「未来を創る」”方向性をめぐり各地でディスカッションを重ねている。東北地区では五感に訴える紙の強みとデジタルの連携に活路を見出し、中国・四国地区では営業力の底上げなど新たな人材育成にスポットがあてられた。

 

各地のJUMPでは、「JAGATからの報告」として、『印刷白書』及び『JAGAT印刷産業経営動向調査』などJAGATの研究調査レポートを基に、業界と印刷ビジネスの最新動向を解説し、次に今年度の全体テーマのモチーフとなったジョー・ウェブ博士著『未来を創る-THIS POINT FORWARD』のおさえるべきポイントと、そこから見えてくる今後の印刷会社が取り組むべきことについて解説をしている。そしてそれらを踏まえて、日本における印刷業各社の未来を考え、自社のビジネスをどう変えていいくのかという方向性を見出すべく議論を重ねている。
去る9月17日に広島において開催したJUMP中国・四国2015では、ディスカッションのモデレータをJAGAT専務理事の郡司秀明が務め、スピーカーにはJAGAT会長の塚田司郎ともに、地元広島県より細川俊介氏(アート印刷(株) 代表取締役)、田尾直也氏((株)原色美術印刷社 代表取締役)及び山口県から藤田良郎氏(瞬報社写真印刷(株) 代表取締役社長)を迎えて行った。
参加者からは「各社各様の意見や考え方が聞けてよかった」と非常に好評で、「悩んでいることは同じと感じた」などの感想が得られたが、以下にパネラー各位の発言を抜粋してそのエッセンスをお届けする。

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◯問題の提起
・輪転を中心にやって来たが、15年後にどうなるか誰にもわからない。社員にもそのことを伝え、その時に「これしかできない」では困るので、人のローテーションを行っている。時間と金はかかるがこれまで受け身で仕事をしてきた社員に自ら考えさせ、現場から提案が上がってくるように取り組み始めたところだ。先行き見えない状況ではあるが、逆に人が変わるいいチャンスだと捉えている。(田尾氏)
・我々は社名のとおり(アート印刷)の会社になりたい。『未来を創る』には印刷へのこだわりを捨てなさいといったことが書かれているが、我々の顧客は画家、美術館、美術大学、画商などで、例えば画家は自分の色を印刷では再現できないことは理解しているが、その雰囲気に近づけることを要望し、そこをどう料理するかが勝負のしどころであり命である。質感や紙にこだわって今後も追求していきたい。(細川氏)
・我々の業界に最も影響をもたらしたのはマーケティング手法がアウトバウンドからインバウンドへと根本的に変わったことだ。スマホ出現以来、世の中は24時間ネットにつながり、ログを取ることがマーケティングの中心となった。経営者は、その状況を印刷物がどのように取り込んで、アクションしていくかを考え、そこに向けてスケジュール感をもって今何をするべきかを示していかねばならない。その戦略は10社あれば全部違うであろう。(藤田氏)
・新しいビジネスを立ち上げる必要から、デジタル印刷に取り組んで10年以上になるが、当時やってみてわかったことは、お客の言うとおりにやるオーダーメイドであるオフセット印刷とマルチプルチョイスでやるしかないデジタル印刷は考え方が真逆であるということ。したがって、営業のやり方も違い、価値観が違うビジネスを展開するのに最も重要なのは人選でる。(塚田会長)

◯課題解決に向けて
・今ある組織は今日までの商売をやるため最適化されたものだが、全く違う商売を始めるためには昨日までの組織では機能しない。(塚田会長)
・印刷の出荷額は今後も減っていくであろう。印刷以外で飯を食っていこうとするときに、サービス業へ転換していく必要があると考えている。製造業で勝負しようとする考え方もあり、企業もあるだろうがそうなると詰まるところネットで仕事をかき集めてギャンギングしまくって、という印刷通販方式で勝負するしかないであろう。しかし、これまでの印刷会社の人は機械を稼働させるためにサービスはタダで提供するというところがあり、顧客が儲かった対価をいただくといった考え方に切り替えていかなければならない。そのためには営業力の底上げしかないと思い、我が社では全営業マンに重点アプローチシートを作らせ、毎月1度、東京では私自らが全員と面談し、報告を受けそれに対しアドバイスを行いながらシートを更新していくということをやっている。さらにそれを社内ネットワークに上げて全員で共有するようにしている。地道ではある着実に営業のスキルが上がってきたことを実感している。(藤田氏)
・極論すれば将来印刷機がない会社をも視野に入れている。今後は設備に投資するくらいなら人に投資していきたい。特に、営業は外に向けての発信力が必要になってくるであろう。そのためにもまずは自分自身が勉強し、変わったうえで社員を引っ張っていけるかどうかにかかっている。(田尾氏)
・アートを追求するが、マーケティングの知識、素養があれば営業力は大きく高まる。美術館も来場者が減り、ショップの売上も落ちている中でマーケティング手法を取り入れて提案ができれば、印刷技術と合わせて鬼に金棒となるであろう。(細川氏)

◯未来を創るために
・人なしには何もできない。人にしっかり向き合い時間も投資していきたい。(田尾氏)
・現時点ではデジタル印刷の導入は考えておらずオフセットの更新を考えている。商売で言えば孤独な我が道を行くであるが、困難ではあるが自分で潮流を創る立ち位置えお目指したい。(細川氏)
・データ予測では将来パッケージ印刷が良いからといってパッケージ印刷機を買っても仕事が付いてくるわけではない。5~10年先を考えると、印刷だけを追求しても部数は減り苦しくなる一方で、サービスを付加して儲ける割合を増やさなければならない。(藤田氏)
・自分がなにをやりたいか、自社が社会にとってどういう存在になりたいかを考えるとき、仕事に対する価値観がぶれないところで新しいビジネスを考える必要がある。『未来を創る』にも印刷のセグメントごとに未来は違うことが示されているが、自分がやったことのない市場で勝負するのは大変難しい。各社の方向性にあったものを選択していく必要がある。(塚田会長)

JUMPはこの後、大阪(JAGAT近畿大会:11月17日)、名古屋(JAGAT中部大会:2016年1月27日)と続き、『未来を創る』を巡るディスカッションの集大成としてpage2016(2016年2月3日~5日)のカンファレンスへとつなげていく予定である。

(CS部 橋本 和弥)

<関連情報>
JAGAT近畿大会2015 11月17日(火)開催(太閤園)
 印刷の「未来を創る」~新たな価値づくりへの挑戦

【11月24日開催】 JAGAT近畿大会2023 お申込み

セミナー名:  JAGAT近畿大会2023  詳細案内ページ
開   催   日:  2023年11月24日(金) 15:00-19:30
参   加   費:  1名:13,200円(税込・懇親パーティー込み)

 

・申込みは、下記のフォームに必要事項をご記入のうえ、送信ボタンを押してください。
・申込フォームにメールアドレスを入力した後「Enter」ボタンを押すと、フォームの内容が送信されてしまいます。恐れ入りますが、「Tab」ボタンを使う、マウスを使うなどの方法で移動お願いします。

※ご注意ください※
本 メールにご登録いただくと、申込完了メールが送信されます。登録後、数分経ってもメールが受領できない場合は、迷惑メールフィルタ等の要因が考えられま す。その場合は、お手数ですが、メール()またはTEL(03-3384-3411)までお問合せください。

 

0.参加費用

1名様:13,200円(税込・懇親パーティー込み)

■参加人数

1.会社の情報

■社名(例:公益社団法人日本印刷技術協会) ※必須

■シャメイ(例:ニホンインサツギジュツキョウカイ)

郵便番号(例:166-8539)

■住所1(例:東京都杉並区和田1-29-11)

■住所2(例:印刷技術協会ビル3F)

2.申込みする方の情報

申込む方と参加される方が異なる場合は、請求書をお送りする方の情報をご登録ください。

■部署名(例:総務部)

■役職名(例:課長)

■お名前(例:印刷 太郎) ※必須

申込者は参加しない

■メールアドレス(例:taro_insatsu@jagat.or.jp) ※必須

このメールアドレスに登録完了メールが送られます。

■FAX(例:03-3384-3168)  ※必須

開催日直前にお申込みいただいた場合は、受講証をこの番号にお送りいたします。

2.申込者以外の参加者情報

申込む方と参加される方が一緒の場合は、本欄は入力不要です。

【参加者1】

■部署名(例:企画営業部)

■役職名(例:主任)

■お名前(例:印刷 花子)

■メールアドレス(例:hana_insatsu@jagat.or.jp) 

【参加者2】

■部署名(例:企画営業部)

■役職名(例:主任)

■お名前(例:印刷 次郎)

■メールアドレス(例:jiro_insatsu@jagat.or.jp)

■その他備考

3.JAGATからのご案内について

よろしければJAGATからセミナー開催案内や関連のご案内を送付させていただきます。
不要の方はチェックを入れてください。
JAGATからの案内を希望しない


お申込みありがとうございます。登録完了メールをお送りいたしました。
しばらくしてもメールが届かない場合は、お手数ですが再度ご登録いただくか、
webmaster@jagat.or.jpまでお問合せください。

五感に訴える印刷物とデジタルの連携~JUMP東北2015報告

今年度のJUMP(JAGAT地域大会)開催が、8月21日の東北地区(仙台)からスタートした。テーマである“印刷の「未来を創る」”方向性を探るディスカッションでは、デジタル・ネット時代において紙の印刷物の強みをどのようにとらえ、ビジネスにしていくかに焦点が当てられた。  

今年度のJUMP(JAGAT地域大会)の共通テーマに取り上げたジョー・ウェブ博士の『未来を創る-THIS POINT FORWARD』(JAGAT刊)は、「印刷物への愛を語るのはやめよう」という少し耳の痛い話から始まる。そして、印刷業界の現状を、データに裏付けられた(実は驚くべき)事実としてとらえたうえで、印刷業界にとって明るい未来を創るための方向性として、新しいビジネスの構築のための人材や、機材、技術、そしてパートナーシップ等について様々な示唆を行っている。
むろん、ウェブ博士はアメリカのコンサルタントであり、アメリカの印刷業界が前提ではあるが、ポイントは印刷業界を取り巻く経営環境が急速に変化する現代において、どのような方向で経営マインドのチェンジを図っていくべきかにスポットが当てられていることだ。そこで、これを題材に、あるいはきっかけとして、JUMP開催の各地域で議論を重ね、日本における印刷業各社の未来を考え、新たな印刷ビジネスの方向性を見出したいとの思いからテーマとして掲げたものである。 

 

プログラムは、『未来を創る』にあるとおり「まずは事実を知ろう」ということで、最初にJAGAT研究調査部部長の藤井建人より「印刷ビジネスの最新動向2015」と題し、「印刷白書」や「経営力調査分析」などJAGATの研究調査による、データでとらえた印刷ビジネスの最新動向を、周辺ビジネスのトレンドとともに報告、解説を行った。
次に、JAGAT専務理事の郡司秀明が『未来を創る』が示唆する、印刷会社の2020年を見据えたビジネスについてのポイントを解説し、これに続くディスカッションへと導いた。

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「印刷ビジネスの最新動向」「未来を創る」に関する報告を踏まえたディスカッションは、モデレータを専務理事の郡司が務め、パネラーにはJAGAT会長の塚田司郎、藤井JAGAT研究調査部長とともに、(株)DIG JAPAN代表取締役の星名 勧氏を迎えて行った。限られた時間ではあったが中身の濃い有意義な発言が多く、JUMP参加者にとっても最大の課題である「自社のビジネスをどう変えていいくのか」について、ヒントとともに勇気やモチベーションが得られたのではと感じられた。
以下、そのエッセンスを各パネラーによるポイントとなる発言やキーワード・センテンスをもって報告する。 

 

  • 印刷物(紙)はデジタル(メール等)に比べ圧倒的に人の五感に訴えることができる。
  • DM(紙)の弱点と言われているコストと効果測定は、デジタル(メール等)と連携させれば補うことができる。アメリカのマーケターの間では「DMにするかメールにするか」という議論はない。DMを何回打ち、メールをどのタイミングで何通配信するかという予算配分の話だけである。
  • メールは中身を見ないで捨てられる事が多いが、その解決手段はアメリカでははるか以前に正解が出ており、それは「紙」を使用することだ。DMは少なくとも誰しも手にとって差出人くらいは確認する。その時に手触りやデザインなど五感に訴えることに心血を注いでいる。
  • Googleは、毎年膨大な予算を割いてDMを出している。最たるIT企業が、紙の効果を知っているからだ。
  • 日本にありがちな印刷とデジタルをバーサス(対立)でとらえて「紙はダメだ」と結論付けるのは間違い。GoogleですらDM(印刷)とネット(デジタル)を区別していないということだ。
  • 単純に統計を考えると、印刷需要の縮小は避けられず、確かに新聞購読者は減り折込チラシも減少していくだろう。しかし紙の質感、手触りなど五感に訴える力で新たな価値の創造、見直しが図られるだろう。
  • 日本でインターネットが民間に開放されたのが1993年で、生まれた時からネット環境にあり我々とは価値観が違う世代がいよいよ大学を卒業して社会に出てくる。はじめからモニターで育った世代には、長時間見るためには反射光の方が楽であるといったことを説明する必要があるかもしれない。
  • マーケティングオートメーションはあくまで仕組み、ツールに過ぎなく、要はそれを使ったプランニングの提案である。マーケティングオートメーションとデザインをリンクさせるとビジネスになり、印刷会社にはそのような総合的なハンドリングができると固く信じている。
  • うちの会社ではそんなことできない(人材もいない)と思う経営者もいるが、クライアントに次に切られないために必死に頭を絞り、トライ&エラーの積み重ねで結果として新しいビジネスになる可能性があり、そのような実例も多々ある。
  • 思い切って印刷でダメなことはダメと認めないと始まらない。それを認めた時に、本当に印刷物が必要なところが見えてくるのでは。iPadで検索する今の子供にいくら辞書の必要性、効用を説明してもムダだが、友人とのプリクラのやり取りは紙の台帳でやる。何も言わなくとも彼らは紙の必然性を理解している。本当に紙が必要な場面でこそ、新たな価値、ビジネスが見えてくる。 

(CS部 橋本 和弥)

 

 ※関連情報

JUMP中国・四国2015&ジョイントセミナー 9月17日開催(KKRホテル広島)
http://www.jagat.or.jp/JUMP中国・四国2015