【クロスメディアキーワード】コミュニケーションの基本

掲載日:2016年10月17日
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さまざまなメディアをコーディネートする上で、生活者の「コミュニケーション」に関する基本的な知識は、非常に重要になる。

コミュニケーションとは

メディアのコーディネートを前提とした本稿では、情報の伝達とその効用を重視し、「コミュニケーションとは、社会生活を営む生活者間で行われる、送り手と受け手による知覚や感情、思考などの情報伝達と共通理解や共同関係」であると定義する。
「送り手」は収集した情報を構造化し、「受け手」が理解できるように手を加えて、「コミュニケーション」の価値を高められる。情報を効率的かつ効果的に表現することで、「コミュニケーション」の目的を達成することが可能になる。目的や意図のある情報として明確化するには、情報の加工が必要になる。情報を人々の経験に基づく知識をもとに、生活者が理解できるように加工することで、目的や意図の伝達が可能となり、共有すべき知識の源となる。

コミュニケーションの構造

人と人による「コミュニケーション」を図る場合、事前の共有が前提となることがある。そのとき前提の中でも、表現方法や物事の関係性や背景などの状況を含めた「コンテキスト(文脈)」が、重要になる。同様の情報でも、「受け手」が異なることで、解釈も異なる場合がある。有効な「コミュニケーション」は、事前に共有しなければならない「知識」と「理解」が必要になる。受け手による誤解を避け、正確な理解を促す「コミュニケーション」手法が重要である。

コミュニケーションの要素

「コミュニケーション」において「言葉」は、情報を表現するための中心的な要素である。また「言葉」には、「話し言葉」と「書き言葉」があり、「話し言葉」では表現内容のほかに、「声の調子」「声のテンポ」「声量」「リズム」「イントネーション」「間のとり方」などが重要な要素となる。表現内容とほかの要素は、「受け手」となる人に多様な反応を誘引する。
「書き言葉」は、文字の発明により実現した。「書き言葉」は「話し言葉」が使用できない場面で、基本的に使用される。地理的や時間的に不都合がある「受け手」に対し、情報を発信する際に重要な「コミュニケーション」の要素となる。また、「書き言葉」を重要な要素として位置付け、「論文」や「小説」などとして自己表現に使用する「送り手」となる人々も存在する。
しかし、「言葉」だけが唯一の表現するための要素ではない。「ジェスチャー」の一つである「表情」「視線」についても、「コミュニケーション」の重要な要素であると考えられる。このことから、「小説」では「表情」や「視線」も、「言葉」で表現することがある。
さらに「身体の接触」も、アメリカの社会学者であるアーヴィング・ゴッフマンにより、「コミュニケーション」の要素であると提唱されている。「身体の接触」は、「話し言葉」の「強調」や「捕捉」などとして、作用することが多い。
これらの例から理解できるように「コミュニケーション」は、「バーバル(言語的)コミュニケーション」と「ノンバーバル(非言語的)コミュニケーション」として、大きく2 つに分類できる。

バーバルコミュニケーション

文字や画像、音声、映像などを使用した「コミュニケーション」は、「バーバルコミュニケーション」に分類される。「コミュニケーション」の中では、意識的に行うことを前提に、断続的であることも多く、論理的要素も求められ、意思を明確に伝達する際に用いられる。理性で訴えることが多く、「コミュニケーション」の表現において言語への依存度が高い文化圏で重要視される傾向がある。
バーバルコミュニケーションは、ペーパーメディアやデジタルメディアを活用したコミュニケーションにおいて、コンテンツを構成する中心的な要素となる。また、ビジネス上では手紙や電子メール、報告書、提案書など、さまざま「コミュニケーション」の場で、必要不可欠なものとなる。

ノンバーバルコミュニケーション

ノンバーバルコミュニケーションは、「表情」や「視線」「身振り」「手振り」などの「ジェスチャー」が分類される。「コミュニケーション」全体の中では使用比率が高く、意識的かつ無意識的に行われる。継続的な「コミュニケーション」に適用され、強い感覚的要素を伴う。感情的表現により感性に訴求し、「コミュニケーション」の表現において、言語への依存度が低い日本を含む文化圏で重要視される傾向がある。「ジェスチャー」は、「あくび」や「腕組み」など、無意識に行われるものがある。無意識の「ジェスチャー」は、感情の処理や生理的欲求の充足のために多く行われる。

メラビアンの法則

アメリカのアルバート・メラビアンによる「メラビアンの法則」は、限られた環境の中で話し手の印象は、「表情」「声の調子」「言語」の順に重要視され、非言語的な要素が比較的大きいと提唱されている。

ザイアンス効果(単純接触効果)

ロバート・ザイアンスは、何度も見聞きすることで、次第に良い感情が起こる効果があると提唱する。これは、会う機会の多い人や何度も聞く音楽は、好きになる傾向があることを意味する。経験による潜在記憶は、印象評価において誤って帰属されるという、知覚的流暢性誤帰属説で説明されている。潜在学習や概念形成など、働きも関わるとされており、この傾向を「ザイアンス効果」や「単純接触効果」と呼ぶ。
「セブンヒッツ理論」は、「ザイアンス効果」を理論的に発展させ、マスメディアやミドルメディア(インターネットメディア)により、生活者が商品に関連した情報に7 回触れることで、実店舗やEC(Electronic Commerce)サイトでその商品を購入する確率が高くなると提唱している。

JAGAT CS部
Jagat info 2014年10月号より転載