【クロスメディアキーワード】メディアリテラシーとフィルタリング

掲載日:2016年10月26日
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現代のような高度情報化社会では、多くのメディアに接触する生活者にメディアリテラシーの向上が求められる。情報発信側にもメディアリテラシーへの理解が欠かせない。以前も取り上げたが、改めて解説する。

メディアリテラシー

メディアリテラシーとは、メディアを介した情報の受信者が、主体的に内容を読み解いた上でメディアを活用する能力を指す。リテラシーとは読み書きに関する能力を指すが、さまざまなメディアの持つ個別の様式にはメッセージ性があることから、マーシャル・マクルーハンは「メディアはメッセージである」とし、メディアリテラシーの重要性を喚起した。現在ではメディア特性を踏まえた情報に対する判断と活用が受信者に求められるため、メディアリテラシーの重要性が高まっている。メディアの多様化により、マスメディアだけでなくミドルメディア(インターネットメディア)やパーソナルメディアなど、さまざまなメディアから情報を取捨選択する能力が受信者には必要になる。
受信者は主体的かつ批判的にメディアに接触する能力が求められるが、発信者はさまざまなメディア特性を理解した上で情報を展開する能力が求められる。

情報の信憑性

テレビ放送の情報なら「正確」で「事実」という安易な判断は、メディアリテラシーに欠ける。発信された情報については、作成された意図を酌み取る必要がある。広告としての情報に関する表現は、利害関係や編集意図が介在することで、中立的な情報が必ずしも発信されているとは限らない。しかしながら、メディアリテラシー向上の目的は、広告を否定するものではない。広告の信憑性は、情報を正確に捉えるためにその役割やバイアス(偏り)を認識する必要がある。

メディア特性

情報技術の発展により、パソコンやスマホ(スマートフォン)、タブレットなどのさまざまな端末が生活者に普及した。テレビ放送や新聞、雑誌などの直感的に理解しやすいメディアと比べ、インターネットに接続することで閲覧できるさまざまなメディアは、そのメディアごとの特性を捉えることに困難が伴う。
ブログとSNS(Social Networking Service)のように、使用法が異なるものの機能は共通点が多い場合、技術やサービスの名称によりメディア特性を区分することに意味を持たないことがある。メディアが、すべて同質のメディアであるとは限らない。それぞれのメディアに対する情報の受発信の特徴を考察し、その役割と評価などの特性を熟考することが必要になる。

高度情報化社会

メディアリテラシーが向上することで、高度情報化社会を正確に捉え、充実したコミュニケーションを図るきっかけを得ることが期待できる。ビデオカメラとインターネットによる市民チャンネルのようなインターネット放送が一般化し、情報の受信者が発信者でもある社会が到来している。

フィルタリングサービス

メディアリテラシーが未発達の可能性がある未成年者を対象とし、健全な育成を目的とするフィルタリングサービスが提供されている。ケータイ(フィーチャーフォン)やスマホの未成年者による利用が拡大したことから、配信される情報への規制が求められている。インターネット上には、犯罪につながる情報や未成年者に有害な情報も存在する。したがって、それらのコンテンツやコミュニティーサイトに対する接続を制限する「フィルタリング」が実施されている。日本の「フィルタリング」は、総務省の要請により移動体通信事業者が実施するサービスである。「フィルタリング」は利用者ごとに、有効や無効の切り替えが可能で、一般的には、保護者が未成年者の利用する端末の設定について判断するので、移動体通信事業者は保護者に対し「フィルタリング」に関する意思の確認を行う。

フィルタリングの種類

「フィルタリング」には、「ホワイトリスト方式」と「ブラックリスト方式」の2 種類がある。

・ブラックリスト方式
特定のカテゴリーに属するWeb コンテンツやWebサイトをリスト化し、接続を制限する方式。一律でカテゴリーの分類を行うため、健全なWeb コンテンツやWebサイトに接続できない可能性もある。
・ホワイトリスト方式
一定の基準を満たしたWeb コンテンツやWeb サイトのみをリスト化し、リストに入っていない場合に接続を制限する方式。無数に存在するWeb コンテンツやWebサイトの極めて部分的なものとなるため、利便性が損なわれる傾向がある。

フィルタリングの課題

「フィルタリング」用のリストは、その提供事業者がWeb コンテンツやWeb サイトの情報を収集し、移動体通信事業者へ提供している。リストの内容は、詳細な解析が行われた上で分類されているとは限らない。正確な「フィルタリング」が行われない可能性が残っている。有用な情報を提供しているにも関わらず、接続が制限されてしまう事象もあり、コンテンツ提供事業者から問題視されることもある。

フィルタリングの動向

現在では、未成年者が利用する端末に対するフィルタリング使用の原則化が完了している。今後は更なる普及促進とともに、機能のカスタマイズ化といった画一的な現行モデルの改善策の検討も進められている。一部の地方自治体では、未成年者に対する「フィルタリング」を実質的に義務化する動きもある。

メディアリテラシーとフィルタリング

「フィルタリング」はメディアリテラシーの向上に対する阻害要因となる可能性もある。未成年者も情報の選別ができるように、メディアリテラシーの向上を考慮した取り組みが必要になる。

JAGAT CS部
Jagat info 2015年2月号より転載