【クロスメディアキーワード】ダイレクトメールの特性

掲載日:2016年11月21日
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「DM(Direct Mail)」は、販売促進の代表的な一つの手法である。個々の顧客に対し、直接的に情報を訴求できる媒体であり、固定客の維持には適しており、その特徴から活用方法はさまざまである。

ダイレクトメール

「DM」は目的に応じターゲット(対象者)を選定にすることにより、高い効果を期待できる。また、効果測定が可能であるといった利点があり、「DM」による告知を行ったプレゼントキャンペーンでは、申込者数がレスポンス率となり、「DM」の効果が測定できる。
送付先となるターゲットに合わせ情報をカスタマイズすることで、深い情報の発信が可能だが、ターゲット数と比例し費用も増加することから、到達度が犠牲になってしまう傾向がある。効果の指標となる「レスポンス率」を上げる方法を理解し、効果的な情報発信を行うために、マーケティングに関する知識やデータの分析方法の理解が必要になる。

認知と興味

一般的に「DM」では、消費行動のきっかけとなる生活者の「認知」「興味」を向上させるための情報を提供する。サンプルや割引クーポンなどを同梱することで、「DM」の受信者へ「認知」「興味」を刺激し、消費行動へと導く。したがって、「AIDA」や「AIDMA」などの生活者の消費行動モデルについても理解した上で、マーケティングの一環として「DM」の適切な企画を立案し、配信することが望まれる。

One to One DM

「One to One DM」は、ターゲットとなる顧客ごとの「嗜好」や「最新購買日」「累計購買回数」「累計購買金額」などの属性に合わせ、掲載する情報に変化を与え展開する「DM」である。「One to One DM」の実現には、顧客の分析が必要となる。
顧客に関する情報は、主に基本情報と購買データに分かれる。基本情報は、「年齢」や「性別」「住所」などといった属性により構成される。購買データは、「最新購買日」「累計購買回数」「累計購買金額」などの購買履歴により構成される。これらの情報を蓄積しているデータベースから、セグメント化(属性によって分類)されたデータを抽出し分析する。分析結果を基に、セグメントごとに対応した計画を策定し「DM」を展開することで、効果的な結果が期待できるようになる。
分析に用いるデータには、さまざまな行動履歴が含まれていることが望ましい。その理由は、さまざまな行動履歴により、セグメントに幅を持たせることができるようになるからである。

データマイニング

顧客に関するデータを解析し、項目ごとの相関関係や法則などを発見するためには、「データマイニング」に関する技術を利用することで、効率的かつ効果的な結果が期待できる。「データマイニング」は、データベースを「潜在的な顧客ニーズが眠る鉱山として捉え、この鉱山から採掘する(mining:マイニング)」という意味を持つ。
スーパーマーケットのPOS(Point Of Sales)データをデータマイニングすることにより、「ビールを買う顧客は、一緒に紙オムツを買うことが多い」「雨の日は肉の売り上げが良い」などのような、項目間の相関関係を発見することができる。通常では思いつかない仮説ができることも、データマイニングの特徴である。

ダイレクトマーケティング

ダイレクトマーケティングでは、見込顧客や既存顧客に対する個別のマーケティング施策により、「顧客の囲い込み」や「商品の販売」を拡大する。ダイレクトマーケティングでは、プロモーションの結果がターゲットのレスポンスといった観点から測定することが前提となる。したがって、顧客データに大きく依存する傾向がある。通信販売事業と深い関係性があり、さまざまなSP(Sales Promotion)メディアに支えられている。対象となる生活者に対し、単に情報を発信するだけではなく、必要な情報を選別し送付することで、期待する行動を促すことが目的となる。

カスタマーシェア

カスタマーシェアとは、顧客の一定期間における購買総額のうち、個別の商品にそれぞれどれだけ費用を投じたかを示す割合を指す。販売側にとっては、顧客の総購買金額の何パーセントを獲得したかを表す。
カスタマーシェアの最大化を考える場合に、顧客のライフサイクルにおける節目の需要を理解することで、さまざまな商品に対し応用が可能になる。「進学」「就職」「結婚」などの節目には、一般的に消費行動が連動している。「結婚」を機会に家具を購入するなどの行動は、その典型的な例といえる。また、「出産」により家族構成が変化するときにも、大きな消費機会が訪れる。このようなタイミングに合わせ、特定の顧客に対し継続的に「DM」による販売促進活動を展開することが、固定客の囲い込みにつながる。

JAGAT CS部
Jagat info 2016年2月号より転載