【クロスメディアキーワード】クラウドコンピューティング

掲載日:2016年11月25日
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パソコンにアプリケーションをインストールし、さらにデータについてもそのパソコンに保存している場合、アプリケーションの機能やデータの利用には、「そのパソコンが利用できる環境」に制約される。

クラウドコンピューティングの採用

クラウドコンピューティングとは、ネットワーク(インターネットを指すことが多い)の向こうを「雲(クラウド)」に見立て、これまでパソコンにインストールすることでアプリケーションにより提供されていた機能を「雲の向こう」からサービスとして享受するといった意味が語源となっている。
クラウドコンピューティングを採用し場合は、Webブラウザーによりアプリケーションの機能やデータをサービスとして提供しているサーバーに接続することで、利用できる環境が特定のパソコンになるといった制約がなくなる。さらにケータイやスマホ、タブレットなどパソコン以外の端末からの利用も可能になることがある。クラウドコンピューティングの採用により、データの共有も可能となり、アプリケーションやデータを利用する時間や場所に関する制約もなくなる。しかし、「ネットワークに接続しているサーバー上でデータを処理する」といった考え方は、クラウドコンピューティングに限られるものではない。
ASP(Application Service Provider)によるサービスや、あらゆるモノにコンピューターやIC チップなどが埋め込まれ、有線または無線による通信により常に相互に接続され、いつでもどこからでも、さまざまな情報やサービスを利用できる情報ネットワーク環境である「ユビキタスネットワーク」といった考え方もある。

クラウドコンピューティングの普及

クラウドコンピューティングが一般化した背景には、インターネットの普及や関連する技術の発展がある。ネットワークの利用に高額な費用を要し、機能面においても不便であった時期と比べ、今日ではその障壁が非常に小さなものとなった。
また、仮想化技術やグリッドコンピューティングを利用することで、実際に処理を行うさまざまなハードウェアやさまざまなソフトウェアを意識することなく、サービスを享受できるようになっている。
前述のとおり、クラウドコンピューティングを利用する場合、ハードウェアの購入やシステムの構築に伴う初期投資は、大きな削減を見込むことができ、「短期間だけの試用」も可能であるといった柔軟性も併せ持つ。一方、長期的な利用になることで、契約形態によっては、多くの費用を要するといった例も存在する。
クラウドコンピューティングによるサービスに大きく依存することで、サービスの終了や提供事業者の倒産などが、大きなリスクとなるという懸念もある。さらに、自身でコントロールできないネットワークやシステムの障害による影響を被る恐れもある。

クラウドコンピューティングの欠点

クラウドコンピューティングの欠点として、カスタマイズに対する柔軟性が低いといった意見がある。しかし、サービスの組み合わせにより改善できる可能性がある。また機密情報をインターネットに接続しているシステムに保存して利用することは、ハッキングの対象となるリスクもあり、さらに接続時には盗聴される可能性も否定できない。この点については、クラウドコンピューティングによるサービスを提供する事業者が最も留意するセキュリティー対策に左右されるが、実績のある事業者であれば相応の投資をしている可能性も高く、自身で不完全なセキュリティー対策をしている場合と比べ、高度なセキュリティーを得られるといった考え方もある。

関連用語

・マッシュアップ
「マッシュアップ」とは、「混ぜ合わせる」といった語源から、もとは「違う曲のボーカルと伴奏を融合させて新たな表現を試みる」といった音楽の手法を指す。さらに、複数の機能やコンテンツを融合し、新規にサービス化することについても「マッシュアップ」と呼ぶようになった。特に「Web 技術」においては、無償で提供された複数のAPI(Application Programming Interface)を組み合わせ、あたかも一つのサービスであるかのように機能させることを指す場合が多く見られ、「Web2.0」の特徴の一つとして挙げられていた。

・SaaS
SaaS(Software as a Service)は、アプリケーションソフトウェアをパッケージといった形態ではなく、ネットワークからアプリケーションソフトウェアの機能をサービスとして提供することを主に指している。導入に際しての敷居が低いことや、すぐに利用が開始できる点が代表的なメリットとして挙げられるが、使用中のトラブル対応もサポートしていることが多く、導入だけでなく運用に対しても優位性がある。

・SLA
SLA(Service Level Agreement:サービス品質保証制度)では、サービスを提供する事業者と委託する事業者間で、内容と範囲、品質に対する水準を明確にし契約を行う。

JAGAT CS部
Jagat info 2016年4月号より転載