印刷産業の事業所数【印刷界OUTLOOK2015/2016】

掲載日:2016年7月20日

印刷業、製版業、製本業、印刷物加工業、印刷関連サービス業から構成される、印刷産業。事業所数は2万以上、製造業のなかでも5番目に多い事業所数です。

JAGATでは、「印刷界OUTLOOK」として印刷・同関連業に関係するさまざまなデータを各種統計資料から選びました。>>印刷界OUTLOOK2015/2016

日本経済に一定の地位を占める印刷産業

経済産業省「平成25 年工業統計表 産業編」によると、2013 年の印刷・同関連業の事業所数は、2 万7026(前年比4.3%減)と、製造業全体(41 万802)の6.6%を占めています。製造業24 業種においては、金属製品製造業(5 万5556)、食料品製造業(4 万3320)、繊維工業(4 万128)、生産用機械器具製造業(3 万7389)に次ぐ、製造業24 業種中上位5 番目の多さ。ちなみに事業所総数が5 番目の多さという結果は、2008 年から6年連続となっています。

印刷・同関連業の約2万7000 事業所は、書店数(1万3943、2014 年)の約2 倍、保育園・保育所(2 万4425、2014年)より若干多く、ガソリンスタンド(3万3510 店、2014 年度)より約20%少ないという規模感です。

印刷・同関連業の事業所数推移を見ると、1988 年の4万7500 をピークに長期的な減少傾向にあります。2010年からは2 万台で推移、四半世紀を経た2013 年の事業所数は、ピーク時の55%となっています。詳細は後述しますが、印刷・同関連業では最多の印刷業が8 割弱を占めます。特に多いのは「オフセット印刷業(紙に対するもの)」。

全体の約6 割を占める1 万6399 と、統計結果を見ると、印刷・同関連業の主流は、紙に対するオフセット印刷業であるといえます。

10 人未満が8 割、バラエティーに富む印刷産業

印刷・同関連業は、印刷業、製版業、製本業、印刷物加工業(印刷物の光沢加工や裁断、箔押しなど)、印刷関連サービス業(校正刷り、刷版研磨など)の5 業種から構成されています。

各事業所数の内訳を見ると、印刷業が2 万1599(構成比79.9%)と約8 割、残りを製本業1879(同7.0%)、印刷物加工業1756(同6.5%)、製版業1523(同5.6%)、印刷関連サービス業269(同1.0%)の順で占めています。

印刷・同関連5 業種について1970 年以降の推移を見ると、現在、構成比5.6%の製版業は、1974 年から
2007 年までは印刷業に次ぐ多さで、1990 年代の初め頃は14%前後の構成比を占めていました。製本業は1995年頃から現在の構成比7%前後、印刷物加工業は1980年頃から現在の構成比6%前後で推移しています。印刷業は唯一、構成比を高め続けていますが、これは事業環境の変化を受けて業種間の垣根が下がり、結果として各業種を内包する「印刷業」が増加したことを示しています。

印刷・同関連業は、全事業所の54.9%(1 万4826)が従業者3 人以下、4~9人の事業所(6122、22.7%)
と合わせると、10 人未満の事業所が約8 割を占めます。

これは、煩雑な製品設計による個別受注生産が多く、繰り返し生産が少ないこと、印刷物の地産地消的性質により中小企業も競争力を発揮できる、という印刷製品の特性が影響しています。

印刷産業は、企業規模の大小に関わらず、地域経済において一定の存在感を示せる点が大きな特徴、魅力となっています。その一方では、その数の多さから再編の余地を多分に持つ産業ともいえます。

(「印刷界OUTLOOK2015/2016」より)