印刷産業の売上高【印刷界OUTLOOK2015/2016】

掲載日:2016年9月21日

印刷・同関連業は、国内全製造業の2%程度を占めます。単純比較はできませんが、隣接関連産業と比べると広告市場や通販市場よりやや下回る産業規模となります。

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印刷産業の市場規模は5.5兆円

経済産業省「平成25 年工業統計表 産業編」によると、2013 年の印刷・同関連業の売上高(製造品出荷額等)は前年比1.3%減の5 兆5450 億円となりました。2011年に6 兆円を割ったが、下げ幅(1.3%減)はリーマン・ショック以降最少と、市場は安定的に推移し始めてきています。

印刷・同関連業は、国内全製造業の2%程度を占めます。単純比較はできませんが、隣接関連産業と比べると広告市場の6 兆1522億円(電通「2014年(平成26 年)日本の広告費」)、通販市場の6 兆1500億円(JADMA「2014 年度通信販売市場売上高調査」)よりやや下回る産業規模となります。

印刷産業の1 人当たり売上高は1807万円

2013 年の印刷・同関連業における従業者1 人当たりの売上高生産性は1807万円と、2012 年(1797万円)と比較し0.6%とわずかに増加、2 年振りに1800万円台を回復しました。1990 年代後半から、印刷・同関連業は、生産設備の革新をはじめとした各種合理化で、収益性の低下を生産性の向上で補いつつ1 人当たり売上高を改善してきました。しかしリーマン・ショック直後の2009 年は不況の影響を受け5.0%強の大幅低下、以降は東日本大震災の発生も重なり、低下傾向でした。

印刷・同関連業の1 人当たり売上高平均1807 万円を全製造業の1 人当たり売上高平均3766 万円と比較すると48%と約半分であり、印刷・同関連業の売上高生産性は高いとはいえません。これは、印刷業は他の製造業と比べて受注生産型であること、製品設計が1 点1 点異なり自動化が難しいことなどが要因と考えられます。

ただし、仕入部品の点数を見ると他の製造業に比較して少ないため、加工高比率は比較的高くなっています。印刷・同関連業は部品点数を多く仕入れて組み立てるのではなく、情報を加工する面が強いことから、仕入れは少なく付加価値率が高くなっています。生産性の低さを付加価値率の高さで補う形の産業構造になっています。

1 事業所数当たり売上高は2.1億円

2013 年の印刷・同関連業5 業種ごとの事業所当たり売上高を見ると、最も高いのは印刷業の約2.3 億円(前年比3.2%増)、次いで製版業の約2.1 億円(同6.1%増)となっています。この2 業種は続く3 業種、製本業(約0.8 億円、同6.8%増)、印刷関連サービス業(約0.8 億円、同42.5%減)、印刷物加工業(約0.6 億円、同1.6%減)と、大きな開きがあります。

次に、1 人当たり売上高を見ると、印刷業は1950 万円(前年比0.2%増)と3 年連続の1900 万円台になりました。続く製版業は、1517 万円(同4.7%増)と3年振りに1500万円台を回復しました。3 位の印刷関連サービス業は905 万円(同42.3%減)、製本業は854 万円(同5.4%増)、印刷物加工業827 万円(同1.4%減)と、印刷業、製版業、製本業の3 業種が増加しました。

上位2 業種と下位3 業種には、売上高生産性の大きな開きがあります。しかしこれは、業種間の優劣を表しているのではなく、業種構造の違いを表しているのだといえます。

 

(「印刷界OUTLOOK2015/2016」より)