立体印刷でHALSとはどういう印刷ですか。

掲載日:2014年8月14日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:立体印刷でHALSとはどういう印刷ですか。

A:立体印刷は平面上で絵柄が浮かび上がって見えたり奥行き感をだす等、視覚的に立体感を得られる印刷であり、ホログラムやステレオグラム、2枚写真法、レンチキュラーレンズ法等さまざまな手法があり、立体感をだすための一つの手法としてHALSがあります。
  HALSとは、グラパックジャパン㈱の特許製法により製造されたマイクロアレイレンズシートです。このシートの片面には微細なレンズが碁盤の目状に規則的に配列されており、蒲鉾型のレンチキュラーレンズとは違い一定のピッチ間隔で半球状の微細なレンズが敷き詰められています。したがってこのレンズの片面はマイクロレンズが敷き詰められてザラザラしており、もう片面が平滑性をもつ光沢面となっています。
  現在HALSには400-PP、500-PP、400-PETG、500-PETGの4種類の製品があり、これは製品名の通り材質がPETかPPかということ、材料厚が0.4mmか0.5 mm であることを表しています。

 【製造方法】
  このHALSシートの光沢面に立体視させるためのドットパターンをデザインに合わせた色のUVインキで平版印刷します。このシートはフィルムという特殊原反であるため通常の油性インキの密着性と乾燥性に問題があるためUVインキを使用しています。
  HALSシートの一定のピッチ間隔をもった半球状の微細なレンズと印刷されたドットパターンのピッチがぴったり同じになると立体感は出ません。レンズとドットパターンのピッチを微妙にズラして印刷することにより立体感を出しています。このピッチ幅はIllustratorでデータを作成するときにピッチ幅を少なめにしたり大きめに調整しています。
  またレンズを通して小さい網点を大きく見せているので四角やハート型などドット形状を変えることによりさまざまなデザイン上の効果を出すことができます。そしてドットパターンを印刷した後にその上に白ニスや合紙などを貼って表面を保護します。
 上記の処理後、ザラザラのレンズ面側から見るとドットパターンが実際の印刷面より浮かんだり沈んだり立体的に見えます。
  ザラザラのレンズ側への絵柄の印刷は平版オフセット、スクリーン、グラビア、インクジェットプリンタのいずれかで印刷します。そして絵柄のバックグランドにドットパターンによる遠近感をだすことにより訴求力を高める効果が発揮されます。

 【用途】
  使用目的として注目されているのは、販促ツールやPOPなどのSP関係です。通常のプラスチック素材と同じように曲げ加工もできるのでパッケージの用途にも使えます。 どこに使うかの制限はありません。ただPPやPETですから極端に熱がかかるところには使えませんので材質的な制限はあります。そういう物理的な規制を除けばアイディア次第でどこにでも使用できます。
  また今後考えられる市場が交通広告です。交通広告は印刷の制作費の他に掲載料が必要です。この掲載料はバスや電車の中など人目につきやすいところに設置されるための料金と考えられます。
    確かにHALSという媒体は紙よりは高いかもしれません。しかし、紙よりも訴求力は高いと考えることができるので最終的な投資対効果でみたときにプラスの効果があるのではという期待もあります。通常の紙にするのか前例のないHALSのようなものにするかはそれぞれの企業の考え方です。今後の方向性として交通広告市場にも期待されます。

 取材協力:グラパックジャパン㈱
     TEL 03-5213-5554 FAX 03-5213-5559
 http://www.grapac.co.jp/

 

 (2006年3月20日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)