無線綴じ工程でのラフニングとは

掲載日:2014年8月14日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:後加工

Q:無線綴じ工程でのラフニングとは

A:ラフニングとは折り丁の背を毛羽立たせる加工をいいます。ラフニングは折り丁の背を針のような刃で引っかくようにして行い、紙の繊維を立たせることによりホットメルトの浸透を容易にします。 
 主にヨーロッパ製の製本機には標準仕様としてラフニング機構がついており、ヨーロッパではこのラフニングを使った無線綴じが普及しています。特に開きやすさが求められるような仕様のものについては、「ラフニング+PUR」の組み合わせで製本されることが多いようです。しかし、日本では比較的大きな製本会社でもラフニングしない無線綴じが多いようです。
 これは使用される用紙の紙質が大きく関係しているようです。日本で流通している用紙は欧米に比べて短繊維のものが多く、ラフニング効果があまり期待できないとされているためです (繊維が短すぎるために、ラフニングによって繊維の絡み合いがほどけてばらばらになってしまう) 。それに加えて日本の雑誌のように、上質紙、中質紙、コート紙、グラビア紙など多種の用紙を混用する製本形態では、ラフニングだけで十分な接着強度を確保することは出来ず、ノッチング(ガリ入れ)は不可欠の工程となります。 10余年程前から、輸入製本機にも種々の改良が加えられ、特にノッチングが綺麗に入るようにW-diskなどノッチングを入れるときの刷り本の締め圧を強くするような機構が標準的なものとなってきました。それ故現在では、通常の製本時にノッチングを十分に入れておけば、ラフニングの必要性は殆んどないといえます。ある機械メーカーでは、ラフニングはPUR製本のためのものとまで言っているところもあるようです。
 最近では特に開きやすさを求められるために、PURを使用した製本が行われるケースが増えてきましたが、このような場合にはノッチングを全く入れないか、或いは入れても極浅めにしか入れないため、ラフニングによってPURの浸透を助長することも必要になります。以上のように現状では、通常のホットメルト製本時に、ラフニング工程を省略している製本工場のほうが多いものと思われます。

 

(2009年7月6日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)