広告チラシにライバル会社の同品種の価格より安いことを表示してもよいのでしょうか

掲載日:2014年8月14日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:知的財産権

Q:広告チラシにライバル会社の同品種の価格より安いことを表示してもよいのでしょうか

A:上記事項は不当景品類及び不当表示防止法(以下景品表示法)第4条2号の取引条件についての不当表示の規定に留意しなければなりません。以下、比較広告についての基本的な考え方を述べたいと思います。 

【比較広告とは】
 自己の供給する商品又は役務(以下商品等という)について、これと競争関係にある特定の商品等を比較対象商品として示し、商品等の内容又は取引条件に関して客観的に測定又は評価することによって比較する広告をいいます。
これ以外の形態により比較する広告については、個々の事例ごとに参酌して景品表示法上の適否を判断しています。

【比較広告に関する景品表示法上の考え方】
 景品表示法は、「商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(通常「独占禁止法」と略称している)の手続的な特例を定めることにより、公正な競争を確保し、もって一般消費者の利益を保護すること」を目的として、昭和37年に制定されました。

 同法第4条は、自己の供給する商品の内容や取引条件について、競争事業者のものよりも、著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認される表示を不当表示として禁止していますが、競争事業者の商品との比較そのものについて禁止し、制限するものではありません。
 したがって、比較広告が不当表示とならないようにするためには、以下の要件を満たす必要があります。
① 比較広告で主張する内容が客観的に実証されていること
② 実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること
③ 比較の方法が公正であること

逆に、以下のような比較広告は、商品の特徴を適切に比較することを妨げ、一般消費者 の適正な商品選択を阻害し、不当表示に該当する恐れがあります。
① 実証されていない、又は実証され得ない事項を挙げて比較するもの
② 一般消費者の商品選択にとって重要でない事項を重要であるかのように強調して比較するもの及び比較する商品を恣意的に選び出すなど不公正な基準によって比較するもの
③ 一般消費者に対する具体的な情報提供ではなく、単に競争事業者又はその商品を中心に中傷し又は誹謗するもの

【不当表示の規制】
同法4条に規定されている内容は優良誤認(1号)、有利誤認(2号)、誤認されるおそ れのある表示(3号)についてです。
 このうち2号の有利誤認とは、商品又は役務の価格その他の取引条件について実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示、競争事業者の供給する商品又は役務の取引条件よりも自己の供給する取引条件の法が、取引の相手にとって著しく有利であると誤認される表示のことをいいます。
 例えば、招待旅行でもないのに招待旅行としたり、観光土産品にアゲゾコ、ガクブチ等の過大包装をした場合や、実売価格に対する比較対照価格を周辺地域で販売する同種商品よりも、いかにも自分の店のほうが安いように見せかける表示をした場合などがあります。
よって、設問の内容もこの規定に違反する可能性があります。
 また、2号の有利誤認の規定で二重価格表示も問題になります。これは、小売業者が商品について実際に販売する価格にこれよりも高い価格を併記する等、何らかの方法により実売価格に比較対照価格を付すことです。例えば、実際の市価が500円程度のものを、「1000円の品を500円で提供」「市価の半額」と表示する場合です。

 また、条文の中で「著しく」という表現がありますが、この程度については個別の事件ごとに行政庁又は裁判所が判断する事です。

【参考】
景品表示法第4条 抜粋
(不当な表示の禁止)
第4条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の名号に掲げる表示をしてはならない。

 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、実際のもの又は当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示

 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示

 前2号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認めて公正取引委員会が指定するもの

不当表示に関する団体

 社団法人全国公正取引協議会
 〒105 東京都港区虎ノ門1-19-10 第6セントラルビル6階
  TEL 03-3501-6047

 

(2003年5月19日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)