著作権者が誰か判らないときはどうしたらいいのでしょう。

掲載日:2014年8月14日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:知的財産権

Q:著作権者が誰か判らないときはどうしたらいいのでしょう。

A:著作権は著作物を創作したときに自動的に発生し、その存続期間は原則として、著作者の死後50年を経過するまで存続します(著作権法51条)。この存続期間中、著作物の利用にはその権利者からの使用許諾が必要です。 
 しかしながら、著作権者が誰なのか、またどこにいるのか判らない場合もあります。こうした場合はまず、印刷媒体等で発行されているときは発行者へ問い合わせたり、その他の場合は著作権等関係団体や著作権等管理事業者に問い合わせるやりかたもあります。(※下記参照)
 しかし、了解を得て使用料金を支払う意思があるにもかかわらずどうしても著作権者が判らない場合があります。
 この場合、著作権法第67条に「著作者不明等の場合における著作物の利用」という規定があります。これは、文化庁長官に対し「相当な努力を払っても著作権者と連絡することができない理由」を申し立て、その裁定をうけて補償金を供託すれば利用できるという制度です。
以下この制度について述べます。
【要件】
1.既に著作物が「公表」されていることが必要です。ここで「公表」とは、出版・貸与・上演・演奏・口述・展示・上映・放送・有線放送・インターネット等での送信などが既に行われているものをいいます。
2.裁定を申請するためには、「相当な努力を払ってもその著作権者と連絡することができないこと」を疎明する資料が必要です。「相当な努力」とは、例えば役場、出版社、関係団体等へ問い合わせたり、人事興信録、著作権台帳、インターネット等から検索することです。これらについては、利用する著作物によって異なりますので、担当窓口に確認されることをお勧めします。
【手続き】
 「裁定申請書」を作成し、必要な資料を添えて文化庁著作権課へ提出します。申請を受けて、裁定の可否を文化庁長官が判断します。これらの手続きの標準処理期間は「3ヶ月」となっています。
 そして、「裁定」と「補償金の額」について通知があったときは、最寄の「供託所」に補償金を供託してから、著作物の利用ができます。
 裁定は、文化庁長官が著作権者に代わって申請者の利用行為に「了解」を与える制度ですので、申請者に「利用権」を与えるものではありません。したがって、利用できる立場を第三者に譲ったりすることはできません。
 上記のように、著作権者がだれか判らず連絡がとれないときには、一定の手続きが必要です。「裁定申請書」は文化庁著作権課でいつでも受けつけています。各自、様々な事情や都合があると思いますので、事前に相談されたほうがよいでしょう。

 ※参考資料:文化庁長官官房著作権課「著作物利用の裁定申請の手引き」より
     tel 03-5253-4111(代表)内線2847
  著作権等関連団体については、社団法人著作権情報センターホームページ                       http://www.cric.or.jp/ 
  著作権等管理事業者については、文化庁ホームページ                       http://www.bunka.go.jp/
  で確認するといいでしょう。

 

(2002年3月11日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)