インクジェットインクの耐性にはどんなものがありますか。

掲載日:2014年8月17日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:その他

Q:インクジェットインクの耐性にはどんなものがありますか。

A:インクジェットインクに求められる代表的な耐性には耐水性、耐マーカー性、耐光性、耐ガス性、耐擦過性があげられます。 
 耐水性とは印字面の水に対する耐性のことをいいます。出始め頃のインクジェットでは、印字物を屋外に置いていたときに小雨が降ってくると印字物が流れて読めなくなることがありました。その他、会議資料に冷たいペットボトルを乗せただけで、その部分が読めないようでは、使用に耐えないことになります。そこで各メーカーでの研究開発が進んで基本染料の改良がなされてきたこと、顔料インクが採用されてきたことなどさまざまな改良がなされて今日に至っています。今では滲むことは少ないようです。(電子写真ではお茶をこぼしてもシミは残りますが読めなくなることはないです。)
 耐光性は印刷物の同じように光によって退色しにくい性質です。文字中心の印字物ではあまり気にされませんが、特に写真品質プリントで耐光性の低いものは避けられる傾向にあります。
 耐ガス性とは色あせの原因となるガスとしてオゾン、窒素酸化物、硫黄酸化物が家庭やオフィスに存在しているとされていますが、これらのガスに対する耐性です。
 耐マーカー性とは印字面に蛍光ペンでマークをしたときの耐性です。印字物の重要ポイントにマーカーで印をつけることは日常的なことです。このときに重要ポイントを蛍光マークしたおかげで読めなくなるのでは使い物になりません。ちなみに日本で販売されている蛍光ペンより欧米で使用される蛍光ペンのほうがインクジェット印字物に対するアタックが強い傾向があるようです。
 耐擦過性とは印字表面の「こすり」に対する耐性です。用紙表面に顔料を残すことで画像形成している顔料インクジェットでは、何の工夫もしないと表面を「こする」だけで簡単に表面の顔料が取れてしまいます。後加工時のこすれや使用時のこすれに対する耐性を持つことが、文書印字ではとくに要求されます。また、写真印刷においても大きなイン事物を丸めて搬送するような場合にこすれに対する要求があります。
 耐ガス性、耐マーカー性、耐擦過性については搭載インクの改良は続けられています。出版・商印などの印刷インキであれば用途ごとにインキの種類が異なり必要なものを選ぶことができますが、インクジェットでは用途別インクはありません。 

 

(2009年3月2日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)