ツーリズムEXPOから見えた印刷会社が果たすべき役割

掲載日:2015年10月5日

2015年9月24日(木)から9月27日(日)の4日間、東京ビックサイトで世界最大級の旅の祭典「ツーリズムEXPOジャパン2015」が開催、来場者は17万人を超えた。情報で溢れかえる展示会場から、印刷会社が今後観光活性化において果たすべき役割が見えてきた。

高まるツーリズム産業への注目

官民一体となり「観光立国」化を推し進める中、地域の経済活性化や雇用機会の創出を促すと、高い期待と注目が寄せらているのが「ツーリズム産業」である。今年第2回目の開催となった「ツーリズムEXPOジャパン」は、海外旅行・訪日旅行および、国内旅行、あらゆる観光産業の振興を目的に、2014年から始まった。国内47都道府県、世界151カ国・地域の出展者が集いプロモーションを展開、会期中の来場者は15万7589人と、世界最大級の観光イベントにふさわしい大盛況振りだった。
2年目となった2015年は、国内47都道府県と世界141カ国・地域から1161の企業・団体が出展、一般消費者はもちろん、観光関係者、いわゆる「バイヤー」と「セラー」の参加も増え、総来場者は前年を上回る17万3602人となった。この数字からも、ツーリズム産業への興味、期待感の高まりが見て取れる。

展示会ブースは「参加」・「交流」・「体験」型へ

国内47都道府県の展示ブースを見ると、観光パンフレットをただ陳列し、興味のある人に持って帰ってもらう従来型の観光展示ブースは少なかったように感じる。今回多く見られたのは、ブースの一角にステージを設け、1日に10本以上のセミナーや伝統芸能などを実演、来場者の参加を促す「参加型」、ゲーム性のあるアンケート(プレゼント付)やゆるキャラ、ご当地戦国武将隊などをフックに、地元観光関係者と一般消費者が対話をしながら情報を交換する「交流型」、観光地の物産品の飲食や、土産品・民芸品を製作する「体験型」の3タイプだった。

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多くの参加者が体験してた「ミツロウキャンドル」工作

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ステージでは旅館の女将が観光をPR

これらによって、来場者のブース滞在時間は長くなり、地域への知見を深めながら「人」や「もの」に対して愛着を促すような「仕組み」を展開するブースが多かった。

印刷会社が観光活性化をけん引する余地はあるのか

会場内を見ると、各出展ブースは観光ポスターやパンフレット、チラシやフリーペーパーなど、多くの紙メディアで溢れかえっていた。紙メディアの影響力・底力の強さを感じたが、一歩会場を出ると、収集したパンフレット類を素早くチェックし、その大部分を置いて帰ってしまう来場者も数多く見られた。
例え、大手出版社発行のガイドブックや観光情報サイトに掲載されない、地元ならではの濃密な情報を収集し、観光パンフレットに掲載して会場内で配布したとしても、受け取り手の目に触れることなく、情報が伝わらなければ、効果を期待するのは難しいだろう。
しかし、情報伝達を生業に、顧客の伝えたい情報を最適な形(メディア)に落とし込みながら、対象者に伝える手助けをしていた印刷会社にとっては、ここに活躍の余地がある様に思う。
対象者や伝達手段が多様化する現在、顧客の「伝えたいこと」、対象者の「知りたいこと」をしっかりマッチングさせて整理し、紙はもちろん動画やSNSなど、その時々で最適なメディアを選択し、主要メディアと補助メディア(点)を連動させながら全体企画(面)を組み立てることは、ますます重要になっていくだろう。印刷会社は今後、対象者に合わせ、高い相乗効果を生み出すメディアプロモーションを提案するなど、顧客に対して一歩進んだ関わり方や提案ができるよう、様々な力を身に付け、磨いていくことが求められる。

「ツーリズム産業」は引き続き、成長分野の1つとして存在感を増し続けることは疑いようがない。この分野において、印刷会社は「印刷担当」という立場から脱却し、情報産業の担い手としての役割を果たしながら、どのようにしてイニシアチブを取っていくのか。様々なメディアに精通し、「伝えること」を深堀りし続けてきた印刷会社には、観光はもちろん地域の活性化を促すため、また増加し続ける訪日観光客を対象に、できること・やるべきことは数多くある。

(JAGAT 研究調査部 小林織恵)