用紙発注の電子化事例

掲載日:2020年10月19日

新型コロナウイルスの感染拡大を機に業務のデジタルシフトが進んでいる。
テレワークを推進する意味でも脱FAX、脱ハンコは進むだろう。

印刷会社の業務における代表的なFAX利用は、用紙発注と外注発注である。
発注書を作成しFAX送信、受け取った相手は確認のハンコを押して、請書代わりにFAXで戻すという運用が一般的である。そして、発注書と請け書代わりのFAXをペアで保管し、返答の漏れがないか管理する。発注書はMISで作成していたとしても、その先はアナログ運用で、進捗状況の共有はできていないことが多い。もしくは共有のために別途入力作業を行っている。

業界としての標準化を考えたい

デジタル化を一歩進めて発注書をPDFにしてEmailに添付して発注しているケースもある。しかし、Emailはデジタルメディアとはいえ、PDFの発注書は受け取った側で、人手による再入力が必要になる。RPAの利用による入力の自動化の可能性はあるが、発注書のフォーマットは会社ごとに異なるので会社ごとに設定するという手間がかかる。また、基本的にEmailはパーソナルメディアなので、幅広い情報共有には向いていないし、業務の属人性も残る。

業界全体としての効率化を考えると何らかの標準の仕組みが必要となる。取引データ(受発注・請求など)を通信回線を通じて企業間でやり取りする電子商取引の仕組みをEDI(Electronic Data Interchange)という。
紙流通業界では、カミネットが用紙の標準EDIの仕組みを提供している。カミネットでは用紙銘柄のコード管理、交換するデータ項目の定義、データ交換を中継するシステムの管理などを行っている。

標準EDIを利用すれば、印刷会社、紙流通業者それぞれ多対多の取引であっても個別対応ではなく共通のやり方で業務をデジタル化できる。カミネットの標準EDIを利用している印刷会社はまだまだ少数であるが、業務のデジタルシフトの一環として検討に値するだろう。

取り組み事例

標準EDIの導入により間接業務を大幅削減
株式会社ユニバーサルポスト(広島県)

用紙EDI導入により間接業務を年2000時間削減
日経印刷株式会社(東京都)

WebEDIの導入により働き方改革を推進
錦明印刷株式会社(東京都)

業務改革への足掛かりに用紙EDIに取り組む
大光印刷株式会社(京都府)

(研究調査部 花房 賢)