注目されるコンテンツマーケティング

掲載日:2015年6月8日

「コンテンツマーケティング」の注目度が高まっている。コンテンツによって、マーケティングを行う手法、という意味合いで、自分でメディアを持ち、価値ある情報を配信することで顧客と良い関係を作り上げ、最終的にモノを買ってもらったりサービスを利用してもらったりすることを指す。

変わるユーザー、変わる手法

コンテンツマーケティングが注目されている背景の一つには、変化するユーザーへの対応がある。商品やサービスをダイレクトにPR しても、かつてのようにすぐに購入には結び付きにくい。そこで、ターゲットとなるユーザーが関心を持ちそうな情報を配信して自社に対して好意を持ってもらい、最終的に商品やサービスを購入する場面で、自社を選ばれやすくする。短期的に利益には結び付かないが、長期的にターゲットと信頼関係を築くことができ、優良顧客に育てていくことができる可能性が高いといわれている。

もう一つの背景としては、検索エンジン最適化(SEO)としての面である。近年Google が有料でのリンク購入や中身の薄いコンテンツばかりのWeb サイトに対してペナルティーを与えるようになり、検索エンジンに評価されるためコンテンツ自体の重要度が増した。コンテンツマーケティングでは定期的にコンテンツを配信することになるため、キーワード選定などのSEO 施策と組み合わせることで効果を出しやすいという点でも注目されている。

WebマガジンからECへ誘客

国内最大規模のメガネEC サイトとして知られるOh My Glasses( オーマイグラスィズ)では、EC サイトとは別に、メガネスタイルマガジン「OMG Press」を運営している。掲載しているのは、フレームのトレンドやドラマで俳優が着用しているメガネ、ブランドの情報、Google Glass のようなIT 系など自社情報に限らず中立の立場でメガネに関係した情報だ。

メガネの購買サイクルは平均2.5 年程度といわれており、ECサイトの運営だけだと顧客接点が減ってしまう。そのため、OMG Press によってターゲットとなるユーザーとのつながりを獲得している。
現在OMG Press を訪問するのは月間15 万人で、そのうち約10% がEC サイトを訪問している。EC サイトの売り上げの10-20% がOMG Press 経由である。

質の高いコンテンツを発信してWeb 経由の売り上げを上げたい、Twitter などのソーシャルメディアで拡散させたい、という需要はこれからも伸びていくと思われる。印刷会社は印刷物やサイト制作でコンテンツ制作やページ修正に携わる立場におり、ターゲットとするユーザー像をつかみやすい。コンテンツマーケティングは長期的な取り組みが不可欠なため、顧客のビジネスに関わり長いスパンで課題解決のお手伝いをしていく印刷会社に向いている。

(『JAGAT info』2015年1月号より)