書店で雑誌の付録が多様になっているのが目立ちますが、その動向について(その1)

掲載日:2014年8月11日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:印刷産業

 

Q:書店で雑誌の付録が多様になっているのが目立ちますが、その動向について(その1)

A:出版業界はここ数年低迷してますが、そんな中で付録付き雑誌を活性剤にしようとしている傾向があり、その実情を簡単にご紹介します。 
 社団法人日本雑誌協会は雑誌を全国定日一斉発売を遂行し、流通段階の効率化と作業の効率化を図る目的で「雑誌作成上の留意事項」という自主基準を設けていました。
 この自主基準が、2001年5月15日に改定されました。その主な点は、付録と直接関係ない点を含めて次ぎのようになっています。
(1) 重量・寸法などの細かい規定を削除、
(2) 表紙は本誌の面積の5分の4以上、
(3) 表紙にも打ち抜き加工できる、
(4) 月雑誌の月号表示(16日発売日以降2ヶ月先までの月)、
(5) 本誌と付録の合計かさ高が3cmまで、
(6) CD-ROMの枚数制限が解除(あくまでも支障の無い範囲)、
(7) 表紙を除いて香印刷ができる、
(8) 1年間の試行期間で付録の使用を実施(付録の点数は1点)、
 以前は、主に運送時の効率化をはかるという目的で、付録について厳しく規制されていました。今回、規制が緩和され付録に関する材質や添付方法が簡素化されましたが、それでも制作・物流・販売に支障がないかどうかを事前に取次店に相談することになっています。

 この改訂により付録の細かい規定が緩和されたため、出版社はさまざまな付録のアイディアを出してきています。印刷会社も製本工程での対応を工夫してきました。
 付録として具体的には、当初マウスパットや携帯ストラップなどがありました。他に下着やアクセサリー、トートバック、筆ペン、仏クリスチャン・ディオールのオリジナルバッジ、スワロフスキーのクリスタルを使ったブレスレット等、様々です。このおかげで、雑誌によっては数日で完売するものもあり,反響を呼んでいます。値段も付録が付いた分、若干割り高になる場合もありますが、それでも売れ行きが好調な雑誌が多いようです。
 しかし、読者の目も肥えていて安易な企画を連発すれば興味も薄れてしまい、現に携帯ストラップなどは流行らなくなっているようです。
 ある少女向けの雑誌では、「モーニング娘。」の人気にあやかり、ある月に後藤真希人形を付け、400円の郵便定額小為替を付けて応募すれば他の4人の人形が届き、続ければ全員の人形が揃うといったアイディアもあるそうです。

 各出版社とも、付録をなくすと販売部数が落ちるのがはっきりしているため、どういうアイディアを出せるかが勝負のようです。
 付録が雑誌の存在をアピールし、とにかく一度読んでもらうための材料になったことは確かです。
 しかし、付録に力を注いでも肝心の雑誌本体の内容が薄くなっては本末転倒です。付録がなくなったから、また雑誌が売れなくなるというのも大きな問題です。
本来の雑誌の目的である情報伝達の媒体としての機能を失うことなく、売上を伸ばすには…・というところが出版社の頭の痛いところです。
                                             資料提供:社団法人日本雑誌協会

 

(2002年5月6日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)