デジタルコンテンツをムダにしていませんか?

掲載日:2015年8月12日

パソコンをはじめ、スマートフォンやタブレット端末などの急激な普及に伴い、デジタルコンテンツの利用シーンが急増、多様化し、さらなる市場の拡大が予想される。そのような環境のなか、デジタルコンテンツを多数扱い保有する印刷会社にとって、いかに有効活用するかを考える時代がきた。

ここで紹介したいのは、ベンティクアトロ代表取締役社長の石井千春氏である。石井氏は、グラフィックデザイナーとしてスタートし、いち早くDTPを導入した。当時、Macのパワーも不十分で出力環境も不安定な時代に大判のチラシ制作をDTP化した実績がある。
現在は、Adobe DPS(Digital Publishing Suite)を利用したデジタルコンテンツ制作を中心に取り組んでいる。そこでは、顧客に分かりやすいツール構成やコンテンツの見せ方に注力している。また、印刷のための素材データから電子コンテンツを勝手に制作し、便利さを体感してもらうというユニークさも特徴の一つだ。

ishii0820-1石井氏には、現在のDTP制作の現場をなんとかして活性化させたいという強い思いがある。「昨今のDTPオペレーターのモチベーション低下に強い危機感がある。すべての方向性が顧客の発言により決まるため、本来のデザインや機能が失われかねない」ということだ。
さらに「理不尽な修正依頼などへの対応など、DTPオペレータが単なる作業者になってしまいヤル気が失われてしまう」と嘆く。
さらに経営幹部からは「うちのDTP制作チームは能力がないからデジタルコンテンツ制作なんてとても無理だ」と判断されてしまう。あげくの果て「DTP制作は儲からない」と嘆くだけである。石井氏は、こうした悪循環をなんとか断ち切りたいという思いがある。

例えば、Adobe DPSは、高額投資や難しいスキル習得も不要であり、既存のDTP環境の延長線上で取り組める。印刷物のためのみのDTP制作から、同時にデジタルコンテンツも作成でき、値段がつけば、付加価値が向上し会社にも貢献することになる。

「DTPは儲からない」と言われ肩身が狭い思いをしているDTPオペレータも元気がでるというものだ。クリエイティブな仕事をしているという喜びも生まれるだろう。当然、グラフィックデザインとは別のデザイン能力、二次元ではなく構造的に情報デザイン能力が求められ、いままで使っていなかった頭を使うことにはなるが、クリエイティブな喜びがあれば乗り越えられるはずだ。

また、デジタルデバイスに適した形で、情報をデザインする能力は今後、印刷会社にとって大きな差別化要因になる。そして、その能力を発揮するには、お客様の深い理解とコンテンツ(情報)が必要となる。それは、印刷会社がすでに持っているものであり、IT業界や広告代理店などの異業種と比べ、有利なスタートラインにいることは間違いない。

デジタルコンテンツの価値、価格がますます低下していくような時代だからこそ、デジタルコンテンツをタンスの肥やし、いやサーバの肥やしにしないよう、考え、操り、組合せ、役立つ情報発信ツールを作り出す知恵こそが必要なことは明白だ。

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 印刷会社のためのデジタルコンテンツ制作ビジネスの秘訣
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(西部支社長 大沢 昭博)