『 オフセット印刷の管理法-変動要素とトラブル対応』

掲載日:2014年8月18日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

 
書評:『オフセット印刷の管理法-変動要素とトラブル対応』
発行所印刷学会出版部
照井義行著 A5判 131ページ 2940円

 

本書は,印刷雑誌に1年間連載した「オフセット印刷の管理法」を1冊にまとめたものである。近年印刷経験のない,非印刷業や製版業者などが印刷機を導入するようになったことから,いろいろな印刷に関するトラブルが発生するようになった。

pc0501_01

いまやプリプレスはデジタルの世界であるが,印刷機はまだアナログの世界である。つまり多くの変動要素が介在している。オフセット印刷は水と油の反発を利用した印刷方式であるから,水の管理は重要な要素であるが,そのほかに印刷は用紙,インキ,環境維持など変動要素の固まりと言える。

本書は単に印刷技術を解説したハウツウものではなく,著者の現場の豊富な経験則に基づいた印刷実務に関する貴重な教科書である。いかに良い品質の印刷物を生み出すかを追及している。すべての産業に言えることであるが,「生産性の向上と品質の向上」は永遠のテーマである。

プリプレス工程は以前と大きく変わってきたが,印刷工程について言えば印刷機というハード面の技術的進歩はあるが,印刷原理は大きく変わってはいない。従って作業の標準化を図り,変動要素を人間の経験と勘に頼らず数値的に管理しようというのが,今,提唱されている「CIP3/CIP4」の考え方である。

印刷の原点は印刷機にあり。まずは印刷機の標準化を図ることが,良い印刷物を作るためのキーになるという。印刷オペレータへの貴重な教科書であり,作業標準書としても参考になる書である。

 

 

(2005年3月31日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)