『ICタグって何だ?』

掲載日:2014年8月20日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

 
書評:『ICタグって何だ?』
発行所 カットシステム
荒川弘煕編 NTTデータ・ユビキタス研究会著 A5判 190P 1800円(税別)

 

ICタグというのは,その名のとおり「ICチップの荷札」のことで,このICタグという言葉,あるいはその技術的名称であるRFIDという言葉が,2002年末くらいからにわかに脚光を浴びるようになってきている。理由は,本書の冒頭のタイトルにあるように,ICタグが「ユビキタス・コンピューティング社会期待の星」だからである。

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RFIDというのは,Radio Frequency IDentificationの略で,「無線認証」という意味。RFIDの代表的な例は,JR東日本の「Suica」である。従来のプリペイド式カードと違って,ピッとかざすだけで改札を通ることができる上,何度でもチャージし直せる便利さは,一度(ひとたび)使い始めたら,だれもがもう後戻りできないと感じるのではないだろうか? この「Suica」が,ヒトが使うICカードであるのに対して,本書が中心的に扱っているのは,モノの管理用に使われるICタグのほうである。

「第2章 ICタグの応用分野」の「2.1 ICタグのある風景」や「2.2 用途による分類」を読めば,ユビキタスの夢物語を現実化する上で,ICタグがいかに重要な役割を果たすかがよく分かる。例えば,車の盗難防止のために,ICタグを車のキーに埋め込む,書店での万引き防止のために,ICタグを書籍に埋め込むといったように,あらゆるモノにICタグを付ける計画は着々と進んでいる。

本書は,ICタグの技術,標準化動向,業界動向についてはもちろん,その課題や将来展望についても,非常に分かりやすく簡潔にまとめているので,ICタグとユビキタスについて考える際には,間違いなく必読の書といえよう。

 

(2003年12月25日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)