21世紀型デザインに見るビジネスのヒント

掲載日:2016年3月18日
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デザイン概念の広がりとその思考プロセスは、メディアによる課題解決の糸口になるだろうか。

デザインの領域

産業革命以降、工業化社会、資本主義社会という社会経済の枠組みの中で、デザインは職能としてその領域を確立してきた。

20世紀のデザインは、空間に関わるデザイン(都市・ランドスケープデザイン、インテリアデザインなど)、モノに関わるデザイン(プロダクトデザイン、ファッションなど)、情報伝達にかかわるデザイン(グラフィックや映像)の3つの領域に大きく分けられていた。 そして大量消費時代での印刷技術の発展に伴い、視覚的なメディアのデザインが求められるようになった。

しかし、大量生産時代の終焉とともに、多様な問題に対峙する社会となった21世紀では、デザインそのものの定義が変化する。
まず20世紀後半には、上記3つの大きなデザイン領域を相互につなぐかたちで変化が現れる。例えば、空間に関わるデザインと情報伝達に関わるデザインをつなぐものとして、照明や色彩、案内誘導のサインなど、五感に働きかける要素に着目したデザインが登場する。さらには、3つの領域すべてをつなぐものとして環境デザインが挙げられる。

これらのデザインには、それまでの職能として確立されたデザインにはなかった視点、人とモノやコトをつなぐ、という捉え方がある。ここから、人間との関係からデザインを考えていこうという動きが生まれ、それが21世紀の中心的概念となるユーザー中心主義につながっていく。

21世紀のデザイン

それまでの製品中心主義によるデザインではなく、人が中心にいるデザインである。

人とコトをつなぐコンセプトデザイン(構想の重要性への認識)や、人と人がつながる仕組みのデザインであるコミュニティデザインなどが挙げられる。

21世紀のデザインは、物事の関係性を重視した柔軟な思考が求められる時代に即して変化してきたといえる。

人が中心にいる21世紀のデザインの主要な潮流として、「ユーザー中心主義」と「デザイン主導主義」がある。

「ユーザー中心主義」とは、物事の観察・共感・洞察により行動の問題点や潜在的ニーズを定義し、解決策の検討とともにアイディアを出し、具体的なモデルとともに仮説の検証と評価・改良を繰り返すことで、人やモノやコトの関係性をより良い方向へと導くためのデザインプロセスである。
例えば商品企画においては、このデザインプロセスはマーケティング(価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動)思考と近似するものといえるのかもしれない。

一方「デザイン主導主義」とは、観察やユーザーのニーズからは生まれない、新しい意味や価値を創造する概念である。それまでになかった未来の体験、未来そのものを創り、生み出す考え方がデザイン主導主義であるといえる。
当然ながら、未来はひらめきやアイディアのみで生み出されるものではなく、その背景には技術力が存在している。

 

印刷業においても、印刷物制作という職能ベースの捉え方でのものづくりから、印刷物(モノ)を何をする(コト)ために用いるかの関係性に着目していくことで、ビジネス領域が変化していく。

生活行動にデザイン思考を採り入れることは、メディアでの解決や実現へのヒントとなるかもしれない。

(JAGAT CS部 丹羽 朋子)

参考文献

「豊かに生きるための思考術 私たちのデザイン」幻冬舎刊

「経営学大図鑑」 三省堂書店刊

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