印刷物は印刷産業によって作られている

掲載日:2016年5月13日

「工業統計調査」は2363品目、546産業という細密さで調査が行われています。どの品目をどの産業が産出しているか、あるいはそれぞれの産業がどのような品目を出荷しているのか詳しく見ることができます。(数字で読み解く印刷産業2016その5)

品目と産業との関係を見てみよう

前回は、工業統計調査の「産業編」と「品目編」の違いを確認し、「平成26年工業統計調査」品目編から、「オフセット印刷物」の産出事業所が最も多いことなどをみました。
今回は品目と産業との関係を「品目編」で見てみましょう。

「工業統計調査」では製造業を対象に、どのような製品をどれだけ製造しているのかを調査しています。産業分類は細分類で546、商品分類は製造品1785品目、賃加工品554品目という細密さで調査が行われています。
「産業編」はその事業所が製造している製品のうち、最も額の大きいもので事業所を分類して集計したもので、「品目編」は産業分類には関係なく、調査票に記入された全製品について品目別に集計したものです。
そこでどの品目をどの産業が産出しているか、例えば「うちわ、扇子」を作っているのはどの産業なのかは「品目編」で調べることができます。
A品目がB産業によってどの程度生産されたのかは産出率で表すことができます。

A品目のB産業産出率=(A品目のB産業出荷額)÷(A品目の全出荷額)×100(%)

「品目編」では従業者10人以上の事業所に関して、「産出率2%以上の産業」を表にまとめています。「うちわ、扇子(骨を含む)」を作っている10人以上の事業所数は18、「うちわ・扇子・ちょうちん製造業」12事業所で85.56%を産出し、「その他のパルプ・紙・紙加工品製造業」3事業所が10.84%を産出し、「オフセット印刷業(紙に対するもの)」1事業所までが産出率2%以上となっています。
次に、「印刷・同関連品」(製造品9品目)がどの産業によって生産されたのかを見てみると、印刷産業以外で産出率2%以上の事業所があるのは「紙以外のものに対する印刷物」に対する「その他の電子部品・デバイス・電子回路製造業」3カ所(産出率2.88%)だけでした。

工業統計3

印刷産業は印刷物を作っている

また、それぞれの産業がどのような品目を出荷しているのかも「品目編」で調べることができます。
B産業がA品目をどの程度出荷しているのかは出荷率で表されます。

B産業のA品目出荷率=(B産業のA品目出荷額)÷(B産業の全出荷額)×100(%)

「品目編」では従業者10人以上の事業所に関して、「出荷率2%以上の品目」を表にまとめています。例えば、「うちわ・扇子・ちょうちん製造業」の10人以上の事業所数は37、出荷額の構成比は「ちょうちん(骨を含む)」65.07%、「うちわ、扇子(骨を含む)」24.76%、「オフセット印刷物(紙に対するもの)」2事業所までが出荷率2%以上となっています。

印刷産業で出荷率の高い品目を見ると「印刷・同関連品」ばかりで、他産業の製品を2%以上出荷している事業所は、製本業の3カ所、印刷物加工業の6カ所の計9事業所だけでした。その内訳は紙製品や印刷箱など、本業に該当するものが多くなっています。

珍しいのは、製本業の「他に分類されない繊維製品(ニット製品を含む)」と印刷物加工業の「その他の製造食料品」です。その内訳は手ぬぐい、ナプキン、張幕類、旗、のぼり、のれん、はちまきなどの繊維製品と、いり豆、こんにゃく、納豆、パン粉、ゆば、春さめ、こぶ茶、玄米茶、はぶ茶、せんべい生地、粉末ジュースなどの食料品なので、自社製品として作っているものと思われます。

工業統計4

印刷産業に関していえば、印刷物を作っているのは印刷産業という当たり前の結論になりましたが、例えばクライアント業界はどうなっているかなどの視点で、「品目編」を見てみると面白いかもしれません。

統計に表れているのは過去の姿ですが、将来を考えるヒントも隠れています。JAGATが毎年刊行している『印刷白書』はそのような視点で統計データを見続けています。

(JAGAT CS部 吉村マチ子)

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