印刷統計で何がわかるの?

掲載日:2016年5月18日

印刷統計によると、2015年の印刷業の生産金額は3971億円(前年比0.3%減)、商業印刷と出版印刷で5割以上を占め、商業印刷の動向が市場を左右しています。(数字で読み解く印刷産業2016その6)

統計調査には、特定の時点における状況を把握する静態統計と、一定の期間内の変化を把握する動態統計の2種類があります。例えば、総務省統計局の「国勢調査2015」は2015年10月1日現在の全国すべての人を対象に行われた静態統計です。これに対して、戸籍上の出生・死亡などの届け出を集計して厚生労働省が毎月作成している「人口動態調査」が動態統計になります。また、5年ごとの国勢調査ではとらえられない現在あるいは将来の人口については、総務省統計局が「現在推計人口」を、厚生労働省国立社会保障・人口問題研究所が「将来推計人口」を作成しています。
製造業に関しては経済産業省が従業者4人以上の約22万事業所を対象に毎年12月31日に実施している「工業統計調査」が静態統計で、約2万の事業所を対象に毎月実施している「経済産業省生産動態統計」が動態統計になります。

「経済産業省生産動態統計」の中でも印刷業を対象とした調査が「印刷統計」で、従事者100人以上の印刷業を対象に、毎月月末現在で1カ月の生産金額、月末従事者数を調査しています。
印刷統計の「生産金額」は、製品別内訳(出版印刷、商業印刷、証券印刷、事務用印刷、包装印刷、建装材印刷、その他の印刷)と印刷方式別内訳(凸版印刷、平版印刷、凹版印刷、孔版印刷、フレキソ印刷、その他の印刷方式)で集計されて、両者の合計額は一致します。なお、生産金額=出荷金額ではなく、以下の式により算出されます。

生産金額=出荷(販売)金額-[(企画・編集費+製版費+製本・加工費)+(印刷媒体費)+(積込み料+運賃+保険料+その他の諸掛り)]

工業統計の出荷額5兆円に対して、印刷統計の2015年年計では生産金額は3970億87百万円です。この差はもちろん静態統計と動態統計の差ではなく、印刷統計は100人以上の印刷業を対象とした標本調査で、印刷前工程(企画・編集・製版など)と印刷後工程(製本・加工など)、用紙代などを除いた、印刷工程の生産金額に限定された数字だからです。

印刷製品別生産金額の構成比を見ると、商業印刷と出版印刷で5割以上を占めています。印刷方式別では平版印刷(オフセット印刷)が7割弱と圧倒的ですが、その他の印刷方式(デジタル印刷など)が毎年少しずつ増えています。

構成比

2015年の生産金額3971億円は、前年の3902億円と単純比較では増加していますが、時系列データが不連続なために接続係数により前年比を算出すると、2015年は0.3%減となります。2013年の3.5%減から2014年は0.6%減と少しずつ好転しています。伸び率寄与度では商業印刷が2014年1.4%、2015年2.7%と健闘しています。

印刷統計前年比

「印刷統計」の2004年調査開始以来の製品別シェアを見ると、この11年間で大きく減少したのは出版印刷(30.0%→18.7%)と証券印刷(2.0%→1.5%)で、包装印刷は逆に13.0%→18.5%と大きくシェアを伸ばし、建装材印刷も3.2%→4.3%と着実に増加しています。出版不況の長期化、証券印刷物関連の電子化、包装材や建装材の多様化などを反映した数字となっています。
時系列表で過去61カ月分の推移を見ると、商業印刷の動向がそのまま印刷業全体の動向となっていることがよくわかります。商業印刷の動向はクライアント産業の動向によって決まるわけで、また違う統計データを見る必要があります。

印刷統計

(JAGAT CS部 吉村マチ子)

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