国のお墨付きより顧客のお墨付き-JAGATエキスパート試験

掲載日:2016年7月5日
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資格には大きく分けて「国家資格」「公的資格」「民間資格」の3つの種類がある。国家資格は文字通り国のお墨付き資格であり、その意味するところを誰もが認めるものであろう。では、民間資格のお墨付きは誰が与え、誰が価値を認めるのであろうか。

 

DTPエキスパートおよびクロスメディアエキスパートは、資格の分類で言うと「民間資格」である。
JAGATは公益社団法人であるため「国家資格」と「民間資格」の中間に位置づけられる「公的資格」であると言われることもあるが、一般的に「公的資格」とは民間団体や公益法人が実施しても経済産業省や文部科学省などの官庁、大臣が認定するものであり、JAGAT自身が認証(認定)する以上あくまでも「民間資格」である。

DTPエキスパート資格をスタートさせた頃は、国家資格を目指すべきだ、またはして欲しいといった要望も寄せられ、中には国家資格でなければ意味が無いとまで言われたこともあった。
しかしながら、DTPエキスパートは当初から国家資格にはしないことを方針として貫いてきた。なぜか。
DTPエキスパートを現場から乖離した資格にはしたくなかったからである。
国のお墨付きがあればそれだけで大きな信頼を得ることは可能であろうが、現場を知らない(持たない)行政のフットワークの悪さを考えると、DTPのような実務とビジネスに直結する知識やスキル問う試験にはそぐわないとの判断からである。
特に、当時はDTPソフトのバージョンアップや制作環境が日々変化していく中にあって、カリキュラムや試験問題の変更などに一々書類を提出し、国の判断を仰ぐような状況では資格が実務に遅れをとり、ビジネス現場から乖離していき、最終的には信頼を失っていくことが危惧されたからである。
それでは国のお墨付きの意味も無いであろうし、実際にそうなってしまい受験者がほとんどいなくなってしまった資格もあるのである。

クロスメディアエキスパート資格は、情報伝達がかつて王者であった紙からネット、電子メディアにシフトし、これからの印刷会社が印刷だけではなく、顧客のビジネスのパフォーマンス向上を手掛ける必要があることを展望し、情報を複合的に適切なメディアに展開させて効果的なコミュニケーションを実現する人材を目指してカリキュラムと試験問題が作られている。
論述試験はそうしたクロスメディア展開の提案書を作成するもので、印刷業界にとってはそれ以前には無かったスキルを鍛えるものである。
実際に、試験をスタートした頃には基本的な提案書の形式すら出来ていない答案が多かったものだが、この10年で形式などはほぼ常識として認知されるまでになっており、業界にこの資格を問うた意味は少なからずあったとも自負している。

いずれにしても、現在から将来に向けて、業界にとって必要な実務知識やビジネス展開が可能となるスキルを身につけた人材育成を目的としている以上、必要なのは国のお墨付きではなく顧客からの信頼、すなわちクライアントのお墨付きが必要なのである。
そして、クライアントの信頼を獲得できた時に、有資格者自身がその意味付けと価値を見出すのであると確信している。

(JAGAT資格制度事務局 橋本)

 
<関連情報>

第46期DTPエキスパート認証試験(8/21) 申請受付中 

第22期クロスメディアエキスパート認証試験(8/21) 申請受付中