傾聴と共感がクレームを改善する

掲載日:2016年8月10日

職場でも家庭でも社会生活を営む者にとってクレームはつきものだ。とくに印刷会社は、オーダーメイド生産のため、お客様の求める品質にも差がありクレームになりやすい。
そもそもクレーム(英語:claim)とは、当然の権利として要求する、請求する、などの意味がある。実社会では苦情(損害賠償の請求を伴うこともある)や注文などを指すことが多い。また、クレームは会社の中だけではなく、どこにでも起こる現象である。

不満感情のしくみを理解する

 例えば、過去に自分が消費者として感じた「怒り」の場面を思い出すとしよう。すると「怒り」の前に別の感情があったことに気がつく。怒りの感情は第二の感情と言われており、その前に以下のような感情がある。
・期待が叶わず残念だ
・恥をかかされた
・怖い思いをした
これらの思いが第一の感情であり、発展して「怒り」という第二の感情に変わる。
したがって、お客様に心から共感するには、第一の感情に対して共感することが重要だ。そのためには、対話の中で怒りの前の感情を読みにいくことが重要である。そして、その感情に共感する。するとようやく相手に「聞く姿勢」がとれるようになる。人はいつでも「分かってほしい」ものなのだ。

クレーム対応の5ステップ

1.お詫び
 →不便の事実に対して
2.傾聴
 →まずは聴く、反応する、教えてもらう
3.事実確認
 →第一の感情を確認し共感する
4.解決策の提示
 →了解を得たうえで解決策を提示する
5.クロージング
 →声をあげてもらったことに感謝する
 お詫びでは、不便・不愉快の事実に対して行うものであり、ポイントは「条件付きの謝罪」である。同調と共感を混同しないことだ。相手が不満に思っていることのみを対象とする(「そのお気持ち、わかります」共感である)。

 傾聴では、まずは聴く、反応する、教えてもらうことだ。最大の目的は「第一の感情」の理解である。反応しながら聴き、分からない時は原因を「自分」にして、「教えてもらう」姿勢が重要である。
事実確認では、第一の感情を理解したと感じたら共感することである。共感の際、相手の気持ちを「代弁」すると効果的だ(100回の謝罪より1つの共感する言葉が大切である)。
解決策の提示では、必ず了解を得たうえで解決策を提示する(このステップは時間がかかる)。
最後のクロージングでは、声をあげてもらったことに感謝する。クレーム対応の最後は、相手も「気まずく」なっていることが多い。「感謝」で終わることで、次につながりやすくなる。

 生きていれば、クレームはつきものだ。クレームが発生しやすい印刷業界だからこそ、クレームを笑顔に変えるスキルを身に付けたいものである。

 (西部支社長 大沢 昭博)

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