企業の地域活性化への関わり方、3者3地域の事例から

掲載日:2017年11月21日

企業は地域活性化にどのようなスタンスであるべきか。受け身であるより、地域に影響を及ぼす側に回ったほうがよいだろう。そして経済的な裏付けのある持続的な手法がよいだろう。民間企業が地域づくりに関わる事例を紹介する。

長期構造視点で取り組む地域活性化

新潟・第一印刷所によるプラットフォーム構築の動き
地域活性ビジネス事例研究#60

新潟県は豊かな海産物と肥沃な大地による米の関連製品、発達した交通インフラに恵まれる。一方、まちの課題は若年層の仕事がないこと、人口が減少し続けていること、まちの魅力の発信が充分でないこと。第一印刷所は商工会議所とも連携して地域活性化に取り組んでいく。芸妓文化への支援、地産地消運動の推進、国際会議の誘致、新潟ならではのイラスト・デザイン制作、地域資源を生かした印刷製品の開発・販売…。長年の多岐にわたる地域活性化の取り組みに最新のICTを組み合わせ、ヒト・モノ・カネなどあらゆる地域資源がオープンに集積・発信される活性化プラットフォームの構築にも取り組み始めた。

全文は『JAGAT info』2017年9月号 p.24-27に掲載

持続的に地域資源を創出するまちの仕組み

栃木県佐野市の地域づくりの発展過程から考察する
地域活性ビジネス事例研究#61

栃木県佐野市は天明鋳物や佐野城・唐沢城、佐野厄除大師などが知られる歴史あるまちだ。近年は佐野ラーメン、ゆるキャラ「さのまる」でも知られる。しかし中心市街地の空洞化、人口減少、若年層の市外流出といった課題を抱えていた。そこで、地域で共同出資してまちづくり株式会社を設立、社長に11代続く蔵元の当主が就任、専務に印刷会社の社長が就任、まちおこし協力隊OBも加わる。地域の人たちとともに、中心市街地の空地の有効活用事業、定住人口を増やすための婚活事業、地元史を見つめ直す教育事業、交流人口を増やすためのスポーツ振興やムスリムフレンドリーなまちづくり事業に取り組んでいく。歴史あるまちの新しいまちづくりの発展過程について。

全文は『JAGAT info』2017年8月号 p.24-27に掲載

工場見学を観光資源に変えるイベントの機構

「燕三条 工場の祭典」にみる地場産業活性を事例として
地域活性ビジネス事例研究#63

燕三条(新潟県)は大田区・東大阪市のような日本を代表する中小ものづくり企業集積地。金属加工業の集積地、いわゆる金物のまちとしても名高い。観光資源のなかった地味な工場のまちが、毎年1回、4日間開催されるイベント「工場の祭典」を機に、魅力的な産業ツーリズムのまちに生まれ変わった。期間中はまちがメインカラーのピンクストライプで染まって祭典ムードが演出され、地域の100を超える工場を誰でも気軽に見学できるため、全国から老若男女5万人超が訪れて活気づく。当地の印刷会社も複数が参加。工場見学が職人や工場に与えた影響、地域づくりにもたらしたものとは。イベント期間中だけでなく、年間を通じて訪れる人の絶えないまちにするために。

全文は『JAGAT info』2017年11月号 p.32-37に掲載

(研究調査部 藤井建人)

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