デジタルマーケティングの普及と印刷企業の課題

掲載日:2017年12月22日
このエントリーをはてなブックマークに追加

一般企業にとってデジタルマーケティングの比重が大きくなっており、印刷企業への影響も大きくなっている。

普及が進むデジタルマーケティング

かつての広告手法は、テレビや新聞・雑誌・ラジオの4マス媒体を使ったものが中心であった。マス媒体を利用して商品の認知度を上げることがもっとも効果的であり、最重要だった。
現在は、モノの売れない時代が長く続いており、認知度を上げるだけでは効果が大きくないことや、インターネットが日常化し、マス媒体の比重が小さくなっていることなどから、企業のマーケティング活動も劇的に変化している。

近年、特に重要視されているのが、デジタルマーケティングである。これは、デジタルを活用したマーケティング活動の総称であり、ウェブやモバイルなどのデジタルデバイスやデジタルメディアに加えて、デジタルデータや最新のデジタルテクノロジーを活用したものである。

デジタルマーケティングの先進的な例として、会員制度の活用がある。現在、会員になるとポイントやマイレージが貯まるという会員制度が、あらゆる分野で普及している。
代表的なものと言えば、クレジットカードや航空チケットからスーパーマーケットや家電量販店、ホームセンターなどの会員制度などが挙げられる。会員登録が前提となっているオンラインショップも同様である。
また、コンピュータやデジタルカメラなど電気製品を購入すると、個人登録を勧められることも多い。例えば、Apple社製のコンピュータやスマートフォンは、Apple IDとしてメールアドレスや個人情報を登録しないと利用することができない。また、Sony 製品を購入すると、Sony IDという個人登録を促される。

おそらく、ほとんどの方が何らかの会員に登録されているだろう。
消費者にとっては、製品購入やサービス利用の額が多くなるほど、何かしら還元サービスを受けられるというメリットがあり、出来るだけリピート購入(利用)をしようとする。企業にとっては優良顧客をどれだけ維持しているかの指標であり、新製品やキャンペーン情報に対して良い反応が期待できるロイヤルティの高い利用者であると言える。

これらの会員制度を通じて、企業は顧客の個人情報とウェブへのアクセス情報、キャンペーン等への反応とすべての購入履歴を捕捉している。家電量販店であれば、いつどの店舗で、あるいはオンラインショップで何を購入したか、なども把握されている。
優良顧客に対しては、さらにDMやメール等で特別キャンペーンや優待セールなどを働きかけることも可能である。場合によっては、顧客の購買履歴からレコメンド商品を提示したり、好みに応じたパーソナルカタログなどを送付することもある。
このように、企業にとって会員制度とは、顧客のLTV(ライフタイムバリュー)の向上を図る手段そのものであると言える。

これらの会員制度のバックグランドとなるのが、顧客の個人情報や全購入履歴を管理するCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)、顧客に応じたコンテンツを最適なチャネル、タイミングで自動的に提供するMA(マーケティング・オートメーション)、自社サイトに訪れた顧客の行動や属性情報などをまとめ、分析するDMP(データ・マネジメント・プラット フォーム)などである。

印刷企業にマーケティングソリューションが求められる理由

これからの印刷企業にマーケティングソリューションは必須と言われている。
前述のように、マス媒体でのマーケティング効果が小さくなり、顧客に応じてデジタルデータやデジタルテクノロジーを活用するマーケティング活動が一般企業にとっての課題となっている。印刷企業は、パートナーの1員としてこのようなマーケティング活動を支援することが求められている。

従来の印刷企業は、典型的な受注産業であった。顧客企業から課題を与えられ、それを解決することで信頼を勝ち得てきた。しかし、従来の受注依存型の組織では、マーケティング効果の高い印刷物やサービスを提供するビジネスに柔軟に対応することはできない。
現代の印刷会社に求められているのは、顧客企業が望んでいる結果は何かを見抜き、本当の課題に向き合うこと、そして課題を解決するコミュニケーション戦略を構築することである。そのためには、従来のような受注依存型組織から脱却し、企画提案型組織であることが必要である。

企画提案能力を磨くには

JAGATのクロスメディアエキスパートは、このような企画提案能力を磨くための認証試験である。
2017年12月に発表したカリキュラム第4版は、マーケティングと経営、メディアとコンテンツ、デジタルメディアを支える技術の3つを柱としている。さらに、試験では架空の企業に関する与件文を読み込み、提案書を作成する企画提案力が求められる。

企画提案の土台となるのは、マーケティングの基礎知識である。これからの印刷企業に求められるマーケティング能力と企画提案力を磨くきっかけとして活用してもらいたい。

(資格制度事務局 千葉 弘幸)

第25期クロスメディアエキスパート認証試験

[日時]2018年3月18日(日)13:00~17:40(※実施時間は予定です)
[会場]東京、大阪、名古屋、福岡
[受験料]15,330円(税込)  (第1部試験免除者 10,260円(税込))
[申請受付期間]2018年1月18日(木)~2月23日(金)(個人)

クロスメディアエキスパート認証試験、カリキュラム第4版を発表

新カリキュラム対応クロスメディアエキスパート総合対策講座