DTPエキスパート認証制度は2024年に30歳になる

掲載日:2023年10月5日
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DTPエキスパート認証試験は、次回試験で61回目を迎えます。

1994年3月に第1回目の試験を開催して以来、約54,000名が受験し、うち23,554名がエキスパート認証を取得している。 印刷に関連する幅広い知識が問われることと、実制作試験により実践力につなげる試験であることをその大きな特徴としてきた。

実技コンセプト文に見る印刷人材に求められる素養の変化

大量一括生産を前提として高品質な印刷物を効率よく生産することが求められた時代から、印刷需要を喚起し印刷の強みを活かす時代への変化とともに、認証制度の役割も変化した。

2020年第53期からは、この変化を制度設計に反映し、マイスター認証とエキスパート認証の2段階制へと移行している。

歴代の実技試験課題とその制作指示書(現在は制作コンセプト書)を見ると、その変化が表れている。

2段階制以前の制作指示書コンセプト文例

10年前の制作指示書例

※均一な品質の印刷物をより効率的に生産するための業務フローが中心



2段階制以降(マイスター認証)の制作コンセプト文例

マイスターのコンセプト書文例

※印刷物(この例では演劇公演案内フライヤー)で実現したい効果を意識し、マーケティング志向とともにデザインレイアウトにつなげるコンセプトが中心



普遍的知識とツールの機能でできること

DTP制作はアプリケーションの機能が充実し、サブスクリプションモデルにより誰でもが手軽に扱い始められるものとしてコモディティ化したと言われる。一方でかつてのように熟練人材の指導を受けずに多媒体にわたる制作業務の中で印刷物のデザイン制作に携わる人材も多いと聞く。印刷入稿用のデータとして必要な条件を満たしていない(必要要件に関する知識がない)まま入稿されるものもまだまだあるようだ。

DTPエキスパート認証試験で問われる知識を一通り理解すれば、解決の糸口が見つかるだろう。

(資格制度事務局 丹羽 朋子)


第61期DTPエキスパート認証試験の試験要項および30周年関連のお知らせは、近日公開いたします。