それぞれのDTPエキスパート~第50期DTPエキスパート認証試験申請受付開始

掲載日:2018年6月26日
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本日より記念すべき50回目となるDTPエキスパート認証試験の申請受付を開始した。これまで様々な業種、職種の方がそれぞれの目的をもって受験してきたが、共通するのは印刷・DTPのことをきちんと学び理解したいという思いであった。

 

DTPエキスパート認証試験を受験した人は延べで約53,000人にのぼるが、その中には印刷会社や印刷関連メーカー以外の全く別の業界の人たちも大勢いる。

ファーストフードで全国展開する会社の販売促進部に所属するAさん(女性、当時28歳)は、専門会社に制作発注していた店舗に張るポスターや垂れ幕といった販促物のデザイン選定や、内容チェック、色校正を担当していた。しかし、経費節減のためそれらの一部を内製化することになった際、印刷に関する専門的な知識がほとんどないことに気づかされ、一念発起してDTPエキスパート資格取得に至った。
彼女にとってDTPエキスパートの勉強は、技術的なことを学ぶ以上に「より良い販促物を業者の方と一緒に制作していくことにつながっている」。印刷の知識やDTP、コンピュータに関する知識を学ぶことで、印刷会社、デザイン会社の人との打ち合わせが今まで以上に綿密になり、細かい指示も出せ、結果的に時間と経費とロスが少なくなったという。

リゾートホテルで広報宣伝に携わるBさん(男性、当時39歳)は、「実はホテルという職場は印刷物および印刷をともなう制作物の宝庫で、フェアやイベントのチラシはもとより、婚礼用総合パンフから、ロゴ入りパーケージ類、爪楊枝袋にいたるまで2000種類以上の印刷物と日々格闘している」のだそうである。
「私たちの仕事はデザイナーや印刷会社の営業さんに、何が欲しいかをわかってもらうこと」で、したがって自分たちのような立場の人間がDTPを学ぶということは「自分たちのイメージを印刷の専門家に効率よく渡す技術を身につけること」であり、DTPは作業の手段ではなく“共通の知識をもとにして伝えるための言語”です。
まさに、他業界であってもDTPエキスパートのコンセプトが活きていると勇気づけられた。

同様に、大手コンピュータ会社の広報室長となったCさんも、印刷物の発注先の評価をするのに、これまでブラックボックスに等しかった印刷物の価格などを、営業担当ときちんと共通言語で交渉できるようにしたいと感じていたところ、DTPエキスパートの存在を知り飛びついたそうである。
楽器メーカーで取扱説明書を制作するDさん、信用金庫で社内誌制作を担当するEさんなど、社内にMacintoshが導入されたのをきっかけに印刷やDTPのことをきちんと学びたいと思った方が、最も効果的な方法としてたどり着いたのがDTPエキスパートだったという話は多々聞いた。

これまで最年少の16歳で合格したF君は、Macと出会った瞬間に“自分の生きる道はこれだ”と決意し、高校を中退してプロのDTPデザイナーとなった。学歴はなくとも、DTPエキスパート認証により、印刷、DTPの王道をしっかり学んだ証を得て、自信をもって仕事の道を歩み始めた。

非常に変わったところで、形成外科医のGさん(男性、当時34歳)が、病院にMacが導入されレーザー治療の評価をデジタルで行うようになったのをきっかけにDTPと出会ったという例がある。皮膚の変化をレーザーで外科的に治療する、その効果の「色」表現をこれまであいまいに「ピンク色」などと言っていたものを、学会等でもL*a*b*で表現し、治療によって“色調が改善した”と言っていたものを、L値の変化で捉えるようになったということである。
ただし、最も重要なことは測定ではなく患者の“満足度”と考え、治療を受けた患者自身が、自分の皮膚を見てボディイメージが改善したかどうかを重視すべきで、いくら厳密な客観的手法を用いても、一概には表現しきれないほど、肌の色は奥深いものと痛感させられもした。とおっしゃる。
印刷物も最終的には、製造品質ではなく顧客満足が求められるという点で、共通点があるのではないだろうか。

それぞれがそれぞれの立場において、ある目的をもって受験する。資格取得は目的でもゴールでもなく、手段であるということをあらためて考える。
JAGATでは試験50回を機に、印刷、DTPについて、標準化された共通言語としてしっかり学ぶ手段としてDTPエキスパートを再びお勧めする次第である。

(CS部 橋本和弥)

【関連情報】
第50期DTPエキスパート認証試験(8/26) 申請受付開始 6月26日(火)~7月31日(火)