“型”を身につけ実践から成果へ・・・資格という「型」の有効性

掲載日:2018年7月27日
このエントリーをはてなブックマークに追加

物事において、まずは型を学び、従順に実行することが成果を出すための有効な手段であり、近道であるといえる。なせなら”型”はその道の達人や多くの先人達の経験と知恵の集積であるからだ。

物事の熟練のために”型”を用いることは世の中に多々あり、特に武道・武術や芸道においては規範となる型を繰り返すことによってしっかりと身につけることが基本となっている。
技芸の上達のプロセスにおいては、何をさておいても基本形を忠実に守り、それらを無意識で実行できるようになって初めて新たな工夫や応用もできるようになるという。
いたずらにキャリア(経験)を積ませるよりもまずはベースをきちんと抑えて進ませるほうが、結果的にその道で活躍するプロフェッショナルを育成するための最善の方法であるということであろう。

例えば、セミナーに参加して得られるものは、様々な気づきであったり、ノウハウ、知識レベルでのスキルである。学ぶことでまずは「知る」「わかった」となる。これを実行して「できる」という実践を経て、「続ける(習慣化)」の段階に達することによって成果としても明確となる。そのための手段として”型”すなわち先人の知恵やノウハウを学ぶことが有効であり、早道であるということだ。

「型を学ぶ」ということは、資格を取得するということにも通じると考える。
その資格の要件、カリキュラムを、その道の資格たるまさに経験と知恵の集積だとすれば、「型」と捉えることも可能で、「型」を身につけた人を合格者、有資格者と呼ぶことは間違ってはいないだろう。

JAGATが、DTPに関して、良い印刷物制作に必要な共通知識としてまとめた「DTPエキスパートカリキュラム」を発表したのは1993年である。カリキュラムを学んだ証としてDTPエキスパート認証制度(試験)を開始したのは翌1994年からであるが、当時は多くの印刷会社からは見向きもされなかった。
理由を聞くとほぼ二つの答えしかかえってこなかった。曰く「この仕事に資格は必要ない」、「資格より経験だよ…」。
おっしゃるとおり、無資格でDTPに関わる仕事をすることは何ら差し支えない。資格を持った新人より、経験を積んだベテランのほうが即戦力にはなるであろう。
しかしながら経験はだれでもゼロからスタートするのであって、未経験者に経験云々を求めることはそもそもナンセンスである。何もないところからただ年月を重ねるのではなく、型をしっかり学び経験という実践を積み上げていくことは大いに有効で、結果的にプロフェッショナルになるための手段そして早道なのである。

DTPエキスパートは制度発足から25年の時を経た。この間、さまざまなフェイズにおいて求められる人物像や役割は変化してきたが、制作現場から営業担当者、新人から管理者層まで幅広い有資格者、受験者がいる。
今や「この仕事に資格は必要ない」というネガティブな声は、ほとんど聞こえなくなった。

(JAGAT CS部 橋本和弥)

【関連情報】
第50期DTPエキスパート認証試験(8/26)  申請締切迫る:7月31日(火)