2024年度の上場印刷企業36社のうち、女性管理職比率を開示している27社の平均は10.3%。厚生労働省「雇用均等基本調査」によれば、女性管理職比率は13.1%と微増で、製造業は7.6%と低い水準となっている。(数字で読み解く印刷産業2025その8)
上場印刷企業の2024年度業績は堅調
JAGAT『印刷白書』では、社名もしくは特色などに「印刷」とある企業を、上場印刷企業としています。各社の業績は決算短信と有価証券報告書で見ていますが、提出時期の関係で2024年6月期決算から2025年5月期決算までを2024年度としています。
上場印刷企業の社数は、親会社による完全子会社化による上場廃止がある一方、新規上場もあって、33~34社で推移してきました。『印刷白書2025』では、2024年12月25日上場のMICを加えた36社の企業力などを見ています。
上場印刷企業の2024年度業績を見ると、36社の売上高合計は4.2兆円(前期比3.4%増)で、増収24社、増益17社と堅調です。
上場印刷企業27社の管理職に占める女性の割合は10.3%
2023年3月期決算以降の有価証券報告書から、人的資本の情報開示が義務化され、管理職に占める女性労働者の割合(女性管理職比率)が開示項目の選択肢の一つとなりました。上場印刷企業36社のうち、女性管理職比率を開示している27社の平均は10.3%(前期は9.8%)です。
女性管理職比率24.7%のラスクルは、一定グレード(等級)以上の女性従業員の割合を2025年7月末までに20%以上にすることを目指しています(2024年7月末時点18.2%)。
次いで24.0%のクレステックは、中途採用者や女性が活躍できる社内環境の整備に取り組んでいて、2025年6月末時点の女性管理職比率は26.0%となっています。
23.7%のMICは、人的資本に関する目標として、女性正社員比率50%(2024年度実績43%)、男性正社員の育児休業取得率50%(同40%)を掲げています。
日本の女性管理職比率は13.1%、諸外国は30%以上
厚生労働省「令和6年度雇用均等基本調査」によれば、女性管理職比率は13.1%で、前年(12.7%)より0.4ポイント上昇しました。産業別にみると、「医療、福祉」50.4%が突出して高く、「生活関連サービス業、娯楽業」26.0%、「宿泊業、飲食サービス業」21.0%、「教育、学習支援業」21.0%と続いています。「製造業」は7.6%で、前年(8.5%)より0.9ポイント下降しました。
また、労働政策研究・研修機構「データブック国際労働比較2025」によると、女性管理職比率はアメリカ42.6%、シンガポール39.6%、フランス38.9%、ドイツ28.7%など、諸外国がおおむね30%以上となっているのに対して、日本は大幅に低くなっています。
『印刷白書2025』(2025年10月末発刊予定)の上場印刷企業36社の分析では、事業展開の特色と売上高構成比、個別業績による規模・収益性・生産性・安全性・成長性、連結業績による設備投資総額・研究開発費、キャッシュフローバランスなどを比較しています。
限られた誌面で伝え切れないことや、今後の大きな変更点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信していきます。ご意見、ご要望などもぜひお寄せください。
(JAGAT 研究・教育部 吉村マチ子)