エレクトロニクス事業が好調の大手2社

掲載日:2018年10月12日

『印刷白書2018』(10月25日発刊)の上場企業分析では、社名もしくは特色に「印刷」とある33社を対象とした。売上高構成比を見ると、出版印刷、商業印刷を主力とする企業は少数派となっている。(数字で読み解く印刷産業2018その8)

印刷技術を核とする33社をリストアップ

印刷白書では2011年版から上場企業分析を行っていますが、上場印刷企業のリストは毎年少しずつ変化しています。

印刷業からスタートしたヴィア・ホールディングスは、2013年4月に暁印刷を共立印刷に売却し、印刷業から完全撤退したことからリストから消えました。2015年7月にクレステック、2016年3月に中本パックスが上場し、リストに加わりました。

また、三浦印刷は大王製紙によるTOB(株式公開買付)により、2017年5月29日に上場廃止となりました。2017年3月期の決算短信は公開されましたが、有価証券報告書は作成されていないので、従業員の状況、研究開発活動、設備の状況などが不明で、『印刷白書2017』に掲載した図表の一部に数字が入っていません。

現在編集中の『印刷白書2018』では、前年リストの33社のうち、三浦印刷を除き、2018年5月31日上場のラクスルを追加しました。
印刷白書では、各社の業績を決算短信と有価証券報告書で見ていますが、提出時期の関係で2017年6月期から2018年5月期までを2017年度としています。そのため2018年7月期が上場後最初の提出となるラクスルに関しては、今回は分析の対象としていません。

そして、10月18日にプリントネットが上場を予定していますので、次年度版の印刷白書のリストはまた変更されることになります。

上場印刷企業33社の2017年度業績を見ると、増収増益が前期の7社から15社に増加しました。上位2社はエレクトロニクス部門の好調により、トッパングループが売上高1兆4527億円(前期比1.5%増)、経常利益546億円(同9.9%増)、DNPグループが売上高1兆4122億円(同0.1%増)、経常利益509億円(同38.7%増)で、前期の減収減益から増収増益に転じました。

(JAGAT CS部 吉村マチ子)

 

関連情報「デジタル×紙×マーケティング」

今年のJAGATのテーマは「デジタル×紙×マーケティング」。2018年10月25日に開催する「JAGAT大会2018」では、これからの経営・マーケティング戦略について考えていきます。参加者にはJAGATの最新刊 『印刷白書2018』 をお持ち帰りいただきます。

『印刷白書2018』(10月25日発刊予定)の上場企業分析では、事業展開の特色と売上高構成比、個別業績による規模・収益性・生産性・安全性・成長性、連結業績による設備投資総額・研究開発費、キャッシュフローバランスなどを比較しています。