100億円の印刷需要は190億円の経済波及効果をもたらす

掲載日:2018年11月13日

印刷産業の生産額4.87兆円は、財1.42兆円とサービス1.02兆円に付加価値2.43兆円が加わったものである。全産業を顧客として、製造業に1.00兆円、サービス産業に3.86兆円販売されている。(数字で読み解く印刷産業2018その9)

「平成27年延長産業表」が9月4日に公表されました。延長表は例年なら3月末から4月末には公表されますが、今回半年遅れとなったのは重要な基礎資料となる工業統計調査の調査日が6月1日に変更となり、公表時期がずれたことによるものです。2019年度第1四半期に「平成27年(2015年)産業連関表」が公表予定なので、平成23年基準の延長表は今回で最後となります。

JAGAT刊『印刷白書』では印刷産業に関連するデータを網羅し、わかりやすい図表にすることで、印刷産業だけでなく、あらゆる業界の方々にも役立つものにしたいと考えています。印刷産業に関連するデータとして、産業連関表も取り上げています。

産業連関表は1年間に行われた全産業の取引を一つの表にまとめたものです。下図は産業連関表のひな型として、財とサービスの2部門にまとめたものです。横に見ると商品の販売先が、縦に見ると商品の費用構成がわかります。財部門に含まれる印刷産業は、青の産業から原材料や燃料などを購入し、印刷物やサービスを生産し、緑の産業に販売しています。

産業連関表の仕組みを利用して、ある産業に新たな需要が発生した場合にどのような形で生産が波及していくのかを計算するのが、経済波及効果の考え方です。

経済波及効果は逆行列係数×新規需要額で算出されます。「平成27年延長産業表」統合中分類98部門(名目値)によれば、印刷・製版・製本の逆行列係数の列和は1.903134、自交点は1.056943となっています。つまり、100億円の印刷需要が発生した場合、印刷市場に106億円、国内経済に190億円の経済波及効果をもたらすことがわかります。

『印刷白書2018』(10月25日発刊)では「平成26年延長産業連関表(平成23年基準)」を中心に、印刷産業とその取引先産業の動きを見ています。ただし、延長表の大分類(54部門)や中分類(98部門)ではその実態が見えにくいことがあります。そこで、印刷産業との取引額が大きい産業は細い分類で、取引額が小さい部門は思い切って統合した50部門表を作成してみました。

どの産業に販売しているかを基本分類で見ると、構成比は「出版」7.61%、「金融」7.58%が最も大きく、全394部門のうち371部門との取引があります。印刷需要の裾野の広さを示すもので、あらゆる産業を顧客とする印刷産業の特徴がよく表れています。

印刷白書の限られた誌面で伝えきれないことや、読者からの問い合わせなどに対しては、「数字で読み解く印刷産業」で順次発信していきます。

(JAGAT CS部 吉村マチ子)

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