生活者の動向とコミュニケーションの新たな形

掲載日:2014年6月4日

流通・小売業では昔からCRMをはじめ顧客の購買行動の分析が重要であった。消費者の意思決定が変化していく中で、O2Oやビッグデータの活用が話題になっている。 リアルとネットの次世代コミュニケーション デジタルメディアが生活者=消費者に浸透して、意思決定の仕組みが変化している。購買の目的が決まっていれば、利便性と価格が決定要因になる。その場合 ネットによる購入に走るだろう。ただし、そんな時代だからこそリアルな店舗には、時代に即した売り方もあるのではないか。対面販売の利点を活かすというや り方だ。だから販売担当は、当然プロフェッショナルな知識とコンシェルジェとしての役割が要求される。 そのために消費者の生活パターンやマーケティングや分析が重要になる。そこにデジタルデバイスの普及が加わっているのだからメディアのみでなく、生活行動がデジタル化されていく現実を直視する。デジタルの利点は、データが簡単に抽出できることである。 「ネットとリアルの関係」に関していえば、マーケティングの新たな手法が話題になる。数年前には「SoLoMo」という概念があった。 「So」 Socialソーシャル=ソーシャルメディアの普及、クラウドソリューションの普及 「Lo」 Localローカル=GPSやWifiなどによる位置情報の進化 「Mo」 Mobileモバイル=多機能デバイスの利用 これらによって生活者を取り巻く基本環境が変化した。さらに「O2O」「ビッグデータ」「オムニチャネル」などのキーワードが流行している。いずれもデジタル化されたデータをどのように活用していくか、新しいコミュニケーション手法の話である。 オムニチャネルの時代になった オムニチャネル・リテイリング(Omni Channel Retailing)は、店舗やECサイトなどの境目がない状態での購買を軸に顧客との関係を築くことである。店舗で値段を確認してECサイトに行く人も いれば、ECサイトで値段を調べてから実店舗で買う人もいる。買い物客のすべての行動を網羅して、商品購入を積極的に促す活動のことをいう。 オムニとは「すべての」という意味がある。それまでのパターンは、単一接点の「シングルチャネル」、個別の複数接点の「マルチチャネル」、クロスした複数接点の「クロスチャネル」があった。 「オムニチャネル」は顧客接点が、シームレスであることが特徴であり、リアル店舗であろうが、Web通販であろうが、チャネル横断型の商品・顧客・購買管理を行うことである。 また5Cが必要だとも言われている。 「Content=コンテンツ、情報」「Customer=顧客」「Community=コミュニティ」「Commerce=コマース」、そして背景となる人生観やこだわりといった「Context=コンテキスト、背景、文脈」である。 これら5つのCの融合により、生活者起点となる。 顧客は複数のメディアで比較検討して、最良のチャネルで購入する。だからリアル店舗をショールーム化して、自社のWebサイトへの誘導を強化するという戦略をとるメーカーもある。 逆にリアルな店舗の場合に強みになるのは、思いがけない商品に出会えたり、何かのイベントに参加できたりする、他にはないエクスペリエンスの提供であろ う。売り場に価値を持たせる手法であり、対面型のコミュニケーションを通して、サービスや商品の最適な提供をすることである。 その店のファンになり、リピート率が上がり、やがて支持者(Advocator)に成長していく。提供側は実店舗はこれだけ楽しいということをアピールしていく。 印刷会社がコミュニケーション支援ビジネスをする際にもこれらのことを踏まえて、顧客に接していく必要がある。顧客の先のエンドユーザーは実際には自分自身であることが多いということを知っておくべきであろう。

(JAGAT 研究調査部 上野寿)

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