伝えたいことを、伝えたい人に届けるには

掲載日:2026年5月2日

この少し仰々しいタイトルにつられてクリックしてくださった方には恐縮ですが、今回は業務報告のような内容であることを、あらかじめご了承ください。

今年2月に開催したpage2026カンファレンス・セミナーは、多様なテーマで全24セッションを実施した。前年の2倍の本数である。開催本数は2倍になった一方で、トータルの売上はほぼ同じだった。数字だけを見れば、1セッションあたりの参加者数は半減したことになる。

では、セミナーのテーマに魅力がなかったのだろうか。
以下に、自分が関わったセッションについて、Google NotebookLMにインフォグラフィックを作成してもらったものをいくつか紹介したい。

【S2】AI時代のWebマーケティング

【S14】リスクを価値に変えるAI戦略

【C6】危機を乗り越える組織変革

AIの表現力による部分もあるが、タイトルだけを見ても、それなりに魅力的に映るのではないだろうか。実際、一聴講者として参加してもいずれも充実した内容だった。
それでも申込につながりにくい背景には、もちろんコストパフォーマンスやタイムパフォーマンスの問題もあるだろう。しかし、それ以上に「必要な人に、必要な情報として届いていない」のではないかと感じる。本数が増えれば増えるほど、一つひとつの情報は埋もれやすくなる。

それを裏付けるほど大げさな事例ではないが、「この人にはきっと役立つ」と思う相手に個別で連絡し、セッションの趣旨と、なぜその人に有益だと思うのかを伝えると申し込んでくれることが多く、参加後の満足度も高かった。

この経験から感じるのは、メディアに載るような型通りの情報だけでは、ますます届きにくくなっているということだ。S2セッションの中山陽平氏が語っていたように、情報が溢れるほど生活者は慎重になり簡単には動かなくなる。「自分にとってなぜ有益なのか」という「文脈」がなければ、人はそれを自分事として受け取れない。
今後、生成AIによってコンテンツ流通量が爆発的に増えれば、この傾向はさらに強まるだろう。選択肢が増えすぎることで、かえって人は「自分で選ぶ」ことに疲れ、「失敗しない選択肢を示してほしい」と考えるようになる。これもまた、中山氏の指摘である。

「伝えたいことを、伝えたい人に届ける」ことはセミナーの集客にとどまらず、普遍的なテーマであるし、さらに重要性を増していくように感じる(今後は届ける相手が人ではなくAIになるかもしれないが)。
そして、その難題に対して印刷業界だからこそ提示できる解決策が、まだあるのではないか。そんな期待を込めて、この小さな実感を問題提起として共有したい。

(研究・教育部 花房 賢)