第65期試験講評

掲載日:2026年5月14日
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2026年3月6日(金)・7日(土)に実施した第65期試験の概要を掲載します。

受験申請状況

今期試験の受験申請者数は、合計99名となった。学科試験会場は、全国55箇所のCBTテストセンターで実施した。(申請者数内訳詳細は、合格発表ページ参照)

学科新問題出題のポイント

学科試験問題は、DTPエキスパートカリキュラム第16版をベースにした約8割の項目に加え、新項目および改編項目約2割で構成される。今期は以下9問を新項目問題として出題した。

PDF校正での共同作業

利用が進むPDF校正について、複数ユーザーによる同時作業を効率化するクラウドサービスのポイントを問う問題を出題した。

DTP関連ソフトウェア:Adobe Illustrator

図版作成の業界標準といえるドロー系ソフトウェア、Adobe Illustratorについて、描画編集機能から印刷入稿用のデータ形式まで、押さえておくべき基本事項を整理し出題した。

画像のカラープロファイルの扱い

画像ソフトウェアで画像データを開く際、またレイアウトソフトウェアに画像を配置する際など、実運用におけるカラープロファイルの扱いを問う問題を出題した。

オフセット印刷機の前準備

下版から本刷りに入る前段階で行われる印刷機の前準備について、自動化を含む最新ワークフローも踏まえて出題した。

デジタル印刷のカラーマネジメント

デジタル印刷で安定した色再現を行うために必要となる印刷機本体のキャリブレーション、ならびにカラーマッチングに必要な入力プロファイル、シミュレーションプロファイル、出力プロファイルの概要を問う問題を出題した。

刷版の変遷

刷版工程について、イメージセッターからプレートセッターへの移行、さらに現像を必要としない無処理版にいたる変遷と近年の動向について出題した。

クラウドやサブスクリプションの問題

デザイン・印刷業界において急速に進むクラウド依存型制作環境に関し、利便性や共同作業の効率性といったメリットだけでなく、通信障害やサービス停止などのリスクについても把握しておく必要がある。近年発生したサービス停止トラブル事例を参照し、リスクへの備えを問う啓蒙的な問題を出題した。

受発注者間の合意形成におけるコンセプトの言語化

デザイン業務では、制作技術だけでなく、受発注者間でコンセプトを言語化し共有することが重要である。この点を職業人としての基礎的リテラシーとして確認する問題を出題した。

メディア・情報リテラシー

情報を適切に読み解く力について、批判的思考やファクトチェックなど、主体的に取りうる手段も含めて問う問題を出題した。

実技試験テーマは新ブランド発表会への招待状

実技試験は、3月9日~4月9日に実施した。

「デザイン性を重視する」マイスター実技試験であるが、当試験で問う「デザイン性」とは、印刷物の利用目的と利用環境を踏まえ、デザインの力によってゴールに接近することを意味する。

今期は、「20代後半~40代後半の男性ビジネスマン」を主なターゲットとするアクセサリーブランド発表イベントへの招待状」(仕上がりB6サイズ二つ折り、両面計4ページ)が出題された。印刷物による体験価値の向上が期待されるなか、ブランドプロポジションに寄与するデザイン性が強く求められる内容である。

課題には、「招待状の一部を切り取るとイベント入場用のリストバンドになる」という、印刷物ならではの工夫が盛り込まれた。リストバンド部分には紫外線発光インキでブランドロゴを印字し、入場時に紫外線照射機にかざすことでロゴが浮かび上がる、という想定だ。一連の体験を実現するため、招待状としてのデザイン性に加え、以下の点が評価ポイントとなった。

ポイント1:表面ブランドロゴ及び中面切り取り線(ミシン目)のオーバープリント設定

リストバンド部分表面にレイアウトするよう指定されているブランドロゴ(紫外線発光インキ用の版として配置)は、オーバープリントを設定する必要がある。中面の切り取り線も含め、分版出力時に正しく出力されるようにオーバープリント設定されているかが採点対象となった。

ポイント2:リストバンド部分への必要情報の配置

一般的な入場券に記載されている「日時」「会場情報」などのイベント参加に必要な情報は、招待状から切り取って利用する想定のリストバンド部分にレイアウトする必要がある。実技試験要項では「どの情報をどこに配置する」といった具体的指示は敢えて記述していないが、「この印刷物でユーザーがどのような体験をするか」という視点で制作すれば、おのずと必要情報をリストバンド部分にレイアウトすることになる。

画面上でデザインデータを操作するだけでなく、紙に出力し、実際に切り取って身に着けてみるというデザインの基本に立ち返ることで、気が付けるポイントでもある。

<第65期実技試験作例>(近日掲載)

(DTPエキスパート認証委員会)