印刷業界の課題解決力を業界外へ訴求 ~印刷会社、発注企業と共に成長する!

掲載日:2015年1月14日

近年、多くの方が印刷業界に対して、クライアントの成果に寄与するための課題解決力を高める必要性を説き、印刷会社もその力を備えてきた。次に必要なのは、業界外に対して今の印刷業界を伝えることである。

近年の印刷業界は、多様化したニーズに対応するために、印刷物を提供するだけには留まらず、デザイン企画力、クロスメディア、ロジスティックの強化等、各社の強みを生かしたソリューション力を保有した企業が増えている。余談だが、一昔前はJAGATで主催しているセミナーには、印刷技術に関するテーマのものに多くの方が参加されていたが、ここ最近では、デザイン、マーケティングをテーマにしたセミナーに参加される方が増えている。

■印刷業は情報を伝える重要なポジションにいる

クライアント側の経営環境が大きく変化し、飽和した日本市場のなかで競争に勝ち抜くには、質の高い商品・サービスを提供することだけでは差別化を図ることができない。その商品・サービスを利用する理由を明確化し、ターゲットに正しく情報を訴求することが必要だ。そうした意味では、本来印刷業に求められる役割は大きい。利用するメディアがデジタルであっても、そこに載せる情報をどう構成するか、マーケティングの力が不可欠であることは共通している。したがって、印刷業はマーケティング力の強化は欠かせない要素の一つだと考える。

■印刷発注企業の相談先はどこか?

私自身も、多くの印刷発注企業(商品・サービスを提供している一般的な企業)にお会いし、商店街の活性化事業に着手したことがある。そこでは、事業予算として大きな金額が計上されているが、印刷物としての予算は1%にも満たなかった。また、この印刷発注企業は固定観念として印刷物は“印刷会社”に発注する意識は高いが、企画、マーケティング、デザイン、デジタルメディア等、印刷物以外のことを“相談してみる”意識はなかった。その相談先として、広告代理店、コンサルタント会社、もしくは社内で企画を考え、印刷物等の製品のみを発注することが多いのではないか。
もちろん、すべての企業がそうだとは言わないが、総じて印刷会社が多様な課題解決力を保有していることを認識している印刷発注企業は少ないと感じる。

印刷会社の経営者や営業の方からも良く聞くことがある。印刷発注企業の課題解決をするための提案をしたいが、印刷会社に対しては、仕様通りにミスなく納期までに納品してくれるだけでいい。企画まで求めていないから、提案をさせてもらうまでが大きな関門として立ちはだかる。そこが印刷会社の営業として大きな課題と感じるのだそうだ。その意味で課題解決ができる印刷会社としての自社ブランディングが必要と考えている方も多い。

■印刷会社と印刷発注企業が一緒に成長する

そうした面から、業界の公益法人である当協会としては従来通り、印刷業界に対してマーケティング力強化の必要性や、その具体的な手法をセミナー等で伝えていく必要がある。ただしそれだけでは不十分であり、印刷業界外の一般的な企業に対しても、印刷業界の「今」を伝え、印刷物の製造以外の多様な課題解決力を保有していることを伝えていく必要があると感じる。
ただし、印刷業界も完璧ではないため、常に印刷発注企業の課題を解決するための機能全体を高めていく必要がある。また、印刷発注企業も時代の変革により、課題は常に変化していくため、その変化に対応していく必要がある。つまり、印刷会社、印刷発注企業が一緒になって成長していく「場」を提供することが、当協会の一つの役割だと考える。
具体的な試みとして、当協会では印刷発注企業の担当者を招聘して、その企業の課題を題材に、印刷会社に解決していただくワークショップセミナーを開催する。こうした試みを重ねながら、印刷会社と印刷発注企業が共に成長し、その一歩一歩が印刷業のブランディングの一助になれば幸いである。

(CS部 塚本直樹)

■関連セミナー
【WS1】 「売れる販促物制作のための基本セオリー講座 ~印刷発注企業の課題解決ワークショップ」
2015年2月5日(木)13:00‐18:00