あなたの会社が誇る技術を、もっと生かせる道を探ろう

掲載日:2019年3月7日

あなたの会社は、他社には真似できない技術を持っているだろうか。それをもっと生かして、自社の新たな将来像を描いてみることはできないだろうか。

印刷会社はクライアントの、いわば縁の下の力持ち。
誰にも負けない技術力を持っていても、
クライアントや、その先のエンドユーザーの多くは、その素晴らしさを知らない。

顧客の事業を下支えすることは重要だが、
それだけで、5年、10年先の将来像を描くことができるだろうか。

印刷会社がさまざまな分野の展示会に出展するケースが年々増えている。
製造技術の用途開発で生まれた商品をアピールし、BtoC市場で新たな顧客を見出そうとする姿勢がみられる。
それは、事業領域の拡大とともに、企業ブランドを確立する必要性を感じているからだろう。

BtoBを主力とする企業がBtoCで成功することは並大抵ではないが、トライアンドエラーを通じて得られる新たなスキルや人脈は企業の宝となる。

3月13日に開催する印刷総合研究会「デザインの力でBtoC市場に挑む―自社技術の用途開発で新たな顧客と出会う道筋」では、ものづくりの技術を力に、今までになかった商品を生み出した3つの事例を紹介する。

3事例はいずれも、新技術を発明したわけではなく、自社が持つ既存の技術を応用している。
商品も、奇抜なものではない。

例えば、ケープランニングの日めくり付せんカレンダー「himekuri」は、日めくりカレンダーと付せんという、巷にあふれる製品の組み合わせで生まれた。
「剥がした付せんを再利用できる」「365日全ての絵柄が違う」というアイデアが受け入れられ、売り上げを伸ばした。
またヒットの裏側には、SNSを活用した口コミ戦略があるという。

himekuri(ISOT会場にて)

▲第29回 国際 文具・紙製品展 ISOTに展示された「himeikuri」。日本文具大賞で機能部門の優秀賞を受賞した。

川上産業「浮世絵ぷちぷち」は、同社の主力製品である気泡緩衝材「プチプチ®」に浮世絵を印刷することで、通常は脇役である「プチプチ®」が粋な贈答用ラッピングに生まれ変わった。
同社は「くうきとともだち」をキャッチフレーズに、多彩な事業を展開している。「プチプチ®」にはサイズも材質も数多くのバリエーションがあり、ハート型の「はぁとぷち」、つぶれない加工をしたステーショナリー「PT」シリーズなどアイデア製品のラインアップも持つ。
また消費者にプチプチの魅力をアピールするために「プチプチ文化研究所」というプロジェクトも展開し、2018年の暮れには、プロジェクションマッピングを組み合わせたプチプチクリスマスツリーを東京・港区のシバウラハウスに設置した。

浮世絵ぷちぷち

▲2018年度グッドデザイン賞を受賞した「浮世絵ぷちぷち」

工業用テープメーカー・コスモテックとデザインコンサルティング会社のkenmaが開発したウェアラブルメモ「wemo」は、シリコンバンドとメモパッドの組み合わせで生まれた。いつでも書けて、何度でも書き直せる。ありそうでなかった商品だ。
当初は手にメモを取ることが多いという看護師を対象に開発したが、販路を開拓する過程で、看護師以外にも、仕事中にメモ用紙を取り出せない現場最前線ワーカーが数多く存在することに気づいた。現在では介護、保育、農業、施設運営、旅行、スポーツなど幅広い分野で活用されている。そのほか、ADHD患者など、記憶することにストレスを感じる方々にも愛用されているという。

wemo(ISOT2018会場)

▲第29回 国際 文具・紙製品展 ISOTに展示された「wemo」。日本文具大賞で機能部門の優秀賞を受賞した。

既存の技術をよく知ること、その用途をいろいろな角度から捉え直してみることで、新たな製品・サービスが生まれる可能性がある。
その製品・サービスを、企業の将来ビジョンの中に位置付けていくことで、新たな事業の柱ができ、企業ブランドを作り、自社の主力事業を強化する展望も開ける。

3月13日の研究会では、前述の3つの事例の開発過程に学びながら、あなたの会社に眠っている可能性を探ってみてはいかがだろうか。
企画、開発、デザイン部門など、事業開発に関わる全ての人々にご参加いただきたい。

(JAGAT 研究調査部 石島 暁子)

印刷総合研究会のご案内

デザインの力でBtoC市場に挑む―自社技術の用途開発で新たな顧客と出会う道筋
2019年3月13日(水) 14:00-17:00
講師
株式会社ケープランニング 代表取締役 木下 良氏
川上産業株式会社 執行役員/総合デザイン部 部長 佐藤 浩司氏
株式会社kenma 代表/ディレクター 今井 裕平氏