「知識から実践へ」体験を通して学ぶ印刷営業の育成

掲載日:2019年3月29日

現在、印刷業は従来の「必要な印刷物を正確に顧客に届ける」だけでなく「顧客の販促支援や課題解決に役立つサービスを提供する」役割へとビジネスモデルを変化させつつある。
印刷物によって顧客のニーズをどのように満たしていくかが常に求められるようになった。生活者のコミュニケーション手段が多様化し、印刷以外のメディアを通じた情報発信やマーケティング活動が日常的となっている。印刷会社の仕事が広がりを見せる今、多様なニーズに応えられる知識とスキルを持った印刷営業をどう育成していくかが重要になっている。

柔軟な発想のための土台つくり
印刷会社の営業は、顧客の課題や困りごとを聞き出し、最適な支援策を印刷物を軸に提案する役割を担う。新人の営業はどうすればその要求に、柔軟に応えられるようになるのであろうか。 
多岐にわたる選択肢の中から適切な対応がとれるようになるためには、まずは印刷営業として仕事をするためのベースづくりが必要になる。印刷物の製作についてトータルな知識を習得し、それを営業の実務プロセスに落とし込む。印刷の業務知識は広範囲にわたり、かなりのボリュームになる。営業未経験者に対しては、先輩社員や上司から業務の進行に合わせて直接指導を受ける場合が多いが、最初は基礎知識を体系的に習得した方が、印刷工程全体をイメージしやすく効率的である。印刷知識に加え、メディア知識やマーケティング理論、コミュニケーション能力など、新たな発想で「印刷」の価値を高めるために知るべき項目は多い。必須知識を押さえ、土台をしっかり築くことが育成のためのスタートだ。

知識を実践に活かす
体系的に積み上げた知識は、ひと通り学んだだけでは、実際の仕事にどのように適用させれば成果が出るのか、なかなかイメージがつかみにくい。実践に生かしてこそ、身に付くといえるのではないだろうか。
現場で顧客の要望を聞き、印刷会社として何ができるかを考える段階になって初めて、蓄積された知識と経験がつなぎ合わされ、実を結ぶ。顧客によって求めるニーズは異なり、提案が受け入れられるための定式が確実に用意されているわけではない。経験の少ない営業にとって、実践を重ねる機会を通して体得することが求められる。インプットされた知識と実践へのアウトプットを交互に繰り返すことによって、吸収した知識が血肉になっていくはずである。

自ら考え、提案を形にする
印刷営業の実務には、「情報収集」「顧客とのヒアリング」から「課題抽出」「解決策プランニング」「シナリオ設計」「提案書作成」など、さまざまなプロセスがある。印刷物を制作するために必要な見積もりや仕様書などのように、実際に携わってみて初めて理解できることも多い。
JAGATが新人営業の育成を目的として毎年開催している「印刷営業20日間集中ゼミ」は、実践力の強化に重点をおき、今年大幅にリニューアルした。印刷の基礎知識習得とともに、20日間を通して具体的な課題案件に取り組むことによって、営業プロセスを学ぶ実践ワークを柱にしている。
実際のクライアントに対し、「ヒアリングから企画~販促物の制作・印刷~プレゼンまで」を体験するグループワークを通して、習得した知識をもとに、自ら考え、解決する力を養成する。例えば「見積り講座」では、概論を学んだあと、実際に提案する販促ツールの見積書を事例演習の中で作成する。「印刷実習」では、オフセット印刷機に触れながら印刷工程を体験すると同時に、作成した販促ツールを実際に出力する。身に付けた知識をすぐに実践に生かすことで応用力を高め、即戦力として活躍できる印刷営業の育成を目指す。
研修自体は、営業職の育成を目的としているが、職種を問わず、印刷業界で働く上で必須のカリキュラムを総合的に網羅している。新人営業の他、後継者や中途入社社員の参加も多く、体系的な即戦力強化プログラムとしてぜひ活用していただきたい。
                            (CS部 原淳子)

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印刷営業20日間集中ゼミ(5/13~6/7開催)