「2025年経済構造実態調査 製造業事業所調査」によると、印刷産業出荷額は4兆9780億円、事業所数は1万2766、従業者数は23万5064人。(数字で読み解く印刷産業2026その7)
印刷産業出荷額は約5兆円
総務省・経済産業省は、「2025年経済構造実態調査 製造業事業所調査」を7月29日に公表しました。
印刷産業出荷額はコロナ禍を脱して2022年に5兆円台を回復しましたが、2024年は4兆9780億円(前年比2.3%減)で、3年ぶりに5兆円を割り込みましたが、コロナ前の水準(約5兆円)を維持しています。
ただし、出荷額が約5兆円を維持していることは、印刷物の需要が堅調であることを必ずしも意味しない。出版・商業印刷など従来型の需要が縮小する一方、パッケージ印刷などの需要が拡大していることや、原材料費やエネルギー価格の上昇を背景とした価格転嫁・価格修正も出荷額を押し上げる要因となっています。従って、近年の出荷額の推移を見る際には、需要構造の変化や価格水準の上昇を含めて捉える必要があります。
2025年6月1日現在の印刷産業の事業所数は1万2766(前年比4.5%減)、従業者数は23万5064人(同3.9%減)となりました。
印刷産業は、全製造業の中でも事業所数が多く、全製造業24業種の中で5番目の規模となっています。一方、従業者数は10番目前後、出荷額では18番目前後に位置します。

「出荷額」と「売上高」はなぜ違うのか
印刷産業をめぐる統計では、「製造品出荷額等」と「売上高」の数字が大きく異なる点にも注意が必要です。
製造業事業所調査は事業所単位で集計され、主要な製造品が「印刷・同関連製品」に該当する事業所が印刷・同関連業に分類されます。一方、「経済構造実態調査」の産業横断調査では企業単位で集計され、企業の主たる事業によって産業が分類されます。
そのため、印刷会社が印刷を核としてWeb、動画、BPO、マーケティング、デジタルソリューション、産業資材などに事業を広げている場合、それらの売り上げは製造品出荷額にはそのまま反映されません。
「2025年経済構造実態調査(産業横断調査)」では、2024年の印刷・同関連業の売上高は7兆6213億円となっています。製造品出荷額等と売上高の差は、印刷産業が従来の「印刷物を製造する産業」から、印刷テクノロジーを基盤に多様なサービスを提供する産業へと事業領域を広げていることの一面を示しています。
現在『印刷白書2026』(10月発刊予定)の編集作業が進んでいますが、限られた誌面で伝え切れないことや、今後の大きな変更点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信していきます。ご意見、ご要望などもぜひお寄せください。
(JAGAT 研究・教育部 吉村マチ子)


