2018年の印刷産業出荷額(4人以上の事業所)は4兆8061億円(速報値)

掲載日:2020年3月5日

「2019年工業統計速報」が2月28日に公表された。4人以上の印刷産業出荷額は5.3%の大幅減で、初めて5兆円割れとなった。(数字で読み解く印刷産業2020その2)

製造業の出荷額は3.9%増、印刷産業など4業種は減少

2019年6月1日現在で実施された「2019年工業統計速報」(製造業に属する従業者4人以上の事業所対象)が2月28日に公表されました。
2019年6月1日現在の事業所数は18万4839事業所(前年比1.8%減)で減少傾向が続きますが、従業者数は776万3431人(同0.9%増)となりました。
2018年の製造品出荷額等は331兆3548億円(同3.9%増)、前年の5.6%増に比較すると増加幅は1.7ポイント減ですが、全24業種のうち減少となったのは4業種(前年は6業種)だけでした。

印刷産業出荷額は5.3%の大幅減、確報値では改善されるか

印刷産業に関して見ると、事業所数は9862事業所( 前年比 3.7%減)、従業者数は25万2470人(同2.3%減)、製造品出荷額等は4兆8061億円(同5.3%減)となりました。

工業統計は、毎年2月末に速報、5月末に概要版、8月上旬に確報が公表されますが、速報では数値は小さく出る傾向があります。印刷産業出荷額は2017年の速報値では前年比1.7%減でしたが、確報値では0.6%減となり、500億円ほど増加しました。今回も減少幅が4.3%程度となれば、3人以下の事業所の推計値を含む全事業所では5兆円をぎりぎり確保できることになります。

印刷産業の出荷額・事業所数は東京が1位

製造品出荷額等が最も大きい産業は、輸送用機械器具製造業(構成比21.1%)で、化学工業(同9.0%)、食料品製造業(同9.0%)の順となっています。
製造品出荷額等が最も大きい都道府県は、愛知(同14.7%)で、神奈川(同5.6%)、大阪(同5.3%)、静岡(同5.3%)、兵庫(同5.0%)と続きます。都道府県別第1位産業をみると、輸送用機械器具製造業が12都県、食料品製造業が9道県、化学工業が8府県、電子部品・デバイス・電子回路製造業が6県です。

印刷産業では、製造品出荷額等は東京(構成比15.2%)が最も大きく、埼玉(同14.9%)、大阪(同9.2%)、愛知(同6.3%)の順、事業所数も東京(同17.1%)が最も多く、大阪(同11.0%)、埼玉(同8.7%)、愛知(同6.4%)の順です。
東京の主要産業を見ると、輸送用機械器具製造業、電気機械器具製造業に次いで、印刷産業は第3位産業に入っていて、東京の地場産業といえます。

『印刷白書2019』では印刷メディア産業に関連するデータを網羅し、わかりやすい図表にして分析しています。また、限られた誌面で伝え切れないことや、今後の大きな変更点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信しています。

(JAGAT CS部 吉村マチ子)