会社の将来を左右する新人への投資

掲載日:2020年3月11日

「幼稚園時代が将来の収入を左右する」という記事を見た。幼少期の環境が大人になってからの収入などに大きな影響を与えるというものだ。具体的には、切れ者の先生や賢いクラスメートと一緒、ということが良い環境とのこと。初期教育は長い目でみれば将来の自分を変える可能性を秘めている。

新卒採用の重要性

新卒採用は、時間と費用がかかるたいへんな作業だ。まして、入社後の新入社員は即戦力とはいかず、自社に利益をもたらすようになるまで最低でも数年かかるのが普通だ。中途採用であれば、経験もありその年数も短縮できる。しかし、世間では少しでも良い人材を採ろうと積極的に新卒採用を行っている。なぜだろうか。理由の一つとして、企業に新人が加わることによって組織全体が変わることができるのである。
要するに、新卒採用とは人材を育て、組織を変革する一大プロジェクト。たしかに新人が入社すると、どことなく職場の雰囲気が変わり、既存社員もヤル気がアップする。
さらに、世の中がこれだけ急速に変化している現在、企業も時代に合わせて変化し続けなくてはならない。そのための特効薬ともいえるのが新卒採用だ。

将来を左右する新人への投資

新卒採用は、コストではなく投資だ。とくに中小企業は、スピードと組織の一体感が特徴であり、大きな長所でもある。したがって企業の目指す方向性を前向きに共有し、行動に生かせる人材をいかに確保していくか業績にも直結する。採用時の注意点として、企業側、学生側相互に理解する機会をつくることも大切だ。会社の良いことはもちろん、悪いことも隠さず説明し、ギャップをなくすことが重要である。
また、優秀な人材に目が行きがちであるが、そのことより気が合い、価値観を共有できる人物が良いとされる。とくに中小企業は一緒にいて楽しく仕事ができないと長続きしない。
入社後3年以内の離職率を見ても、3割から4割と残念ながら高い数字である。企業規模が小さいほど離職率は増加することを考慮すると印刷業界の離職率はより高くなる。

関西でも、定期採用を継続している印刷会社は少数派だ。また、人材採用も難しいなか、入社後の離職の多さも課題である。新人の離職率と企業業績は反比例(離職が少ない会社は業績が良く、離職が多い会社は業績が悪い)する事例も数多い。
一方、新人受け入れ側である企業は、新人の教育、指導方法は課題である。指導者は、入社3年程度の社員が自らの成長機会になるので良いという考え方もある。しかし、この指導者である先輩社員自身が指導教育を受けていないケースも多い。とくに、マナー等を含め指導が不適切な場合、教わる新人も企業も不幸であり、最悪のケースでは退職という事態になりかねない。

最後に、気の合う人、価値観を共有できる新人を採用後、より良い人材に育てることが重要である。どのような方法で良い人材に育てるか、すべての企業に知恵と工夫が求められる。会社の未来を左右する新たな人材に有効な投資を望みたい。

(西部支社長 大沢昭博)

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