データの地産地消で創出する新市場

掲載日:2020年3月16日

ビッグデータの時代が幕を開けたといわれるが、大手企業や巨大IT企業が取り組む分野で印刷ビジネスにおいては、その活用は縁遠いのではないかという疑問もあった。

ところが、ビッグデータの解析によってマーケティング戦略を立てプロモーションに活用する事例が増えている。そのプロモーションにおいて、ジタル印刷のメリットを生かすことで印刷メディアも新たな価値を生み出し、そのメディアの有効性が再認識されているようだ。

JAGATでは「デジタル×紙×マーケティング」を打ち出し、これまでもデータ解析に基づいて実績を上げてきたプロモーション事例を紹介してきた。

page2020の基調講演では、いったんその集大成をするかたちで、「デジタル×紙×マーケティング」の啓蒙活動に協力をお願いしてきた花井秀勝氏(ヒュージョン代表取締役会長)、岡本幸憲氏(グーフ代表取締役社長CEO)、本間充氏(アビームコンサルティング顧問)を招いて、その可能性と印刷会社がどう取り組むべきかを議論した。

その中で花井氏は、札幌市、札幌圏で官民合わせて地域データ活用を推進する「一般社団法人 札幌圏地域データ活用推進機構(SARD)」の取り組みを紹介した。市内事業者の自社データや行政データをオープン化して利活用をしようという取り組みである。それらのデータを活用することによって産業振興や新たなサービス・ビジネスモデルなどの価値創造を生み出そうということである。

講演ではインバウンドにおける外国人観光客のデータを解析して、ホテルでの多言語新聞の配布によるプロモーションや店頭プロモーション戦略への活用に言及した。

データ活用というと、どうしてもナショナルブランドの大手企業を中心としたものをイメージする(実際にほとんどがそうだろうが)。しかし、地域に目を向けると、その地域ならではのデータがあり、それを活用することによって新たなビジネス創出の可能性が広がる。

印刷会社がデータ解析までできないとしても、そのデータもとにプロモーションを行うには、消費者・生活者に訴求するクリエイティブが必要なる。地域にある印刷会社が、こういった取り組みの上流から関わることでビジネスチャンスになるのではないかと感じさせられた。

JAGATinfo3月号では、上記の内容を含むpage2020基調講演「デジタル×紙×マーケティング」決定版の報告記事を掲載しますので、ご一読ください。JAGATinfo3月号の目次はこちら