2019年の印刷物の輸入額は813億円まで拡大

掲載日:2020年6月23日

貿易統計で印刷物を見ると、2019年は輸入の大幅拡大で、9年連続の輸入超過となり、差引額はさらに拡大した。輸入先のトップは7年連続でシンガポール、輸出先は中国が不動の1位となっている。(数字で読み解く印刷産業2020その6)

印刷物は9年連続の輸入超過、シンガポールが牽引

財務省「貿易統計」によれば、2019年の印刷物の輸出額は289億24百万円(前年比10.1%減)、輸入額は813億21百万円(同37.2%増)となりました。

アジアが最大の取引先で、2019年の輸出額は194億95百万円(構成比67.4%)で、転写印刷とその他の印刷の割合が大きくなっています。輸入額は605億46百万円(同74.5%)で、その他の印刷が8割を占めています。

下図は1990~2019年の印刷物の輸出入額とその差引額の推移です。1990~2004年の15年間は輸入超過でしたが、2005~2010年の6年間は輸出超過となり、2011年以降の9年間は逆に輸入超過となっています。

2019年の輸入額が大幅に拡大したのは、シンガポールの輸入額が前年より194億円増加したことによるものです。シンガポールは2013年に輸入先のトップとなり、以来7年間連続トップで輸入総額の5割以上を占めるまでになりました。輸出額は2010年から2019年の10年間で半減しています。

ちなみに現在執筆準備を進めている『印刷白書2020』では、同じ期間の出版物の輸出入額とその差引額の推移も見ていますが、全期間輸入超過となっています。

また、印刷物の輸出入相手国上位10カ国の推移表や、アジア・西欧・北米などの地域別の構成比の推移なども、わかりやすいグラフで紹介する予定です。

限られた誌面で伝えきれないことや、今後の大きな変更点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信していきます。ご意見、ご要望などもぜひお寄せください。

(JAGAT CS部 吉村マチ子)