在籍10年の現役編集部長が明かす東洋経済オンラインの裏側

掲載日:2020年10月29日

 デジタル分野の成長によって出版業界は再び成長産業に変わろうとしている。20年以上続いた出版市場規模の縮小は、2019年に電子書籍の成長が紙の減少分を上回ったことにより途切れた。この流れを加速し、業界全体で活力を増していくには、どうすれば良いのか。

 11月6日(金)に研究会「構造不況を乗り越える出版社のデジタル展開」が開催される。早くからインターネットの活用に取り組み、試行錯誤を重ねてきた先駆者が登壇し、成功の秘訣や現状を解説する。今回はその見どころを紹介していく。

登壇者

 東洋経済オンライン編集部長の武政秀明氏は、まだインターネット部門が日陰部署だった10前から東洋経済オンラインに携わってきた。最初から順風満帆だった訳ではなかったそうだが、だからこそネット上で支持される記事と、されない記事の違いを理解している。現在、東洋経済オンラインは月間PV2億を誇る日本最大級のニュースサイトとなった。その成長が紙の本誌や書籍事業、会社全体にどのような波及効果を生んでいったのか。当事者しか語りえない実感を存分に語って頂く。

 大日本印刷株式会社の落合巧氏は、今話題となっている雑誌のウェブサイトの広告運用に携わっている。雑誌の部数減少により、紙の雑誌広告も減少が続いている、しかし、各雑誌の持つブランド力はネット上での広告を勝ち取るのにも有益であり、雑誌のデジタル広告の成長率はネット全体の広告市場の成長率を上回っている。そんななか、なぜ印刷会社が広告事業を展開しているのか。その必然性と、印刷会社だからこその強みを解説する。AIを活用した先端的な広告システムを運用しており、そちらも見どころである。

 萩原印刷の萩原誠氏は1997年という最初期から出版社向けのWebサイト作成サービスを展開してきた。大手出版社は自らデジタル事業を展開し、収益化に成功している。一方で、中小の出版社はデジタルの人材を確保できていない会社が多く、萩原印刷はまさにそういった企業を支援してきた。大手出版社が成功しているデジタルを活用した収益改善を、出版業界全体の底上げに繋げていくにはどうすれば良いのか。忌憚ない現状認識と課題、コロナ禍における変化を語る。

 研究会はウェビナー形式で行い、オンライン名刺交換や質疑応答も行う。今後の出版業界を考える上で避けては通れないデジタルの活用について、当事者の考えが伺える研究会となっている。

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構造不況を乗り越える出版社のデジタル展開

(JAGAT 研究調査部 松永寛和)