印刷業定点調査 各地の声(2020年8月度)

掲載日:2020年11月26日

8月の売上高は△16.6%。マイナス幅は7月(△17.1%)に比べて0.5ポイントの微改善にとどまった。5月を底とした回復基調に早くも足踏み感が漂い始めている。

地域別には、首都圏と名古屋圏において緩やかな回復が続く一方、大阪圏は早くも回復が腰折れた。回復に地域差が生まれる可能性、全体としてもここからは回復が一進一退となる可能性が見えてきている。

業種・業態別では、商業印刷は落ち込み幅が大きかった反動もあって、足取りは重いながら徐々にマイナス幅を縮めている。出版印刷はいち早く△10%台まで戻した。総合印刷は6月に△20%台まで戻してそのまま8月まで横ばいとなっている。紙器・事務印刷は、7月に大きく戻したが8月は再び△20%超に落ち込んだ。

規模別では、100〜299人(△20.2%)を除けば、1〜29人から300人以上規模まで、いずれも△16〜△17%の幅に収まった。規模に関係なく、一進一退しながら徐々に下げ幅を縮めるような局面にあるのではないか。受注件数(△15.7%)は、7月にいったん悪化したが再び改善。材料仕入額は、用紙、インキ、CTP/PS版とも7月よりマイナス幅を縮めた。労働時間は3カ月連続でマイナス幅が縮小、工場の稼働率は少しずつ戻っているが充足には程遠い。

【印刷会社経営者の声】

茨城:商業

自治体の申請などの電子化が進んでいますが、必要書類の用意やシステムの不便さなどを感じることも多く、社会に定着するにはもう少し時間がかかるように思います。

東京:事務

常識の変化の激しい時代だと痛感する。若い頃、大人の論理や社会、組織の論理に悩まされていた自分が、逆にスピード感もなく、意思決定もできなくなってはいないか。クリティカルシンキング・リフレクション・アンラーンなど思考法も大事だし、ベースがアクティブであり続けないといけないと思う。

岐阜:総合

本来ならオリンピックで盛り上がっていた今夏。オリンピック後の景気を心配していたはずでした。様子が一変してしまった世界に人類がどう立ち向かっていくのか。興味深く注視していきたい。

愛知:出版

愛知は再び緊急事態宣言になって売上高に影響。売り方の変革も少し進み、受注は回復。コスト削減など上期は企業体質強化を進める。

和歌山:商業

9月2日から開催された東京の販促EXPOに出展した。コロナ禍なので心配したが、弊社出展を事前にマークして来場されるお客様もあり、過去より実りの多い出展になった。

(『JAGAT info』 2020年10月号,印刷経営ウォッチング,p56-57より抜粋して要約)